🇬🇧 The Stranglers (ザ・ストラングラーズ)

ライブ盤

Live (X Cert) (ライヴ:Xサーツ)

1979年

 本作はストラングラーズ初のライブ盤で、1977年6月・11月、1978年9月の公演からセレクトされ、パンキッシュな初期3作品から選曲されています。ヒュー・コーンウェル(Vo/Gt)、ジャン=ジャック・バーネル(B/Vo)、デイヴ・グリーンフィールド(Key/Vo)、ジェット・ブラック(Dr)の4人によるパワフルな演奏で楽しませてくれます。

 ライブのオープニングは「(Get A) Grip (On Yourself)」。コーンウェルのがなるようなシャウトから、バッキバキのベースを始めパワフルで勢いのある演奏で楽しませてくれます。シンセはポワンポワンとしていて、荒々しい演奏に浮遊感を加えます。「Dagenham Dave」はリズミカルでノリの良い演奏に乗せて、バーネルのドスの効いた迫力ある歌で圧倒します。後半の力強いリフも印象的ですね。続く「Burning Up Time」もバーネルの力強いボーカルが続きます。骨太なベースが牽引する演奏は爆走するようにパワフルですが、グリーンフィールドのキーボードが茶化すようにコミカルに仕立て上げます。「Dead Ringer」は耳に残る強靭なベースリフにオルガンやギターが絡んでいきます。特に中盤のオルガンはとてもサイケデリックな感じ。ボーカルはグリーンフィールドですが、調子外れな歌がどこかコミカルです。「Hanging Around」は反復される「Hanging around」の歌詞が妙に耳に残る、キャッチーな楽曲です。間奏では、哀愁を帯びたギターとポワンポワンとしたシンセがぶつかり合い、リズム隊は相変わらず骨太な演奏を繰り広げています。コーンウェルのMCを挟んで続く「I Feel Like A Wog」は、ヒリヒリと緊張が張り詰める楽曲で、ゴリゴリと硬質なベースが焦燥感を煽り立てます。爆走するかのようにパワフルで、コーンウェルの歌も熱量たっぷり。カッコ良いです。「Straighten Out」もアグレッシブな演奏がスリリングですが、シャウト尽くしの歌は意外とキャッチーで、ポップな印象も受けます。「Curfew」は、不穏な不協和音とチープなシンセの組み合わせにひねた楽曲構成はニューウェイヴ感が強いです。うねるような、幻覚感もある演奏は酔いそうな感覚に陥ります。そして「Do You Wanna/Death And Night And Blood (Yukio)」のメドレー。前半はごん太で荒々しいベースにブルージーなギターが絡み、ヘンテコな歌を乗せています。後半はメロディアスというか、ひねくれポップな歌メロが際立ちます。ハモンドオルガンのレトロな音色も味がありますね。「5 Minutes」はノイジーなバンド演奏に、がなるようなバーネルの歌が強烈。ノリの良いアップテンポ曲なので盛り上がります。大歓声の中、アンコールで始まるのは「Go Buddy Go」。ダーティなギターリフに軽やかな鍵盤、そこに鈍器で殴りつけてくるかのようなぶっといベースにパワフルなドラムが加わります。歌も非常にパワフルで、とてもスリリングなロックンロールでライブを締め括ります。

 パンク時代の集大成。同時代のパンクバンドと比べても熟練のストラングラーズ、演奏も安定していて音質も良いです。スリリングな演奏で楽しめる良質なライブ盤です。

Live (X Cert)
The Stranglers
 
 

Boxセット

Original Album Series
2015年
外装:
内容:
価格:
総合:

収録作品

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評 価 タイトル 商品情報
75点 Black And White (ブラック・アンド・ホワイト) 1978年 3rdアルバム
75点 Live (X Cert) (ライヴ:Xサーツ) 1979年 ライブ盤
75点 The Raven (レイヴン) 1979年 4thアルバム
80点 The Gospel According To The Meninblack (メニンブラック) 1981年 5thアルバム
80点 La Folie (ラ・フォリー/狂人館) 1981年 6thアルバム

 
 ストラングラーズの廉価Boxです。他のアーティストでも出ている「Original Album Series」シリーズ。安さを追求した廉価盤です。気になる作品が3つ以上あればこのBoxセットがお買い得でしょう。

 チープな外箱に、各作品はペラペラの薄い紙ジャケットに入っています。CD5枚セットなのにプラケース入りCD1枚とほぼ同じ厚みで、本作のペラッペラ具合を物語っていますね。保護スリーブには入っておらず、別で買った方が良いかもしれません。歌詞カードも解説もなく、純粋に音源目当ての人向けな商品だと割り切りましょう。

 各作品のレビューは重複のため本項では割愛しますが、パンクからニューウェイヴ的なポップバンドへと変遷する脂の乗った時期を捉えています。どの時期も品質は高くて、捨て作品が無いのが嬉しいですね。ちなみに『黒豹』以降の5作品を纏めたBoxも出ています。なお本シリーズとは別に、11枚入りの『Giants And Gems』というBoxセットもありますが、こちらはプレミア価格になってしまっています。

 価格は2023年3月現在で2,400~2,500円程度なので、1作品あたり約500円弱で手に入れることができます。外装はチープですが、音源目当てと割り切れば本作は買いでしょう。

Original Album Series
The Stranglers
 
 
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