🇯🇲 Bob Marley And The Wailers (ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)

レビュー作品数: 2
  

ライブ盤

Live! (ライヴ!)

1975年

 「レゲエの神様」として親しまれるジャマイカ出身のミュージシャン、ボブ・マーリー。1945年2月6日生まれ、1981年5月11日没。ラスタファリ運動と呼ばれるジャマイカの宗教運動の第一人者として、レゲエを通じて彼の音楽と思想は数多くのミュージシャンに影響を与えました。
 1963年にマーリーとピーター・トッシュ、バニー・ウェイラーの3人でウェイラーズを結成。その後トッシュとウェイラーが脱退して1974年に解散しますが、新たなメンバーを加えて大所帯でボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズとしてデビューします。そして傑作と名高い本作は1975年の英国ロンドン公演を収めたライブ盤です。この時のメンバーはマーリー(Vo/Gt)、アストン・バレット(B)、カールトン・バレット(Dr)、アル・アンダーソン(Gt)、タイロン・ダウニー(Key)、アルヴィン・パターソン(Perc)、リタ・マーリー(Cho)、ジュディ・モワット(Cho)、マーシャ・グリフィス(Cho)。なおクレジットされているものの、モワットは公演当日は参加していないそうです。
 最近デラックスエディションということで2CDになりましたが、私は1CDのものをレビューします。

 「Trenchtown Rock」でライブの幕開け。観客の声も結構響き渡って臨場感があります。ズッチャ ズッチャというレゲエ独特のリズムが心地良く、コーラスも含めてノリノリです。特にドラムの生み出すリズムが素晴らしいです。「Burnin’ And Lootin’」は少し憂いを感じさせます。オルガンなどジャムセッションっぽい演奏や、支配者に抗おうとする歌詞の内容など、レゲエに抱いていた陽気でナンパなイメージが覆りました。「Them Belly Full (But We Hungry)」は「ナナナ ナナ ナンナナ」のコーラスがキャッチーですね。ゆったりとしていますが歌詞は重くて、「奴らの腹は満たされているが俺らは空腹だ」と体制への怒りを感じます。気だるげな雰囲気にノリの良いリズムが中毒性を生み、また時折ワウワウとファンキーな音を立てるギターも聴きどころですね。続く「Lively Up Yourself」はブルージーでファンキーなギターと、躍動感のあるリズムが気持ち良い。キーボードは緩いフュージョンっぽくもあります。そしてタイトルを連呼するキャッチーな歌メロ、これがとても中毒性が高くて魅力的です。「No Woman, No Cry」はオルガンがリードする、メロディアスな1曲。会場の合唱から人気っぷりが伝わってきます。リズムはレゲエですが、リズムを除けばロックにも通じます。そしてエリック・クラプトンもカバーした名曲「I Shot The Sheriff」。イントロは結構ハードな印象で、ちょっとフュージョンっぽい。歌が始まると陽気なレゲエのリズムが始まります。その歌メロは口ずさみたくなるくらいキャッチーですがテーマは重くて、保安官を撃ち殺したが正当防衛だと訴えています。「Get Up, Stand Up」は演奏がとにかくスリリング。他の楽曲より気持ち速い程度でそこまで速いわけではないものの、強い緊張感を放っています。「権利のために立ち上がれ」と歌うマーリーのシリアスな歌か、それともドラムやキーボードの演奏スキルによるものか。でも後半「ヨーヨーヨー」と会場を煽る場面は、ライブならではの明るく楽しい雰囲気を感じられます。ラストはCD化に際して追加されたボーナストラック「Kinky Reggae」。明るい雰囲気のキャッチーな楽曲です。中盤はリズミカルな演奏に乗せて即興的なパフォーマンスを見せます。

 一部のJレゲエアーティストの下品なイメージが強くて、レゲエというジャンルは長らく敬遠していたのですが、反抗心を持って鼓舞するような歌詞や、意外にロックしてる演奏はレゲエのイメージを変えました。そして全編通して陽気でリズミカルな演奏や反復する歌詞は心地良くて中毒性があり、魅力的です。

