🇺🇸 The Doors (ドアーズ)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1967年 1stアルバム
ドアーズは米国カリフォルニア州出身のロックバンドです。ジム・モリソン(Vo)とレイ・マンザレク(Key)が中心となり、ロビー・クリーガー(Gt)、ジョン・デンズモア(Dr)の4人で結成。ベースレスの編成です。モリソンはルックスを活かしてロックスターを意識した振る舞いや発言を行い、また文学とも評される難解な歌詞を作るなど、カリスマ的な人気を獲得していきます。人気の出始めたドアーズに目をつけたポール・A・ロスチャイルドが、本作をプロデュースしました。
ベーシスト不在のはずなのに作品聴くとベースいるじゃん…などと思ったものですが、キーボードが低音をカバーしたり、ゲスト参加のラリー・ネクテルがベースを弾いている楽曲があり、ベーシスト不在の穴を埋めています。
「Break On Through (To The Other Side)」はジャジーなドラムに乗せて始まるロックンロール。モリソンの激しいシャウトがヘヴィな印象を抱かせます。オルガンもヘヴィですね。続く「Soul Kitchen」はオルガンが軸を作ります。淡々としつつ、オルガンが不思議と浮遊感を生み出すサイケな1曲です。「The Crystal Ship」はモリソンが渋い歌声で哀愁あるメロディを歌います。電子ピアノがオルガンと折り重なって美しい音色を奏でています。「Twentieth Century Fox」はサウンドの作る雰囲気が比較的キャッチーですが、歌メロは淡々としている印象。続いて「Alabama Song (Whisky Bar)」は少しコミカルで、エスニックな雰囲気のサウンドですが、どこか狂気もはらんでいます。そして「Light My Fire」は「ハートに火をつけて」の邦題で知られる名曲ですが、この邦題は個人的にはZARDを思い浮かべたり(ドアーズの方がずっと早いですが)。この楽曲はイントロのオルガンソロに引き込まれます。短い歌メロもなかなかポップですが、ハイライトは長尺の間奏でしょう。間奏の前半はオルガン無双で、後半ギターがオルガンに挑んでいます。ドラムも非常に激しい。
レコード時代のB面は「Back Door Man」で開幕。前曲がスリリングすぎることもあり、地味な印象は否めません。「I Looked At You」はノリの良いキャッチーな楽曲。モリソンのシャウトは激しいですが、メロディはポップな印象を抱きます。怪しげでダークな雰囲気の「End Of The Night」、ダウナーだけど時折激しい「Take It As It Comes」と続いて、ラストは12分近い「The End」。静かな空間に響くドラムを中心とした演奏が、熱帯夜のような蒸し暑さを感じさせます。中盤まで冗長ですが、終盤は凄まじい緊張感と尋常でない狂気で圧倒します。
オルガンが特徴的でサイケデリックな雰囲気を作りつつ、音質の悪さもあって荒々しいヘヴィロックを堪能できる作品です。ただ、評価の高さの割に個人的にはピンとくる楽曲は少ないです。
ドアーズは1972年まで活動をしていますが、カリスマであるジム・モリソンがヘロインの過剰摂取で1971年に亡くなり、翌年にドアーズは解散することになります。モリソン在命時に6枚、彼の死後も含めると9枚のオリジナルアルバムをリリースしています。活動期間の割に多作なバンドです。
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