🇬🇧 Wet Leg (ウェット・レッグ)

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スタジオ盤

Wet Leg (ウェット・レッグ)

2022年 1stアルバム

 期待の新人インディーロックグループ、ウェット・レッグ。イギリス・ワイト島出身のリアン・ティーズデイル(Vo/Gt)とヘスター・チャンバース(Gt/Vo)による女性2人組グループで、2019年に結成しました。リアンは元々ソロ活動もしていたそうです。絵文字キーボードの組合せでバンド名を考えるという遊びから、💦と🦵に辿り着いてウェット・レッグというバンド名に決めたのだとか。
 2021年にシングル『Chaise Longue』をリリースすると、SNSで瞬く間に注目を浴びます。そして2022年にバンド名を関した本作をリリースすると全英・全豪1位、全米13位を獲得しました。ダン・キャリー(Key)をメインプロデューサーに据え、マイケル・チャンピオン(B)、ヘンリー・ホルメス(Dr)、ジョン・マクマレン(Key)らがサポートしています。

 僅か2分の「Being In Love」で幕開け。イントロもなく歌で始まり、リズミカルなビートに鋭利なシンセが楽曲を彩ります。アンニュイに呟くような歌に、浮遊感のある可愛らしいコーラスが心地良いですね。続く「Chaise Longue」はデビューシングル。ニューウェイヴ的な力強く躍動感溢れるビートとは対照的に、歌はテンション低めですが、歌詞はひたすら同じフレーズの反復で中毒性があります。淡々としているものの、中盤リードギターがメロディを奏で始めると楽曲がカラフルな印象に変わります。「Angelica」はエフェクトを駆使して、サイケのような幻覚的な感覚が強いです。激しさも内包しつつドリーミーな印象の1曲です。「I Don’t Wanna Go Out」はふわふわとした歌で始まります。肩肘張らないリラックスした雰囲気ですが、リズム隊は力強くてギャップがありますね。終盤はスローダウンしてまったり。歌声がどことなく羊文学を想起しました。笑 そして「Wet Dream」はキャッチーな楽曲です。リズミカルでアップテンポな楽曲に、途中執拗な反復をする歌、そして抜群のキャッチーさを持つサビメロと魅力たっぷりです。続く「Convincing」は気だるくて色気のある小悪魔的な歌が魅力的で、それをシンプルな演奏で引き立てます。「Loving You」はファルセットを用いて囁くように素朴なメロディを歌い、打ち込みを交えた演奏は落ち着いた雰囲気。子守唄のような心地良さを感じます。続く「Ur Mum」はビートを強調した演奏に、肩肘張らない歌唱でポップなメロディを歌います。ふわっとした歌と、地に足付いたリズム隊による対比が良いですね。ですが終盤には絶叫を交えて意外さに驚きます。「Oh No」はノイジーに歪んだ音でメリハリを付けつつもリズミカルな演奏が爽快ですね。演奏が力強かろうと、歌は変わらず気負わないリラックスした感じで、それがポップな印象にも繋がってきます。「Piece Of Shit」はアコギを弾きながら気だるく歌ってフォーキーで優しい感じですが、そこにミスマッチな電子音が加わることでアクセントになっています。「Supermarket」は合唱のようなコーラスで時折盛り上げるものの、全体的には素朴で等身大な感じの温もり溢れる楽曲です。そして最後に「Too Late Now」。イントロからベースが高揚感を煽ります。テンポが速めの演奏とは違って、歌は譜割り的にゆったりした印象。途中から歌も演奏もテンポアップして、スリリングな楽曲へと変わります。

 力強い演奏とは対照的にふわっとした歌い方。ギャップに満ちた楽曲はポップかつ中毒性があります。耳心地の良い楽曲が揃った名盤ですね。

Wet Leg
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