🇬🇧 Kestrel (ケストレル)

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スタジオ盤

Kestrel (ケストレル)

1975年 1stアルバム

 ケストレルは、イギリスのプログレポップグループです。1971年に結成後、メンバーチェンジを繰り返しながら、唯一作『ケストレル』を世に放ちました。メロトロンプログレの隠れ名盤とも言われています。レコーディング時のメンバーは、トム・ノウルス(Vo)、デイヴ・ブラック(Gt/Vo)、ジョン・クック(Key)、フェンウィック・モイア(B)、デイヴ・ウィテカー(Dr)。
 8曲中7曲をデイヴ・ブラックが作曲しますが、ブラックがデヴィッド・ボウイのスパイダーズ・フロム・マーズに参加するため脱退し、そのまま解散となりました。

 アルバムは「The Acrobat」で幕開け。荘厳な雰囲気で幕を開けますが、懐っこいギターが絡んできたかと思えば歌が始まります。渋めの声で、憂いとポップの入り混じったメロディを歌います。途中で鍵盤がジャジーな雰囲気を醸しつつもポップさは忘れていません。「Wind Cloud」はハモンドオルガンの落ち着いた音色にジャジーなドラムを交えてメロウな雰囲気。優しく穏やかな空気が流れます。続く「I Believe In You」は程良くハードで軽快なギターにゴリゴリベースが絡んで、躍動感を生み出します。ポップなメロディが魅力で、オルガンの味付けも良い味を出しています。そして「Last Request」が名曲なんです。3拍子のゆったりとしたテンポに乗せて、しっとりと哀愁のメロディを奏でます。サビメロの感情たっぷりの歌唱と、それを彩るオルガンがドラマチックです。そして終盤にはメロトロンが楽曲をさらに美しく引き立てます。メロディが良く、とても魅力的ですね。
 アルバムは後半に突入。「In The War」は5拍子のトリッキーなリズムでフックをかけ、途中からリズムチェンジを多用します。ジャジーな冒頭はアコギの心地良い音色と対照的に、太いベースがゴリゴリ。そして場面転換が続き、スリリングな演奏に魅せられます。歌が始まると暗くシリアスなムードになりますが、歌が終わると何事も無かったかのようにジャジーな演奏へ。終盤は明るい雰囲気で終えます。続く「Take It Away」はハードなギターを奏でる軽快なロックンロール。コーラスワークを活かした爽やかポップな歌が好印象です。「End Of The Affair」は哀愁の歌メロが魅力的な1曲。歌のときはしんみりムードですが、間奏は場面転換が結構唐突な印象です。そしてラスト曲「August Carol」。ギターとハモンドオルガンを中心に、少しハードめなロックを展開。3分半で一旦終えた後、メロトロンが溢れる後半戦へ突入します。包み込むような、幻想的なメロトロンがあまりに美しい。そして泣きのギターも魅力的なんです。

 ラスト曲のメロトロンは圧巻ですが、「メロトロンプログレ」というよりも「爽やかポップな歌メロ」が印象的な好盤です。
 何度か再発して希少度は減りましたが、当時はかなりレアな作品だったそうです。

Kestrel
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