🇺🇸 Suzi Quatro (スージー・クアトロ)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Suzi Quatro (サディスティック・ロックの女王)

1973年 1stアルバム

 スージー・クアトロは米国のデトロイト出身のミュージシャン/ベーシストで、女性のロック進出の草分け的な存在でした。1950年6月3日生まれで、本名はスーザン・ケイ・クアトロッチオと言います。1964年頃からキャリアをスタートし、姉のパティ・クアトロらとガールズバンドのザ・プレジャー・シーカーズを結成(後にクレイドルと改名)。その後単身渡英して1972年にソロ転向します。制作陣にニッキー・チンとマイク・チャップマンを迎え、またバックバンドとしてレン・タッキー(Gt)(後にスージーと結婚)、アラステア・マッケンジー(Key)、デイヴ・ニール(Dr)を起用し本作をリリース。なお豪州では代表曲「Can The Can」等を加えて、アルバムタイトルも『Can The Can』の名でリリースしています。

 躍動感溢れるドラムが爽快な「48 Crash」で幕開け。ハスキーな声でシャウト気味に歌うスージーの歌唱は超パワフルで激しいですが、演奏は明るくノリノリなロックンロールです。バックバンドのコーラスが楽しそう。「Glycerine Queen」はヘヴィで骨太なリフがカッコ良いですね。スージーの弾くベースが気持ちの良い重低音を鳴らして、グルーヴィなロックンロールを繰り広げます。終盤にはブラスが楽曲を盛り上げます。続く「Shine My Machine」はリズミカルな縦ノリの演奏が気持ち良い。単調ながら耳に残るベースリフがノリの良さを作り出しています。「Official Suburbian Superman」はどっしりした演奏と対照的に、ハスキー声のキャッチーな歌メロと電子ピアノが軽やかな感じです。続いて「I Wanna Be Your Man」ビートルズのカバー。パワフルな歌唱ながらもキャッチーな歌と、弾けるような躍動感のある演奏が爽快です。「Primitive Love」はジャングルの中のような混沌とした効果音の中から、野性味のあるパーカッションを繰り広げます。タイトルどおりプリミティブな仕上がり。ハードロック的なヘヴィなギターに、唸るベースも強烈。また、後半加わるピアノが不穏な音色を響かせます。途中低い声で囁くスージーの歌が色っぽい。
 レコードでいうB面の1曲目にあたる「All Shook Up」はエルヴィス・プレスリーのカバー曲。躍動感のあるドラムを軸にしたロックンロールで、思わずリズムを刻みたくなるようなノリの良さで楽しい楽曲です。軽快なピアノも気持ち良いですね。そして「Sticks & Stones」は小気味良く刻むドラムに乗せてメンバーによる合唱で始まります。そこからノリの良いロックンロールを展開。スージーの歌が入ってはメンバーの合唱を繰り返して、中々明るく楽しいです。「Skin Tight Skin」はベースがボンボン響き、メロトロンが怪しげな雰囲気を演出。演奏はダークで不穏な雰囲気がありますが、根が陽気なのか歌はそこまで暗さを感じません。中盤の実験的でスペイシーな間奏が良い感じ。「Get Back Mama」はズッズズッズ…というベースリフが心地良く響きます。ノリの良い演奏に乗せて、酒やけ声という表現が似合いそうな歌唱ですね。中盤は長尺の演奏パートがあり、スージーのベースソロも披露します。続く「Rockin’ Moonbeam」はルースでグルーヴィなロックンロール。ちょっと古びていますがピアノが軽快な印象で、終盤はサックスが渋い味を出しています。そしてラスト曲は「Shakin’ All Over」で、ハードな演奏に終始高音キーの激しい歌を披露。ギターが金属質ですが、それ以上にキンキンとした歌が強烈です。

