🇺🇸 Megadeth (メガデス)

レビュー作品数: 5
  

スタジオ盤

Killing Is My Business... And Business Is Good! (キリング・イズ・マイ・ビジネス)

1985年 1stアルバム

 メガデスはスラッシュメタル四天王(Big 4)の一つです。米国カリフォルニア州ロサンゼルスで結成しました。
 メンバーとの確執の末にメタリカを解雇されたデイヴ・ムステイン(Vo/Gt)。彼の作った楽曲は、彼の脱退後にメタリカ『キル・エム・オール』に使われ、失意と恨みを抱えていました。そんな中でデイヴィッド・エレフソン(B)と出会い、メガデスを結成することになります。バンド名の由来となった「Megadeath」とは「100万の死(=核兵器での膨大な被害)」を意味する軍事用語ですが、死の意味を忌避して「Megadeth」という綴りになりました。
 なお、デイヴとデイヴィッド以外のメンバーは流動的ですが、クリス・ポーランド(Gt)とガル・サミュエルソン(Dr)を加えて本作をリリースしています。ちなみにデイヴはファンから大佐と呼ばれています。公式ファンクラブでデイヴを大佐に据えていたことが由来だそうです。

 本作はカラット・フェイのプロデュース。
 オリジナル盤とリマスター盤で曲順が違うようで、私の手元にあるのはリマスター盤。オープニング曲「LastRites / Loved To Deth」では美しいエレピの音色からノイズが入り、強烈なヘヴィメタル曲が展開されます。ドラムが凄まじいです。表題曲「Killing Is My Business… And Business Is Good!」では加速したり速度を少し落としたりとリズムチェンジが激しい楽曲です。技術力の高さを感じさせます。タイトルを連呼する歌詞も耳に残ります。イントロのツーバスが圧倒的な「The Skull Beneath The Skin」も変速テクニカルな楽曲で強烈。速弾きギターソロが凄まじい「Rattlehead」がメチャメチャかっこよくて圧倒されます。また、「Mechanix」はメタリカの「The Four Horseman」の元ネタ曲で、デイヴのアイディアをベースにメタリカ側が改編を加えました。メガデスの方はドラムが凄いという印象が強いです。「These Boots」では放送禁止用語を連発しているのか何なのか、ピーッというマスク音が所々に入っています。

 ジャケットはマスコットキャラクターで、ヴィック・ラトルヘッド(Vic Rattlehead)と言います。他の作品のジャケットにも登場することになります。しかし本作はジャケットがどうにもダサくて、そのせいもあってか手に取る回数はかなり少ないのですが、聴くとクオリティは高いんですよね。技術力で言えばメタリカよりも高いと思います。

 2018年に「The Final Kill」なるリマスターが出ました。私が聴いたのはこの1つ前のリマスターですが、最新盤「The Final Kill」のリンクを貼っておきます。

Killing Is My Business… And Business Is Good! The Final Kill
Megadeth
 

Peace Sells... But Who's Buying? (ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?)

1986年 2ndアルバム

 前作がインディーレーベルからのリリースで、本作でレーベルを移籍。メジャー第1弾のアルバムとしてリリースされました。当初よりデイヴ・ムステインが「インテレクチュアル・スラッシュメタル(知的なスラッシュメタル)」を標榜しており、複雑な演奏と政治的な歌詞が本作において具現化することになります。
 マスコットキャラ、ヴィック・ラトルヘッドの描かれたジャケットアートはエド・レプカによるもの。デイヴが気に入り、他のジャケットでも何度かエド・レプカのアートワークが採用されています。

