🇯🇵 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT (ミッシェル・ガン・エレファント)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Chicken Zombies

1997年 3rdアルバム ※thee michelle gun elephant表記

 THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは日本のロックバンドで、明治学院大学のサークル内で1991年に結成しました。結成後メンバーチェンジを経て、チバユウスケ(Vo)、アベフトシ(Gt)、ウエノコウジ(B)、リーダーのクハラカズユキ(Dr)の4人で1996年にメジャーデビュー、2003年に解散しました。バンド名は、チバの友人がパンクバンドダムドの『マシンガン・エチケット (Machine Gun Etiquette)』を読み間違えたのをそのまま採用したのが由来だそうです。ちなみに本作までは小文字の「thee michelle gun elephant」表記で、次作『ギヤ・ブルーズ』から大文字表記の「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」に変わっています。略称は「ミッシェル」または「TMGE」。
 本作のジャケットは1960年代辺りのロックを連想させますね。音楽性としてはガレージロックやパンク、パブロックなどに影響を受けています。セルフプロデュース作。

 オープニング曲「ロシアン・ハスキー」から疾走感に溢れています。まくし立てるようにパンキッシュな高速ロックンロールで、サウンドは荒々しいですね。キレッキレのカッティングに、うねりまくるベースがカッコ良い。続く「ハイ!チャイナ!」は鈍重だけどノリの良いロックンロール。歌詞は「吐きたいね 吐いちゃいな」の連呼で、中国は関係ないという。笑 「マングース」は切れ味抜群の疾走曲で、アベの細かく刻むカッティングが強烈に焦燥感を煽ります。縦ノリのグルーヴが爽快な楽曲です。「ゲット・アップ・ルーシー (album version)」は個人的に本作のハイライト。カミソリのように鋭利なカッティングがカッコ良く、縦ノリの演奏も気持ち良い。またチバのしゃがれた歌声で繰り返す「ゲット・アップ・ルーシー」のフレーズが耳に残ります。攻撃的だけどキャッチーさも兼ね備えている気がします。続く「バードメン」はヒットシングル。轟音で疾走する演奏に、怒鳴るような攻撃的な歌唱。ぶん殴ってくるような強い衝撃がありますが、自然と身体が動き出すようなノリの良さも持っています。カッコ良い。「ブギー」は8分超の本作最長の1曲。演奏はヘヴィで、クハラのドラムはシンバルが炸裂しまくっています。チバの歌は気だるげというか、諦めのような哀愁が漂っています。渋いですが、少し冗長な印象も。そして僅か8秒の「アイブ・ネバー・ビーン・ユー(Jesus Time)」で瞬間的に強烈なエネルギーをぶち込むと、ブルージーな「COW 5」へ。インストゥルメンタルで、とても渋いです。「カルチャー (album version)」はパンキッシュな楽曲。スタンダードなロックンロールですが、終始うねるベース、そして切れ味の鋭いギターソロなど演奏が魅力的です。続く「サニー・サイド・リバー」も疾走感のあるロックンロール。演奏は焦燥感を煽るような印象ですが、歌はどこか切なさを感じさせます。「ブロンズ・マスター」も疾走曲で、チバの歌は終始シャウト気味。重低音がブンブン唸ります。「ロマンチック (Broiler Dinner Version)」はゴリゴリとしたウエノのベースと、リズミカルなクハラのドラムが強調されており、淡々とした歌をリズム隊が完全に食っていますね。後半は全て演奏パートで、ドタバタと攻撃的な演奏で暴れ回ります。ラスト「アイブ・ネバー・ビーン・ユー(King Time)」は僅か22秒、超ハイテンションのパンクで締めます。

 ローファイで荒々しいサウンド、そしてハイテンションの楽曲の数々。攻撃的ですがノリが良くてカッコ良い作品です。

Chicken Zombies
thee michelle gun elephant
 
ギヤ・ブルーズ

1998年 4thアルバム

 THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの最高傑作との呼び声も高い作品です。セルフプロデュースとなる本作は、ローファイなサウンドプロダクションもあって荒々しく鈍器で殴ってくるような暴力的なサウンド。そしてチバユウスケの酒やけ声の歌唱は演奏と相まってヤニ臭さも漂ってきます。強烈なインパクトを放ちますが、とてもカッコ良い名盤です。ちなみに海外盤も出ているみたいですね。

