🇺🇸 Weather Report (ウェザー・リポート)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Heavy Weather (ヘヴィ・ウェザー)

1977年 8thアルバム

 ウェザー・リポートは米国のジャズ・フュージョングループです。ウェイン・ショーター(Sax)とジョー・ザヴィヌル(Key)が中心になって1970年に結成しました。他のメンバーは流動的で、本作においてはショーター、ザヴィヌルに加えて前作から参加のジャコ・パストリアス(B)とアレックス・アクーニャ(Dr)、本作限りのマノロ・バドレーナ(Perc)の5名体制。ジャズフュージョンのスタンダードナンバー「Birdland」を収録しています。本作はウェザー・リポート最大のヒット作となりました。

 アルバムは「Birdland」で開幕。跳ねるように軽快なリズムと、サックスをはじめキャッチーなメロディが親しみやすいです。ドラムが緊張感を保ちつつも演奏は全体的にファンキーかつ爽快です。終盤はハンドクラップも加わり陽気な印象です。一転して「A Remark You Made」はメロウで落ち着いた雰囲気。ショーターの色っぽいサックスの音色と、そこに絡んでいくザヴィヌルのピアノが心地良いです。まったりと聴けます。「Teen Town」で再びテンポアップ。ブイブイと暴れ回るベースがグルーヴィで、そして神経質そうなドラムが焦燥感を煽ります。スリリングな疾走曲です。「Harlequin」はまったりとした空気が漂いますが、サックスやピアノの統率が取れておらず即興的な演奏にスリルを見出せます。後半に向かうにつれ荒ぶる演奏は中々強烈。
 アルバムは後半に突入。「Rumba Mamá」はライブ演奏。バドレーナとアクーニャのスリリングなドラム・パーカッションソロですが、演奏よりも雄叫びのようなラテン系(スペイン語?)の歌が強烈なインパクトです。「Palladíum」はキーボードがクールな雰囲気を作りますが、ご機嫌なパーカッションにノリの良いベースなどリズム隊が軽快な印象に変えます。後半にはこの陽気でラテンな空気が全編を覆い尽くし、賑やかで楽しげです。「The Juggler」は3拍子の心地良くてリズミカルな演奏に癒されます。ザヴィヌルのキーボードは豊かな音色を聴かせてくれますが、全体的に牧歌的でのどかな雰囲気が漂っています。「Havona」は華やかなシンセサイザーで開幕。疾走感のあるスリリングなリズム隊に乗せ、ピアノが軽やかに駆け抜けます。躍動感のあるパストリアスのベースがとてもカッコ良い。全体的に緊張の糸が張り詰めていますが、瞬間的に凄まじく強烈な殺気が漂うのでスリリングですね。終盤は鳥肌が立つほどです。

 ラテン系の陽気なノリが感じられます。ポップで取っつきやすい「Birdland」と、とてもスリリングな「Havona」が個人的には当たりでした。

Heavy Weather
Weather Report
 
 
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