 プロデューサーにはランディ・バーンズを迎えています。
 オープニングの「Wake Up Dead」があまりに強烈。出だしからヘヴィなギターとメタリックなベースが特に良く、さらにリズムチェンジを加えて非常にスリリングな1曲です。変態的な構成はプログレメタルと呼んでも良いかもしれない。あまりにもカッコいい。続く「The Conjuring」は緊迫感が漂います。これは爆裂するベースとドラムがカッコいい。ベースはバキバキと唸っています。表題曲「Peace Sells」はベースソロで始まります。若干メタリカの「Ride The Lightning」っぽいのですが、当該楽曲の作曲にデイヴが携わっていたので、似通ってくるのも当然かもしれません。癖は強いですが終盤のタイトルを連呼する歌も印象的。続く「Devils Island」は疾走感溢れる1曲で、コーラスで飾られたサビの歌メロが耳に残ります。「Good Mourning / Black Friday」は哀愁漂うアコギで始まります。速弾きギターが登場するとヘヴィな楽曲に様変わり。でも引きずるような重さがあります。そして中盤で3連符を刻むパートが現れたあと、疾走曲に。そして「Bad Omen」ではおどろおどろしいヘヴィなサウンド。途中でリズムが変わるとフュージョンばりの演奏バトルが繰り広げられ、非常にスリリングです。少し毛色の異なる「I Ain’t Superstitious」はブルースミュージシャンのハウリン・ウルフのカバー曲。そしてラストの「My Last Words」は哀愁が漂う1曲で、ベースが強烈でバキバキ唸っています。終盤の速弾きギターと超高速ドラムもヤバい。

 変則的な楽曲構成は非常にスリリングで、聴きごたえのある作品です。『ラスト・イン・ピース』と並ぶメガデスの傑作です。

Peace Sells… But Who’s Buying? (25th Anniversary)
Megadeth
 
So Far, So Good... So What! (ソー・ファー、ソー・グッド…ソー・ホワット!)

1988年 3rdアルバム

 クリス・ポーランド(Gt)とガル・サミュエルソン(Dr)が解雇となり、代わってチャック・ビーラー(Dr)とジェフ・ヤング(Gt)をメンバーに加えて制作された本作。この2人も本作限りとなりますが…。

 本作はポール・レイニのプロデュース。
 インストゥルメンタル曲「Into The Lungs Of Hell」で始まります。序盤の演出には「?」がつきますが、激しい演奏が始まると圧倒されます。3分半で終わってしまうのが勿体ない面白さ。「Set The World Afire」ではヘヴィさを増します。ドラムの迫力が凄まじく、切れ味の鋭いギターリフもゾクゾクします。続くセックス・ピストルズのカバー曲「Anarchy In The U.K.」がアルバムの中では少し浮いている印象。残念ながら原曲の魅力には到底達していないものの、当然ながら原曲よりも格段にうまいです。続いて「Mary Jane」が奇妙な1曲で、怪しい雰囲気の楽曲を聴かせたかと思えば後半は疾走曲に変貌してまるで別物。そして「In My Darkness Hour」は交通事故で亡くなった旧友、メタリカのクリフ・バートンに捧げた1曲です。アコギの悲しげな音色から、エレキが加わって陰鬱でダークな雰囲気。デイヴ・ムステインの歌唱も悲しみを帯びています。中盤から疾走し、強烈なギターソロも聴かせますが、終始暗い雰囲気です。「Liar」でその暗さを吹き飛ばす攻撃的な歌唱と疾走感を見せて、疾走曲「Hook In Mouth」で終えます。デイヴィッド・エレフソンの強烈なベースが際立つ1曲で、ギターが加わってからも凄まじい緊張感を放ちます。

 『ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?』と『ラスト・イン・ピース』という2つの名盤に挟まれて地味な印象を持ちますが、攻撃性というか毒づいている感を強く感じられる1枚です。

So Far, So Good… So What! (Remastered)
Megadeth
 

Rust In Peace (ラスト・イン・ピース)

1990年 4thアルバム

 マーティ・フリードマン(Gt)とニック・メンザ(Dr)を新たにメンバーに加え、しばらくはこのメンバーで安定します。マーティ・フリードマンは親日家として知られ、メガデス脱退後に日本に移住して、テレビ出演や邦楽アーティストのサポートギタリストとして活動することになります。なお、本作のプロデューサーにはマイク・クリンクを迎えています。

