🇯🇵 9mm Parabellum Bullet (キューミリ・パラベラム・バレット)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Termination

2007年 1stアルバム

 9mm Parabellum Bulletは日本のロックバンドで、神奈川大学の音楽サークルで2004年に結成しました。菅原卓郎(Vo/Gt)、滝善充(Gt)、中村和彦(B)、かみじょうちひろ(Dr)の4人組で、元々はベースレスの3人組でしたが菅原が中村を誘って結成に至りました。拳銃用弾薬として広く普及している「9mmパラベラム弾」がバンド名の由来。
 インディーズレーベルよりミニアルバムをリリースする傍ら、ライブ活動を精力的に行い、ライブでの激しいパフォーマンスには定評があります。2007年には『Discommunication e.p.』でメジャーデビュー、翌月にフルアルバムとなる本作『Termination』をリリースします。ポストハードコアを主軸にメタルなども取り入れた激しい演奏に、歌謡曲のような歌メロを乗せるスタイルに特徴があります。全ての作詞を菅原が行い、大半の作曲を滝が担当。元SUPERCARの いしわたり淳治がプロデュースしています。

 アルバムは「Psychopolis」で幕開け。シンバルのカウントから爆音の激しい演奏が始まります。哀愁の歌メロを乗せながら疾走、一瞬テンポを落とす場面がありますが、そこからハチャメチャでスリリングな演奏が始まって、また元のメロディに帰結。続く「Discommunication」はメジャーデビューシングルで、キャッチーな疾走曲。爽快なビートにザクザク・ゴリゴリしたリフが強烈。菅原の歌は単調ですが滑舌は良くて轟音の中でも存在感を放ち、メロディラインは不思議と耳に残ります。そしてラストは銃弾の嵐のように爆音が凄まじい音圧で迫ります。「Heat-Island (Album Ver.)」は激しい轟音と、静かな歌メロパートが対照的で、サビに向かってどちらも盛り上がっていきます。途中入る中村の絶叫も強烈です。続いて「Sleepwalk」は5/4拍子というトリッキーなリズムで疾走。変なリズムとメロディアスな歌が独特のフックをかけてくる印象的な1曲で、途中ベースソロも聴けます。「砂の惑星」はリズミカルな演奏に乗せて、少し古臭さを感じる歌メロをフィーチャー。激しさはやや控えめですが、フレーズは妙に耳に残るんですよね。ダサカッコ良いという感じ。「Heart-Shaped Gear」も激しさはやや控えめですが、かみじょうのドラムは忙しなくパタパタ叩いています。独特の哀愁メロディは歌謡曲チックで古臭い感じがします。「Sundome」は焦燥感を煽るシリアスな演奏がとてもスリリング。ノスタルジックな歌メロディが独特で、サビメロの強い哀愁とデスボイスのような絶叫がインパクトあります。「Battle March」はリズムチェンジを駆使したトリッキーな演奏が痛快。「Butterfly Effect」はテンション抑えめで、憂いを帯びたメロディを聴かせます。ラストは轟音で締め括ります。そしてタイトル曲「Termination」。勢いに満ちたキャッチーな楽曲です。哀愁の歌謡曲は相変わらずで、切れ味抜群の演奏をぶちかましてきます。間奏での滝のギターソロがカッコ良い。続いて「The World (Album Ver.)」は6/8拍子の早いテンポで哀愁のメロディを繰り広げます。そして最後は「Punishment」で、笑ってしまうくらい超速の疾走曲です。メロディアスなギターはメタルっぽく、破天荒に叩きつけるような演奏はハードコアっぽい。アルバムラストはキレッキレに締め括ります。

 全曲が勢いに満ちていてとてもエネルギッシュ。高い演奏力を背景にした破天荒な演奏がカッコ良く、でも歌謡曲のような歌は古臭いという、ダサカッコ良い感じです。

Termination
9mm Parabellum Bullet
 
VAMPIRE

2008年 2ndアルバム

 9mm Parabellum Bulletの2ndアルバム。前作を踏襲しつつも音楽的には新たな試みもなされており、そうした点が吸血鬼っぽいということで『VAMPIRE』というタイトルに決まったそうです。前作に引き続き、いしわたり淳治がプロデュース。オリコン週間2位(デイリーでは1位)を獲得し、彼らの中ではチャート最高位を記録した1枚です。