 スージーはボーカリストとしてだけでなくベーシストとしても魅力的で、抜群のグルーヴ感でノリの良い演奏を繰り広げます。ノリの良いロックンロールが詰まった良作です。

サディスティック・ロックの女王
Suzi Quatro
 
Quatro (陶酔のアイドル)

1974年 2ndアルバム

 ニッキー・チンとマイク・チャップマンが楽曲制作をサポートし、バックバンドはレン・タッキー(Gt)、アラステア・マッケンジー(Key)、デイヴ・ニール(Dr)と、前作と同じ制作陣で臨んだ本作。シングルにおいては「Devil Gate Drive」が全英1位、「The Wild One」が全英7位とヒットを飛ばし、前作に引き続き欧州や豪州で大成功を収めました。スージー・クアトロの代表作に挙げられることも多い作品です。
 ジャケットには革のジャンプスーツを着込んだスージー。当時流行していたグラムロックを意識した売り出し方で、これが成功の要因の一つでした。また「子宮に響くから」という理由でベースを弾いているというエピソードも、そこはかとないエロスを感じさせます。

 オープニングを飾る「The Wild One」は英国でヒットしたシングル曲です。ギターや鍵盤がメロウで大人びた雰囲気を醸し出し、残響音が心地良い浮遊感を与えます。そんな演奏に合わせてスージーの歌も色気を感じさせますね。続く「Keep A-Knockin’」はリトル・リチャードのカバー。エッジの鋭いギターに、ドスの利いた声でがなるようにシャウト。ハードですがノリが良くて、爽快なロックンロールです。「Too Big」はリズミカルな演奏を奏でる、気だるくルースな1曲。スージーのだみ声は演奏を上回るくらいパワフルです。アラステアの弾くピアノが軽快ですね。続く「Klondyke Kate」も緩く気だるげですが、パワフルさを若干抑えてハスキーボイスで色っぽく歌います。ベースの生むグルーヴが心地良い。「Savage Silk」も落ち着いた雰囲気で始まりますが、すぐさまキンキンとしたパワフルな歌でロックンロールを繰り広げます。バンド演奏はテンション低めですが、時折ヘヴィに弾け、特にオルガンが良い感じ。イントロからハードなギターが爽快な「Move It」は疾走感のあるロックンロール。焦燥感を煽るドラムが爽快で、また間奏ではギターとキーボードが掛け合いを繰り広げます。スリリングな良曲です。
 ここからアルバム後半。「Hit The Road Jack」はファンクを取り入れたグルーヴ抜群の演奏に、R&B的なコーラスがオシャレ。横ノリの気持ちの良い演奏は魅力的です。「Trouble」はスローペースの演奏が中々グルーヴィですね。そして古びたロックンロールを繰り広げます。スージーの歌はドスが利いてソウルフルで迫力満点です。ゆったりしていますが、終盤に倍速以上にテンポアップして爽快。一転して「Cat Size」ではピアノ主体のゆったりとした演奏に乗せて、メロディアスな歌を披露。ハスキーな歌声が哀愁のメロディによく合っていて魅力的です。間奏でのギターも渋いですね。続く「A Shot Of Rhythm And Blues」はルースで泥臭いロックンロール。気だるげな雰囲気が心地良いですが、時折腹の底から唸って強烈なシャウトへ繋げます。とてもパワフルです。「Friday」は渋いギターにハスキー声がブルージーですが、歌メロは比較的キャッチーな感じ。中盤の躍動感に満ちた間奏は聴きごたえがあります。そして、英国盤では省かれていますが多くの国では大ヒット曲「Devil Gate Drive」が続きます。躍動感あるドラムに乗せて、明るくキャッチーなロックンロールを展開。スージーの歌はとてもパワフルです。

 ロックンロールを軸としつつ、緩急つけて表現の幅が広がりました。ハスキーでパワフルな歌唱、グルーヴのあるベースなど、彼女の魅力を発揮します。

Quatro
Suzi Quatro
 
 
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