🇯🇵 Luminous Orange (ルミナスオレンジ)

　ルミナスオレンジは、竹内里恵(Vo/Gt/Key)によるソロプロジェクトです。1992年の結成当時は4ピースバンドでしたが、メンバーチェンジを重ね、本作の頃からソロプロジェクトとなったそうです。竹内は、英シューゲイザーバンドのペイル・セインツに憧れてバンドを始めたそうですが、一時期ペイル・セインツのイアン・マスターズも制作に関わっていました。
　本作はシューゲイザー名盤と名高く、そんな評判で手に取りましたがソニック・ユースのようなノイズ要素も強いです。なお、解散直後のナンバーガールからアヒト・イナザワ(Dr)と中尾憲太郎(B)がゲスト参加しています。

　アルバムはタイトル曲「Drop You Vivid Colours」で幕開け。ザラついたノイジーなギターが強烈な唸りを上げ、そんなギターにも張り合えるパワフルなドラムも強烈です。途中リズムチェンジを混ぜてトリッキーな楽曲を展開。力強い演奏に加えて英語詞なのもあって、歌はしっかり歌っているにも関わらず、楽器のようです。続く「How High」も高いテンションで幕を開けます。警告音のような強烈なギターをはじめ、勢い良いのある楽曲を繰り広げます。数少ない日本語詞なので、歌が聴きやすいですね。「the Sky」はフィードバックノイズで始まる、不協和音混じりのダーティな楽曲で、テンション低い歌はノイジーな演奏に埋もれにいっています。ギターが奏でるミニマルなフレーズが妙に耳に残ります。そして「Turbo R」はキリキリとしたギターから始まるアグレッシブでカッコ良い疾走曲です。ヴォコーダーを通した歌もノイズ要素を強めていて、全体的にささくれ立ったヒリヒリする楽曲に仕上がっています。そして「Give a Hint」は、他の楽曲と比べると比較的演奏が大人しめで(激しいことには変わりませんが)、柔らかくポップな歌メロが引き立つ優しい印象の1曲です。ギターのハーモニーも中々魅力的です。「Utatane no Hibi (I’ecume des jours)」はノイズは比較的控えめのギターロック的な楽曲です。ポツリポツリと単語を囁くような、ふわっとした独特の歌唱が印象的です。「Starred Leaf」は低音で囁くような歌や、グワングワンと酔いそうになるような演奏に、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを感じさせます。重低音を鳴らすベースの揺さぶりが心地良いですね。そして「Sun Ray」は、ノイジーなギターがイントロからテンション高めですが、歌が始まるとアコギも加わり優しい音色になります。そこにアンニュイな歌唱を乗せています。「Mother Pearl」は、透明感のあるギターが奏でるオルタナ的な演奏に、開放感や寂寥感があります。主張しない歌は楽器のよう。そして最後に「Rusty Wheel」。爆音ギターで暴れ回るアグレッシブな疾走曲です。ノイジーですが勢いがあって爽快ですね。

　爆音で疾走する攻撃的なシューゲイザー楽曲が、ヒリヒリしてとてもスリリングです。

Drop You Vivid Colours

ルミナスオレンジ