🇬🇧 Kate Bush (ケイト・ブッシュ)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

The Kick Inside (天使と小悪魔)

1978年 1stアルバム

 英国ロンドン出身のシンガーソングライター、ケイト・ブッシュ。本名キャサリン・ブッシュ、1958年7月30日生まれ。自らレコード会社に売り込みにいった際には見向きもされませんでしたが、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアにその才能を見出されてデビュー。今では後進に大きな影響を与えた女性アーティストとして高く評価されています。
 本作は彼女が19歳の時の作品。デヴィッド・ギルモアとアンドリュー・パウエルによってプロデュースされました。東洋の文化に傾倒していたケイトは東洋風のジャケットアートを採用していますが、ジーンズと赤いブーツが印象的な米国盤のジャケットの方が好みだったり…。

 「Moving」で開幕。ハイトーンのソプラノボイスが強烈なインパクトです。囁くような歌声は魅惑的です。そしてダンカン・マッケイの流麗なピアノと、スチュアート・エリオットのドラムが良い。「The Saxophone Song」はアコギの心地良い音色と、そしてタイトルにもあるようにアラン・スキッドモアの吹くサックスに味があります。でも浮遊感のあるケイトの歌声が全部持っていくというか、良い意味で強い個性のあるボーカルです。「Strange Phenomena」はふわふわと神秘的なボーカルが舞うよう。霧散しそうな歌声をリズム隊が引き締めます。「Kite」はジャケットアートを指しているのでしょうか。独特のメロディを演劇的に歌う、どこかコミカルな雰囲気です。彼女の表現力には驚かされますね。そして何気にスチュアート・エリオットのドラムに魅せられます。「The Man With The Child In His Eyes」は哀愁のあるメロディ。天真爛漫な雰囲気は息を潜め、楽曲に相応しいメランコリックな歌声でしんみりとさせます。続いて「嵐が丘」の邦題で知られる代表曲「Wuthering Heights」。『恋のから騒ぎ』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ケイト唯一の全英1位獲得シングルで、4週連続1位を獲得したそうです。メルヘンチックなハイトーンボイスがとても強いインパクトを残します。そして歌声を盛り上げるサウンドもなかなかに感動的で、そして美しいです。
 レコードでいうB面、アルバム後半のオープニング「James And The Cold Gun」。グルーヴ感のあるジャジーなサウンドに乗る、メロウなボーカル。前曲とはうって変わって、少し大人びた色気を感じられます。渋い演奏も魅力的です。「Feel It」はピアノ弾き語りの1曲。歌声が個性的なので、ピアノだけでも引き立ちますね。「Oh To Be In Love」は音色がころころと変わる忙しい楽曲。初っ端あざとく感じた歌声は、進むにつれてオペラのようになったり、男性コーラスが混じったりとやはり変化がめまぐるしいです。ゆったりとしつつどこか影のある「L’Amour Looks Something Like You」を挟んで、少女のような無邪気さを感じる「Them Heavy People」。歌の無邪気さとはややミスマッチな、力強いベースも印象的です。「Room For The Life」は演劇のようで、コミカルな雰囲気。最後は表題曲「The Kick Inside」。しっとりとしたピアノに乗せて、高音の美しい歌声が響き渡ります。

 ケイトの独特のソプラノボーカルは好き嫌いが分かれそうですが、19歳とは思えない表現力の高さに驚かされます。時に天真爛漫な少女のようで、時にはオペラ歌手のよう。シアトリカルに演じ分けます。

The Kick Inside (2018 Remastered)
Kate Bush
 
 

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