 「Holy Wars…The Punishment Due」がオープニングからあまりに鮮烈。手数の多いドラム、メタリックなベース、速弾きギターによるテクニカルなイントロに圧倒されます。しれっとリズムチェンジを行い、緩急自在の演奏は終始スリリングでたまりません。続く「Hanger 18」もイントロのギターが放つ緊迫感。デイヴ・ムステインの歌もなかなか良い感じです。中盤の唐突なリズムチェンジと直後の演奏は鳥肌が立ちます。終盤のギターもとても気持ち良さそうな高音を奏でます。「Take No Prisoners」はベースとドラムの一体になった超硬質な演奏が非常にカッコよく、歌はそっちのけでリズム隊の演奏に聴き惚れてしまいます。それは次曲「Five Magics」の最初の数小節まで続きます。一旦テンポを落としてゆったりと、但し不穏な雰囲気を作り出します。歌が始まるとともに疾走しますが、緩急忙しい楽曲です。「Poison Was The Cure」はイントロのベースが不穏な雰囲気。疾走を始めるとテクニカルでメタリックな演奏陣がやはりカッコいい。不気味な笑い声で始まる「Lucretia」を挟んで、強烈な「Tornado Of Souls」。細かく刻むギターリフがヘヴィで、超絶ギターソロも凄まじい。そして哀愁のあるメロディラインも魅力的な楽曲です。「Dawn Patrol」はベースを主体に、非常に低い声で歌い(語り?)ます。次曲への繋ぎでしょうか。そしてラスト曲「Rust In Peace… Polaris」は、アルバムタイトルを背負うだけあってインパクトがあります。高速ドラムソロに始まり、ギターとベースが加わってスリリングな展開へ。リズムの変え方が強引ですが、3連のリズムは妙に心地よいです。4分手前で一旦演奏が途切れた後に、疾走曲が突如現れます。

 初期に比べると毒は薄まりましたが、聴きやすくてかつテクニカルな演奏を堪能できる楽曲が並びます。個人的にはメガデスの最高傑作です。

Rust In Peace (Remastered)
Megadeth
 

Countdown To Extinction (破滅へのカウントダウン)

1992年 5thアルバム

 メガデスの最大のヒット作『破滅へのカウントダウン』。プロデューサーにはマックス・ノーマンを迎えていますが、メンバーは前作と同じラインナップで制作されました。

 オープニング曲「Skin O’ My Teeth」から、これまでとは違う変化を感じます。変態的でテクニカルな演奏や毒づいた雰囲気は息を潜め、比較的ストレートな疾走曲。聴きやすいんですが、変わってしまったなぁという戸惑いの方が大きいです。続く「Symphony Of Destruction」はミドルテンポの楽曲です。ヘヴィな演奏ですが、怪しくもダークなメロディラインはキャッチーで、これが本作のハイライトでしょう。楽曲に変な捻りは無くなってしまいましたが、メロディアスで聴きやすいヘヴィメタルで良い出来だと思います。ここからしばらくミドルテンポ楽曲が並びます。インパクトがある楽曲だと「Sweating Bullets」が、トーンは低いものの妙にキャッチーで耳に残ります。3連符のリズムがパワフルに響き、強烈な印象を与えます。続く「This Was My Life」は次曲とセットのような感じです。ヘヴィで重く、暗い。「Countdown To Extinction」も非常にダークな雰囲気を纏っていますが、メロディアスで聴きやすいんです。「High Speed Dirt」は疾走感溢れる楽曲です。ストレートな演奏ですが、ミドルテンポが続いていたので救いのような爽快さです。またラスト曲「Ashes In Your Mouth」は、毒は少ないものの変態的な楽曲構成とテクニカルな演奏に、これまでのメガデスを感じさせてくれます。

 時代の流れもあってか、変態的な楽曲構成やテクニカルな演奏を披露した「インテレクチュアル・スラッシュメタル」は、本作においては息を潜めています。正直メガデスの魅力をこの点に見出だしていたので、この変化は戸惑いが大きいです。本作はミドルテンポの楽曲を中心に構成されていて、グランジの影響も受けたのか、引きずるような重さ・暗さです。しかしこれまでのメガデスにはなかったキャッチーでメロディアスな楽曲が並びます。

Countdown To Extinction (Remastered)
Megadeth
 
 

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 デイヴ・ムステインが所属していたバンド。

 
 
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