 アルバムは「Wanderland」で開幕。イントロから鈍器のように重たくも切れ味抜群の重低音を響かせて蹂躙します。演奏は非常に重たく激しいのに、3拍子で哀愁の歌メロを聴かせるギャップが印象的。続く「Vampiregirl」が個人的にはハイライト。ダーティで切れ味鋭い演奏に、滝善充のメランコリックなギターソロが光ります。メロディ無視のセリフパートを経て、サビではキャッチーかつメロディアスなフレーズを聴かせて切なさを誘います。「Trigger」ではベースが高速で這うようにうねり、ギターも耳に残る印象的なリフを刻みます。スタスタ刻むドラムもカッコ良い。演奏は沸々としつつも抑え気味ですが、時折爆発的なエネルギーをぶっ放してきます。終盤はかなり激しいです。音圧の強いイントロで幕を開ける「Keyword」は、哀愁漂うメロディアスな歌が切ないです。ギター速弾きとかメタルっぽいことをやってのけたりしますが、何気に存在感のある中村和彦のベースがカッコ良かったりします。「Hide&Seek」は哀愁のメロディも束の間、スラッシュビートが物凄いエネルギーを放ちます。疾走曲が多い9mm Parabellum Bulletですが、この楽曲は彼らの中でも最速クラスのBPMなのだとか。また、中村の絶叫も強烈なインパクトを放つ非常に激しい1曲です。続く「The Revenge of Surf Queen」はインストゥルメンタルで、メロディアスなフレーズが心地良いです。テケテケギターが古臭いですが、ベンチャーズ(1960年代頃に活躍した米国のバンド)を聴いてインスパイアされたのだとか。「Supernova」は和風のメロディが印象的。比較的ゆったり気味の歌メロを無視して、尋常でない速さを生み出すかみじょうちひろの手数の多いドラムがカッコ良い。「Faust」は珍しくほのぼのとした雰囲気で始まります。…が、徐々に緊張感や哀愁が強まっていき、シリアスでスリリングな楽曲へと変わっていきます。3分台の楽曲が多い中で唯一の5分超えで、やけに長く感じます。笑 そして「悪いクスリ」は音数少なくシンプルで、そしてグルーヴ感抜群のノリノリな1曲です。らしくないのですが、激しい楽曲が続く中でこの楽曲でひと息つけます。「We are Innocent」は爆音で疾走します。アグレッシブでスリリングな演奏に歌メロのダサさが際立つ、ギャップがインパクトのある1曲。「次の駅まで」はミドルテンポでややゆったりと哀愁の歌を聴かせます。ベースが際立ちますが、ギターも中々良い。ラスト曲「Living Dying Message」は、本作リリース前に期間限定無料ダウンロードで先行公開されていたそうです。軽快でノリの良いビートに歌謡曲全開のダサく哀愁ある歌が、意外と癖になります。

 ダサさが全面に出たという評価もあるものの、個人的には聴きやすくなった印象です。前作に比べて歌メロの魅力が増えた感じ。

VAMPIRE
9mm Parabellum Bullet
 
Revolutionary

2010年 3rdアルバム

 セルフプロデュース作となる3作目。大半の楽曲はこれまでどおり滝善充が作曲していますが、中村和彦とかみじょうちひろもそれぞれ単独名義での作曲が1曲ずつ。また、全作詞は菅原卓郎が手掛けています。
 私が初めて9mm Parabellum Bulletに触れた作品が本作でした。UNISON SQUARE GARDENのトリビュートアルバムで彼らを知って、前評判の良かった本作を手に取ったところ、激しい演奏や絶叫にぶちのめされました。アルバム1枚50分〜60分くらいのアーティストが多い中で、本作はとりわけ収録時間が短くてトータル33分。ですが短くて物足りないということはなく、冗長にならずサクッと聴けます。その潔さに好感が持てます。

 オープニング曲「Lovecall From The World」から超ハイテンションでかっ飛ばしています。僅か1分足らずですが、暴風雨のような怒涛の演奏にダーティなリフ、そして中村の絶叫があまりにも強烈です。続く「Cold Edge (Album ver.)」もパワフルに炸裂する激しい疾走曲で中村の作曲。ヘヴィに刻むのは三三七拍子。笑 菅原の歌う哀愁の歌メロはこれまでの彼らのように歌謡曲チックで、間奏のメロディアスなギターもどこか古臭くて、でもカッコ良いんですよね。イントロはタカタカ軽快な「Invitation」は、歌が始まるとギターがヘヴィに響きます。ダーティなギターリフが印象的で耳に残ります。「3031」はかみじょうの作曲。歌はシリアスな雰囲気で、ダーティなヘヴィメタルといった感じ。「Black Market Blues (Album mix)」は前作の路線が色濃い和風メロディが特徴的。ちょっとダサいんですが歌メロは強烈に耳に残るので、そういう意味では大成功なのでしょう。演奏はノリが良いのですが、後半は混沌とした展開が待っています。「命ノゼンマイ (Album mix)」は5分超の本作最長の1曲。ワルツを刻みながら、少しエキゾチックで怪しげなメロディを展開、サビメロは強い哀愁が漂っています。中盤にビートを倍速にしたり、メタリックなギターを披露したりと変化に満ちています。ラストはカオス。「光の雨が降る夜に」の序盤は東方紅魔郷の「U.N.オーエンは彼女なのか?」とかゲーム音楽に似てる気がします。跳ねるようなベースが心地良く、そして歌は哀愁たっぷりのドラマチックな歌謡曲。演奏はヘヴィメタルしていて、間奏のギターソロや、ラストのツインギターのハモりもアツいです。「Finder」は音数少なめに小気味良い演奏を展開、でも歌メロは少し古臭いですね。後半は慌ただしくリズムチェンジ。「キャンドルの灯を」はイントロのメロディアスなギターが良い。全体的にスウィングするビートが特徴的で、テンポは速いもののジャジーでオシャレな印象を受けます。そして最後はタイトルを冠した「The Revolutionary」。煽り立てるような高速ビートに乗せて、3分半の中で演奏は慌ただしく変わります。ダーティに這うようなギターを轟かせたかと思えば、メロディアスなツインギターに惚れ惚れ。ゴリゴリとメタリックなベースもカッコ良いです。そして歌はサビが特に美しい。

 ダサカッコ良い側面も時折見せつつ、洗練された疾走曲が揃っていて爽快です。今作はハードコアよりメタル要素の方が強いですね。最初に手に取った愛着もあるかもしれませんが、聴いた中ではこれが一番好みです。

Revolutionary
9mm Parabellum Bullet
 
 

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 同じ年に結成。双方のトリビュートアルバムにそれぞれ参加したり、対バンも行っています。

 
 
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