🇯🇵 君の美術館 (きみのびじゅつかん)
レビュー作品数: 2
同人作品:東方アレンジ
2008年 6thアルバム
君の美術館は同人音楽サークルで、2007年12月末に結成されました。主宰のfanfan.を中心に複数メンバーで構成され、東方アレンジを中心にオリジナル作品も披露しています。生演奏を特徴とし、特にアコーディオンが入っているのが独特ですね。
ボーカルアレンジ作品も制作する彼らですが、本作は全編インストゥルメンタル・バンドアレンジ作品です。fanfan.(B)とPHEVOTT(Gt/Pf/Acc)がアレンジを手掛け、Jhojia(Gt)、toM(Gt)、Midori(Pf)、Shimizu(Dr)が参加しています。冬のコミックマーケット75において、オリジナル作品『monologue~魔法が解けるその前に~』とともに同時頒布されました。
オープニング曲は「少女が見た日本の原風景」。原曲譲りのノスタルジックなメロディをピアノがしんみり奏でたかと思えば、早々に、悠々としたギターがリードする楽曲へと変化。原曲の雰囲気は残しつつも、躍動感たっぷりのスリリングなバンドサウンドが気持ち良いアレンジです。続く「少女さとり ~ 3rd eye」はゴシック色の強い原曲の雰囲気は残しつつ、ワルツ風のテンポにアレンジし、更にアコーディオンがレトロな雰囲気を加えます。終盤には4/4拍子にリズムチェンジし、ロック風へと変わります。「不思議の国のアリス」は憂いのピアノで始まりますが、徐々にドラムが高揚感を煽ります。そして緊張が高まってきた頃に、憂いのピアノが泣かせに来たり、終盤ではエモーショナルなギターのハモリにもグッと来ます。全体的によく動き回るベースも気持ち良いですね。「Demystify Feast」はジャズ色の強い楽曲で、序盤のメロウな雰囲気に浸っていると、途中から躍動感溢れる演奏で誘惑します。楽しい雰囲気です。そして最後は鉄板「亡き王女の為のセプテット」。悠々としたリードギターが牽引するバンドサウンドが爽快ですね。中盤はファンク色も加わり、ピアノと、跳ねるようなベースがリードします。また、弾けるようなドラムも楽曲を賑やかに盛り上げてくれます。カッコ良いアレンジです。
僅か5曲ですが、バンド好きにはたまらない良質なアレンジに仕上がっています。
2009年 8thアルバム
本作は、君の美術館による東方アレンジ第3弾で、全編インストゥルメンタル作品です。メンバーは前作と同様、fanfan.(B)、PHEVOTT(Gt/Pf/Acc)、Jhojia(Gt)、toM(Gt)、Midori(Pf)、Shimizu(Dr)。東方オンリーイベント、博麗神社例大祭6で頒布されました。
「Magic Shop of Raspberry」で幕開け。エフェクトがかったギターが冒頭から幻覚を見せ、躍動感あるバンド演奏が始まったかと思えば、ピアノソロで急にしんみりとなったり。目まぐるしく様々な音色に変わる緩急富んだアレンジですが、軸にあるメランコリックなメロディはぶらさず聴かせてくれます。「緑眼のジェラシー」は3拍子の演奏に対してドラムは2拍子で叩き、ちょっとした違和感でフックを掛けます。それ故にリズムの合う瞬間、息ぴったりの演奏に思わずガッツポーズしたくなります。笑 続く「遠野幻想物語」はひんやりとしたピアノが原曲の雰囲気そのままですが、直後に原曲とは異なる展開を混ぜ込んで惑わせてきます。躍動感あるリズム隊が高揚感を掻き立てますが、一番の魅力は主旋律を弾くアコーディオンでしょう。原曲の雰囲気にぴったりの、ノスタルジーを誘う音色に心奪われます。「レトロスペクティブ京都」はオシャレなジャズ風味にアレンジ。比較的しっとりと聴かせる楽曲ですが、後半はテンションが高まってきます。「メイドと血の懐中時計」はピアノイントロで始まりますが、途中からリードギターにバトンを渡し、躍動感溢れるロックアレンジに仕上げています。終盤はワウワウギターとダイナミズム溢れるドラムで暴れ回っています。そして「おてんば恋娘」は序盤コミカル風味で、アコーディオンがリードします。ただ途中からスパニッシュな感じのアコースティックギターも加わり、賑やかな楽団といった趣に。「夢消失 ~ Lost Dream」はボサノバのようなまったりムードな1曲。アコースティックな演奏をバックに、前半はアコーディオンが、後半はピアノが主旋律を担います。「芥川龍之介の河童 ~ Candid Friend」はプリミティブなドラムで幕を開けます。途中まではアコースティック色が強いものの、サビ(?)ではギターがリードしてロック色を強めています。「幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」は鈴の音を鳴らす冒頭の演出が神秘的。途中からは6/8拍子にアレンジし、ピアノやアコーディオンがリードするバンド演奏をしんみり聴かせます。そのまま「ボーダーオブライフ」に続きますが、原曲を踏襲したこの2曲セットの流れが良いですね。こちらはスリリングなバンドアレンジになっており、激しいドラムにハモるギターと、メタル色を強めています。
前作よりも楽曲数が増えたこともあり多彩なアレンジで楽しませてくれます。
関連アーティスト
一部の作品で、黒岩サトシ(Lyrics)やsassy(Gt)がゲスト参加しています。
類似アーティストの開拓はこちらからどうぞ。