 開幕「ウエスト・キャバレー・ドライブ」から、ウエノコウジの轟音ベースが頭をぶん殴ってくるかのような印象。でもグルーヴ感抜群で気持ち良いんですよね。チバの歌はAメロBメロでは低血圧気味の気だるげな雰囲気ですが、サビでは怒鳴り散らすように凄まじいシャウトをぶちかまします。1曲目から強烈なインパクトです。そして本作のハイライト「スモーキン・ビリー」。攻撃的な疾走曲で、イントロからアベフトシのヘヴィなギターとウエノのゴリゴリベースがカッコ良い。そしてドスの効いたしゃがれ声で叫ぶチバの歌が、とにかく強いインパクトを残します。「“愛という憎悪” Yeah!スモーキン・ビリー!」のフレーズの実にカッコ良いこと。漢臭くてヤニ臭い名曲です。続く「サタニック・ブン・ブン・ヘッド」でテンポを少し落としますが、タイトルを連呼するだけの怪しげな歌は妙な中毒性がありますね。ゆっくりとしたテンポでダーティな音を奏でますが、突如爆走するのでとてもスリリングです。緩急ついた楽曲をクハラカズユキのパワフルなドラムが支えます。オープニング3曲が実にカッコ良く、一気に引き込まれます。「ドッグ・ウェイ」は荒くパワフルな楽曲。アベの弾くザラザラとしたギターソロが印象的です。「フリー・デビル・ジャム」は暴力的でかつ疾走感に溢れるロックンロール。戦車のようにパワフルな上に速く、終始シャウト気味の歌唱も含めてとても攻撃力の高い1曲です。一転して「キラー・ビーチ」はキャッチーなメロディが特徴的。歌は聴きやすいですが、演奏は相変わらずガレージ色が強く、荒々しいローファイサウンドです。終盤はキンキンとしたギターを聴かせます。続く「ブライアン・ダウン」はゴリゴリとした硬質な質感に、叫びっぱなしのヘヴィな楽曲です。でも8分の6拍子のリズミカルな演奏が心地良かったりします。「ホテル・ブロンコ」は一気にテンションを抑えて、ジャジーな雰囲気に。時折入るシャウト以外は渋い演奏に聴き浸れます。そして「ギヴ・ザ・ガロン」で再び轟音をぶちかましてくるんですね。ダーティで鈍重な演奏に乗せて、「幸せに踊れよ」の連呼が呪術的というか恨みがましい感じで、どこか不気味な印象を与えます。「G.W.D」はイントロからベースリフをはじめ爆音の演奏にぶっ飛ばされます。ちなみにタイトルは「がなる われる だれる」という歌詞の頭文字だとか。笑 吐き捨てるような歌も、攻撃的で速い演奏もカッコ良い。「アッシュ」はヘヴィで攻撃的ですが、歌には強い哀愁も漂っています。陰がありますが演奏は結構ノリが良い感じ。「ソウル・ワープ」はゴリゴリと硬質なベースと、跳ねるようなリズムを刻むドラムが爽快なロックンロール。ボーカルは加工されて歪んだ声で歌います。またギターソロにも強烈なノイズが入り、とてもヘヴィな楽曲です。「ボイルド・オイル」は切れ味のあるカッティングがカッコ良い。野太いOiコールが漢臭いですね。最後の「ダニー・ゴー」はライブの人気曲だそうです。力強く疾走感に溢れていますが、シャウト気味の歌メロはどこか哀愁を纏っています。

 前作よりヘヴィさを増したスリリングな作品です。特にオープニング3曲がとてもカッコ良く、それ以降も名曲が揃っています。

GEAR BLUES
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
 
 

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 同時期に活躍したロックバンドで、プライベートでの交流も深いです。

 
 
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