🇬🇧 McDonald And Giles (マクドナルド・アンド・ジャイルズ)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

McDonald And Giles (マクドナルド・アンド・ジャイルズ)

1971年 1stアルバム

 元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルド(Gt/Key/Sax/Fl)とマイケル・ジャイルズ(Dr/Perc)によるマクドナルド・アンド・ジャイルズの唯一作。
 『クリムゾン・キングの宮殿』リリース後のアメリカツアーで疲弊してマクドナルドとジャイルズは脱退。ジャイルズは『ポセイドンのめざめ』にゲスト参加していますが、その後に本作のレコーディングを開始しました。マイケル・ジャイルズの弟ピーター・ジャイルズ(B)やピート・シンフィールド(Lyrics)のほか、スティーヴ・ウィンウッド(Key)、マイケル・ブレイクスリー(Tb)らが参加しています。

 アルバムのオープニングは「Suite In C」で、2曲から鳴る11分強の組曲です。前半パート「Turnham Green」は落ち着いたメロウな演奏をバックに優しい歌メロが乗り、ビートルズのような牧歌的な側面も感じさせます。叙情的な面は流石『クリムゾン・キングの宮殿』のメインライターなだけありますが、件の作品に比べると大仰さは薄まった印象。とはいえ歌を終えたあとの演奏パートはスリリングで、手数の多いドラムなどで楽しませます。後半パート「Here I Am」に入るとストリングス中心に哀愁が漂ってきます。その後はサックスやベースがジャジーで楽しげな演奏を展開したり、場面転換が多くて忙しい。終盤は古びたロックンロールで締めます。「Flight Of The Ibis」はアコギを中心にフォーキーな雰囲気。途中加わる鍵盤も優しくてドリーミーですが、唯一ベースだけは結構ゴリゴリとした質感で存在感を放ちます。「Is She Waiting?」は憂いのあるメロディで、「Epitaph」から大仰さを取り除いたというか、叙情的な部分を抽出したかのような素朴な佳曲です。7分に渡る「Tomorrow’s People – The Children Of Today」は序盤は比較的ポップで、リズム隊と歌が主導して聴きやすい印象です。中盤からはフルートなど様々な楽器がノリの良い演奏を繰り広げ、徐々にテンポアップ。終盤にまたキャッチーな歌メロが戻ってきて終了。
 そしてアルバム後半は、レコード時代はB面丸々占める21分強の大作「Birdman」。全6部構成の組曲です。コーラスワークで幕を開けるとスペイシーで実験的な演奏が繰り広げられ、演奏を突如ぶった切って無機質なオルガンと牧歌的なポップソングが始まります。続いてリズミカルなドラムが全般を牽引し、そこにキャッチーな歌だったり、サックスを中心とした楽しげなジャムを展開。テンポダウンしたあとジャズっぽい演奏を交え、9分前後から静かで大人しくなります。そこから緩やかですが、じわりじわりと少しずつ盛り上がっていきます。14分過ぎにようやく、高めに高めた緊張を一旦放出。その後コーラスが穏やかに響くと、ピアノが主導して素朴な演奏へと変わります。コーラスとオルガンが厳か。そして終盤はホーンなどの楽器も増えてドラマチックに演出、壮大なラストの美しさは感動的です。

 壮絶なメロトロンの洪水も無ければ、火花を散らすスリリングな演奏バトルも基本は無いので、『クリムゾン・キングの宮殿』を期待した人は肩透かしを食らいそうな内容。私の低評価もそれが理由です。でも叙情的な側面は残っていて、宮殿さえ意識しなければ悪くはない作品でしょう。

 イアン・マクドナルドは後にフォリナーを結成、マイケル・マクドナルドはセッションミュージシャンとして活動するなど別々の道を歩むことになり、マクドナルド・アンド・ジャイルズ名義では本作限りとなりました。

マクドナルド・アンド・ジャイルズ
〈Progressive Rock1300 (SHM-CD)〉
McDonald And Giles
 
 

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