🇺🇸 Weezer (ウィーザー)
レビュー作品数: 2
スタジオ盤
1994年 1stアルバム
米国カリフォルニア州出身のオルタナティヴロックバンド、ウィーザー。1990年代のパワーポップブームの火付け役で、パンク色が強いため、本サイトではパンクロック/ガレージロックで扱います。
リヴァース・クオモ(Vo/Gt)、ジェイソン・クロッパー(Gt)、マット・シャープ(B)、パトリック・ウィルソン(Dr)の4人組で1992年に結成。本作制作中にジェイソンが脱退し、ブライアン・ベル(Gt/Vo)が入れ替わりで加入しています。
リック・オケイセックをプロデューサーに迎えて制作された本作は通称『The Blue Album (ザ・ブルー・アルバム)』。というのも『Weezer (ウィーザー)』と冠するアルバムが複数あるので、色で通称が付けられています。ダサい見た目で、彼女に振られただとかナヨナヨとした歌詞で「泣き虫ロック」とも言われているそうです。でもサウンドはヘヴィで骨太です。
オープニング曲は「My Name Is Jonas」。イントロからアコースティックの優しい音色が3拍子を刻みますが、重低音がそれをかき消していきます。比較的ポップなメロディと、対照的なヘヴィなサウンドで圧倒していきます。続く「No One Else」はアップテンポな楽曲。リフは重たいものの、軽快なリズムとキャッチーなメロディで爽やかな印象を与えます。「The World Has Turned And Left Me Here」はメロディアスな楽曲で、しっとりとしています。冒頭のアコギとヘヴィなリフの組合せが意外と心地良い。「Buddy Holly」はヒットシングル。歪んだギターでサウンドはヘヴィですがメロディは哀愁たっぷりで、そしてキャッチー。途中の早口パートも良い具合に聴き手を引き込んできます。続く「Undone – The Sweater Song」は暗鬱な1曲。淡々としていて、サビでヘヴィさを増します。コーラスワークが下手なんですけど、何故か不思議とクセになりそうです。「Surf Wax America」はアッパーな疾走曲。徐々に盛り上げて高揚感を煽っていきます。メロディアスで爽やかな楽曲です。終盤に一気にトーンを落として囁くようなパートが入りますが、そこから再加速して爽快に締めます。「Say It Ain’t So」は趣向を変えて、メロウでブルージーな雰囲気に。でもサビではディストーションを効かせたギターがヘヴィな音を奏でます。渋くて感傷的な1曲ですね。続く「In The Garage」はメロディは割と単調なものの、郷愁というか懐かしさを感じさせます。6/8拍子が心地良い、哀愁漂う「Holiday」を挟んで、最後は8分の大曲「Only In Dreams」。ベースソロから始まって静かにじっくりと聴かせますが、サビに向かって徐々にヘヴィさを増して盛り上げます。長尺のアウトロがとても良く、静かに聴かせるパートでのリズム隊が中々良い味を出していて、そこから感情を高ぶらせるかのようにヒートアップしていく展開に痺れます。
ヘヴィなサウンドですが、メロディアスでポップな歌は聴きやすいです。疾走曲よりも、ミドルテンポでじっくり聴かせる楽曲が多いです。
1996年 2ndアルバム
ウィーザー自身のセルフプロデュース作。全体的に暗いということもあってか、商業的にはあまり成功しなかったそうです。しかし後に再評価されました。
リヴァース・クオモ(Vo/Gt)の趣味で、歌川広重の浮世絵『蒲原 夜之雪』をモチーフにしたジャケットアートが採用されています。
「Tired Of Sex」で開幕。マット・シャープのヘヴィなベースと、パトリック・ウィルソンのパワフルなドラムを中心に、グランジ風の非常にヘヴィでノイジーなサウンドで圧倒します。ブライアン・ベルのギターも歪んでいて、リヴァースは荒々しく叫び散らします。パワーで圧倒する強烈なオープニング曲です。「Getchoo」は憂いのあるメロディラインを、ノイジーなサウンドで荒らしています。歌だけならメロディアスでかつキャッチーなんですけど、サウンドが人を寄せ付けない暴力的な爆音で、それがまた魅力だったりします。「No Other One」はゆったりとしたペースで、哀愁漂うメロディアスな歌を奏でます。サウンドは緩急つけて、聴かせるところは静かに、でも盛り上げるところは轟音が響き渡ります。「Why Bother?」はテンポアップしてポップパンクな1曲。僅か2分ですがコンパクトに纏まっており、ノイジーな前3曲と比べるとサウンドは聴きやすく、またキャッチーなメロディも良いです。「Across The Sea」は憂いのあるメロディアスな1曲。ヘヴィなサウンドですがしっとりとした雰囲気が漂い、切ない気分にさせます。続く「The Good Life」はシンプルだけど耳に残るリズムに乗せて、シンプルなメロディを展開。でもノリが良くて、なんとなく楽しい気分にさせます。「El Scorcho」はひねた感じのポップソング。少し変だけどキャッチーなメロディが印象的です。「Pink Triangle」はメロディアスな1曲です。ベタですが哀愁漂うメロディが良い。サウンドは力強く展開します。「Falling For You」ではヘヴィでノイジーなサウンドに乗せて、影のあるメロディを奏でます。攻撃的だけど内省的な雰囲気も合わせ持っています。ラスト曲「Butterfly」ではアコギで静かに歌い、しっとりとした雰囲気でアルバムを締めます。
冒頭のノイジーで暴力的な楽曲で圧倒しますが、これがなかなか魅力的です。中盤からはポップパンクっぽい雰囲気になっていきます。
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