🇬🇧 Massive Attack (マッシヴ・アタック)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Mezzanine (メザニーン)

1998年 3rdアルバム

 イングランドはブリストル出身の音楽ユニット、マッシヴ・アタック。1988年に結成しました。ダンスミュージックにレゲエやヒップホップを取り込んで、それでいながら重く暗い雰囲気はトリップ・ホップやブリストル・サウンドとも呼ばれています。
 本作はマッシヴ・アタックで最も成功した作品で、英国をはじめいくつかの国で1位を獲得しました。またMP3フォーマットで発売された最初の作品の一つだそうです。メンバーはロバート・デル・ナジャ(3D)、グラント・マーシャル(ダディ・G)、アンドリュー・ヴォウルズ(マッシュルーム)の3人で、それぞれ別の呼び名が付いています。この3人に加え、後にメンバーになるニール・ダヴィッジの4人によるプロデュース。

 アルバムは「Angel」で幕開け。静かなリズムを刻みながらゆっくりと始まります。そして低音ベースが響き渡り、そこにレゲエミュージシャンのホレス・アンディによる気だるげなボーカルが乗ります。途中から加わるギターは歪んでいて重たい。ダウナーなのですが浮遊感があり、不思議と心地よいのです。「Risingson」はラップ曲なのですが、エコーがかかった幻想的なサウンドに乗るのは、キレのないかったるそうなラップ。ですが低音がとても心地良く、気づくと音の世界に浸っています。続く「Teardrop」コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーが参加した楽曲。コクトー・ツインズでもダウナーな楽曲に天使のような歌声を聞かせた彼女ですが、マッシヴ・アタックの気だるげなサウンドとの相性も良く、ゆったりと癒してくれます。「Inertia Creeps」はプリミティブなパーカッションが印象的な1曲。ボーカルが怪しく囁くように歌い、エスニックな香りのするサウンドは緊張感があります。「Exchange」はインストゥルメンタル。大きな盛り上がりもなくて淡々としていますが、スペイシーなシンセによって浮遊感のあるサウンドに揺られます。サラ・ジェイをゲストに招いた「Dissolved Girl」は、色気のある歌声にグルーヴ感のあるベースが心地良い。続く「Man Next Door」は再びホレス・アンディが登板。ベースやドラムが強烈に響く中、メロディアスな歌を展開します。「Black Milk」は少しホラーじみたゴシック風のダークな世界観を展開。エリザベス・フレイザーの歌声が救いですが、かなり暗いです。そして表題曲「Mezzanine」。淡々として暗鬱なサウンドに、低音で囁くようなボーカル。終盤は音響効果でノイジーながらもトリップ感があります。続く「Group Four」は8分超の、本作最長の1曲。エリザベス・フレイザーの歌声は神秘的ながら、ダークで怪しげな雰囲気が漂います。淡々と展開しますが、終盤はダークさを強めるのでスリリングです。「(Exchange)」で最後を締め括りますが、最後も淡々としています。

 モノクロのクワガタジャケットが強烈なインパクトでカッコ良いですね。ですがアグレッシブなダンスビートをイメージして聴くと、ゆったりとしてダウナーな楽曲群のギャップに驚かされると思います。良い楽曲が多いですが、トータル60分超のボリューミーな作品で、通しで聴くとやや冗長かもしれません。

Mezzanine (2018 Remastered) (2CD)
Massive Attack
 
 
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