🇯🇵 INU (イヌ)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

メシ喰うな!

1981年 1stアルバム

 大阪府出身の伝説的なパンクバンド、INU。町田町蔵(後に町田康名義で作家デビュー)を中心に結成しました。1977年に前進となるバンド 腐れおめこを結成、1979年にINUに改名。唯一作となる本作『メシ喰うな!』でメジャーデビューして直後に解散してしまいます。「関西NO WAVE」と呼ばれる、関西出身のパンク・ニューウェイヴバンドの一派に位置づけられます。
 メンバーは流動的ですが、レコーディング時のメンバーは町田町蔵(Vo)、北田昌宏(Gt/Perc)、西川成子(B)、東浦真一(Dr)の4人。ジャケットに写る若き町田は当時19歳だったそうです。
 セックス・ピストルズあるいはパブリック・イメージ・リミテッドのジョン・ライドンっぽい歌唱や演奏に、パンク・ポストパンク全開の音楽が爽快です。

 町田が全作詞を手掛け、町田・北田・西川がそれぞれ作曲を行います。オープニングを飾るのは「フェイド・アウト」。パンキッシュで爽快な演奏は、パワフルなリズム隊が暴れ回り、粗暴なリズム隊をキレのあるギターが上手く纏め上げているような印象です。そして町田のヘロヘロな声質でシャウト気味に歌うスタイルに、ジョン・ライドンを想起させます。続く「つるつるの壺」は陰のある雰囲気で、そしてひりついた演奏はとてもスリリングです。でもサビメロでの演奏はメロディアスでもあります。町田の歌はメロディを堪能する感じではなく、煽るようなパンキッシュなスタイルを貫きます。中盤は疾走感のある演奏をテンション高く繰り広げます。「おっさんとおばはん」は時折高速ドラムが煽り立て、おっさんとおばはんに対する怒りをぶちまけます。終盤はひたすら同じ歌詞の反復です。「ダムダム弾」はポストパンク的なスリリングな楽曲で、図太いベースと野性味のあるドラムが焦燥感を煽り、ギターもキンキンとしたり奇怪な音を立てて、不穏な空気を増長。そしてひたすら呪文のように連呼し続ける「ダムダム弾」のフレーズが不気味に耳に残ります。「夢の中へ」はダブを用いてドラムが響き渡り、エフェクトを強くかけたギターも靄のように広がります。そして表題曲「メシ喰うな!」。PILの『メタル・ボックス』のような雰囲気で、スローペースの楽曲はベースが重低音を刻み、ギターが不快な金属音を鳴らします。町田のシャウト気味の歌は大槻ケンヂっぽいと思いましたが、町田の方が先ですね。
 レコードB面は「ライト・サイダーB (スカッと地獄)」で開幕。前半は爽やかで躍動感があり、ストレートな印象ですが、後半は念仏のようなコーラスをバックに語りを加えてひねた感じに変わります。「インロウタキン」は不協和音を奏でるスリリングなイントロを経て、歌が始まると結構ノリノリでキャッチーな印象へ。ちなみにインロウタキンとは何なのか?「金太郎印」という店の看板が左から右へ読む「印郎太金」と書かれていて、それを仲間内でインロウタキンと呼んでいたのをノリで使ったのだそうです。「305」はとてもスリリングな楽曲です。手数の多いドラムが緊張を一気に高め、まくし立てるような歌もスリリング。ギターは陰りのある雰囲気で不安を煽りますが、終盤は警告音のよう。「メリーゴーラウンド」はプリミティブな空気感を生み出すベースとドラムが軸を作り、音数は少なくいですが強い緊張を放ちます。怒りと狂気の混ざったボーカルがスリリング。最後の「気い狂て」はリズム隊が小気味良くビートを刻み、キレキレのギターが乱雑に散らします。歌が始まると意外にキャッチーで、パワフルで勢いに溢れて爽快です。でも中盤の演奏パートは実験的。

 PILに通じる実験性と、攻撃的で躍動感のあるスリリングな演奏を併せ持ち、凄まじいエネルギーがパッケージされています。
 1981年に解散してしまいますが、解散後にライブ盤『牛若丸なめとったらどついたるぞ!』をリリースしています。こちらはCD化はされていないそうです。

メシ喰うな! (UHQCD)
INU
 
 
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