Live! (Deluxe Edition 2CD)
Bob Marley And The Wailers
Live! (1CD)
Bob Marley And The Wailers
 
 

編集盤

Legend: The Best Of Bob Marley And The Wailers (レジェンド~ザ・ベスト・オブ・ボブ・マーリー)

1984年

 ボブ・マーリーの死後発表されたベスト盤で、全世界で2800万枚以上を売り上げた大ヒット作です。2017年末にビルボード200へのチャート入り回数500回を達成し、ピンク・フロイドの『狂気』に次ぐ歴代2位の大記録を打ち立てました。

 アルバムは「Is This Love」で幕開け。ゆったりとした雰囲気で、オルガンやスライドギターが心地良いです。続く「No Woman, No Cry」は『ライヴ!』より。優しいけど憂いのあるオルガンに乗せ、マーリーの歌うメロディアスな歌は会場も合唱しています。特に中盤の大合唱は中々に感動的ですね。じっくりと浸れる1曲です。「Could You Be Loved」はグルーヴ感のある楽曲です。リズミカルなドラムやギターは勿論、ノリの良いベースも合わさってダンサブルな印象を抱きます。「Three Little Birds」はのんびりとしていてトロピカルな雰囲気がありますね。コーラスワークも含め、歌も優しいです。「Buffalo Soldier」ではイントロをはじめ所々でホーンを鳴らして盛り上げます。ゆったりしていますが、アストン・バレットによる少し硬質なベースがカッコ良い。「Get Up, Stand Up」はウェイラーズ時代の楽曲で、他の楽曲に比べるとピリピリと緊張感が漂っています。歌詞も「権利のために立ち上がれ」と反抗心に溢れていますね。スリリングでカッコ良い1曲です。「Stir It Up」はサイケデリックなレゲエですね。リズム隊はレゲエですが、歪んだ音によって幻覚的な空間を漂うような独特の浮遊感を生み出しています。やけにくっきり目立つベースもグルーヴィです。やけにビートが効いた「Easy Skanking」は、メロディに食い込むくらいベースが際立っています。浮遊感のあるコーラスワークとくっきりしたベースのギャップが変な感覚です。そして「One Love / People Get Ready」はマーリーの代表曲の一つ。優しくキャッチーな歌メロと心地良いレゲエのリズムに揺られます。「I Shot The Sheriff」エリック・クラプトンがカバーしたことで有名な楽曲です。ライブバージョンはとても聴きやすいですが、こちらは結構音がごちゃついている感じで、そしてコーラスがかなり下手。笑 でもグルーヴは中々強烈です。「Waiting In Vain」はメロディアスで少し憂いを感じます。エコーがかった演奏が特徴的ですね。「Redemption Song」はアコギだけのシンプルな楽曲で、リズム隊がいないだけで一気にレゲエ感が無くなるという。マーリーのしっとりとした歌は聴きごたえがあります。続く「Satisfy My Soul」はホーンが彩るゆったりとしたレゲエ曲で、気だるげな雰囲気が漂っています。「Exodus」はジャズ・フュージョン的な演奏が中々スリリング。テンポはそこまで速くないのですが、ひたすら反復する演奏はピリピリと緊張感が漂っており、じわりじわりと焦燥感を煽ってきます。中毒性もありますね。「Jamming」は強いグルーヴに溢れる演奏が幻覚的な感覚を生み出します。そしてフワフワとしたポップなメロディはどことなくビートルズを想起させたり。若干サイケなレゲエという面白い楽曲です。ラストの「Punky Reggae Party」は緊張感のある演奏がスリリングです。少し影のある歌メロも魅力的です。

 レゲエと言えば陽気なイメージがあり、そんなイメージどおりのノリの良い楽曲が並びますが、所々シリアスでスリリングな楽曲もあります。通しで聴くと若干ダレる部分もありますが、名曲に巡り会える入門向きの1枚でしょう。

Legend: The Best Of Bob Marley And The Wailers
(Deluxe Edition)
Bob Marley And The Wailers
Legend: The Best Of Bob Marley And The Wailers
Bob Marley And The Wailers
 
 
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