🇺🇸 Interpol (インターポール)
レビュー作品数: 2
スタジオ盤
2002年 1stアルバム
ニューヨーク出身のインディーロックバンド、インターポール。1997年にポール・バンクス(Vo/Gt)、ダニエル・ケスラー(Gt)、カルロス・デングラー(B/Key)、グレッグ・ドルディ(Dr)の4人で結成しました。ニューヨーク大学出身ですが、ポールとダニエルは英国生まれだそう。2000年にEPでデビューしますが、グレッグが脱退してサム・フォガリーノ(Dr)が加入しています。
「ジョイ・ディヴィジョンの再来」と騒がれた彼らは、内省的でポストパンク的な楽曲を展開します。ガレス・ジョーンズとピーター・カーティスによる共同プロデュース。
オープニング曲は「Untitled」。イントロからギターが暗く冷たく、それでいて美しい旋律を奏でます。気だるくて、サイケ的な陶酔感のある演奏を繰り広げ、暗鬱なのに心地良くもあるんです。続く「Obstacle 1」はインターポールの人気曲。単調なギターがポストパンク的で、そしてポールの焦燥感溢れる歌唱はジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスを彷彿とさせます。ひりついていますが、終盤は諦めのような優しさとやるせなさを感じさせます。「NYC」はゆったりとしたテンポの楽曲で、オルタナ的な諦念が支配します。ぼやけたサウンドと歌唱で幻覚的な感覚を誘いますが、その中でもドラムの存在感が強めです。一転して「PDA」では、リズミカルなドラムを中心に躍動感に溢れています。でもギターは不協和音気味で暗い雰囲気を醸し、テンポの速さも相まって焦燥感を煽り立てるんです。スリリングでカッコ良い。続く「Say Hello To The Angels」は神経質に刻むギターに加え、ドラムが速いテンポと強いビートで焦燥感を掻き立てます。ひりついていますが、リズミカルなので踊りたくなるような気持ち良さも兼ね備えています。そして終盤ではベースが爆音を轟かせます。「Hands Away」では、単調なギターが警告音のように追い詰めてきます。でもサウンドはサイケ的な浮遊感もあり、そして暗い雰囲気も醸し出します。そして「Obstacle 2」はイントロなく歌から始まります。歌をフィーチャーしているようでいて抑揚の少なめなメロディに、不安を煽るミニマルで単調なギター。そんな中で重低音を轟かせるベースが良いアクセントになっています。「Stella Was A Diver And She Was Always Down」は6分半に及ぶ本作最長の1曲です。サイケやゴシックのような幻覚的な演奏は、暗鬱なムードながらも心地良い気分を誘います。「Roland」はイントロから不協和音気味かつ攻撃的で、焦燥感たっぷり。歌も緊迫した空気で、ひりついたハイテンションな楽曲はゾクゾクするほどスリリングです。終盤はギターが警告音のように響きます。「The New」はダウナーな雰囲気。前半は哀愁の歌メロが魅力で、ポストパンクよりはオルタナ的な感じ。後半は一転、警告音のようなギターが焦燥感を煽ります。ラスト曲は「Leif Erikson」。ダウナーな歌唱はやるせない気分になります。楽曲はダークですが、それでいて美しいと思わせる場面もあります。
暗鬱でクール、そしてひりつくようなポストパンク的な演奏がカッコ良いです。
2004年 2ndアルバム
前作の路線を押し進めた本作は4曲がシングルカットされ、インターポールの入門作としても評価が高いです。全米15位・全英21位と、商業的な成功も得られました。インターポールとピーター・カーティスによる共同プロデュース作。
アルバムは「Next Exit」で幕開け。オルガンの音色が心地良いですが、ゆったりとした穏やかな楽曲はどこかやるせない気分をも誘います。後半のエフェクトがかったギターが良い感じ。続く「Evil」は、冒頭からカルロス・デングラーの弾くベースラインが耳に残ります。ポール・バンクスの陰りのあるメロディアスな歌が際立ちます。途中から躍動感に溢れるドラムが加わり、リズミカルな心地良さも内包しています。「Narc」はダニエル・ケスラーの弾く、ちょっとエキゾチックな雰囲気のギターが印象的。そしてサビに向かってシンセやギターなどの分厚い演奏で盛り上げていきます。全体的にポストパンク的な鋭利さと、曇天のような暗鬱さがありますね。「Take You On A Cruise」も暗鬱ムードでダウナーな感触です。歌が終わったあとに音数を減らしてギターの余韻を残すという演出が独特ですね。後半は力強いビートが牽引します。そして「Slow Hands」はイントロからギターがひりつくような焦燥感を掻き立てます。サビで力強く歌うポールの歌唱にジョイ・ディヴィジョンを感じさせます。「Not Even Jail」は力強いリズム隊が淡々と楽曲を支えます。暗いんですが、サイケやドリームポップ的な浮遊感や美しさも感じられます。「Public Pervert」は、ゆったりとしたテンポで優しい雰囲気の楽曲ですが、サビ前からダークさやヘヴィさが垣間見えます。続く「C’mere」はアルバム終盤のアクセント。シングルカットされたキャッチーな楽曲で、キレのあるギターをはじめリズミカルな演奏に、メロディアスな歌で印象に残ります。「Length Of Love」では、単調なギターが空気を緊迫させ、終始不安な感情を掻き立てます。途中からドラムが躍動感を与えてくれるものの、歌も含めて暗くスリリングな雰囲気は覆りません。そしてラスト曲「A Time To Be So Small」。ダークで絶望感に満ちています。ダウナーな楽曲に、アクセントとしての鍵盤が冷たさを加え、やるせなさが残ります。
全体的に暗鬱ムードが漂い、感傷的で暗い気分になります。メンタルが落ちているときに聴くのは良くない作品ですね。笑
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