🇮🇹 New Trolls (ニュー・トロルス)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Concerto Grosso Per I New Trolls (コンチェルト・グロッソ)

1971年 3rdアルバム

 ニュー・トロルスはイタリアのジェノヴァ出身のプログレバンドです。前身バンド「The Trolls」を受けて「New Trolls」の名で1960年代半ばに結成、1967年にシングル「Sensazioni」でデビューしました。
 作曲家ルイス・バカロフの映画音楽をアレンジした本作は、クラシックとロックの融合を果たしたイタリアンプログレの傑作として知られます。この時点のメンバーはニコ・ディ・パーロ(Gt/Vo)、ヴィットリオ・デ・スカルツィ(Gt/Fl)、マウリツィオ・サルヴィ(Key)、ジョルジョ・ダダモ(B)、ジャンニ・ベッレーロ(Dr)。プロデューサーにはセルジオ・バルドッティ。

 2分強の「1° Tempo: Allegro」で幕開け。何重にも重なった美しいストリングスと、かなりヘヴィなフルート&バンド演奏が掛け合いを行います。フルートやギターはジェスロ・タルのように荒くれていて、ドラムもかなりパワフル。クラシカルで優美なストリングスとは対照的です。続く「2° Tempo: Adagio (Shadows)」は強烈な哀愁があります。音数少なくも悲壮感のあるメロディで始まり、楽器が増えてその哀愁はどんどん強まります。そしてメロディアスな旋律に乗せて切ない歌が乗っかります。「3° Tempo: Cadenza – Andante Con Moto」はヴァイオリンソロを披露し、テクニカルな演奏に浸っていると、穏やかで哀愁に満ちた演奏がバックに広がっていきます。「4° Tempo: Shadows (Per Jimi Hendrix)」はオーケストラは用いず、ブルージーなバンド演奏が中心。ファルセットを駆使したコーラスワークが特徴的で、中盤はヘヴィなフルートが存在感を見せます。前年に亡くなったジミ・ヘンドリックスに敬意を示し、終盤はキンキンと荒々しいギターソロを聴かせます。
 そしてレコードでいうB面丸々占める、アルバム後半に控える20分の大作「Nella Sala Vuota, Improvvisazioni Dei New Trolls Registrate In Diretta」。これもバンド演奏のみです。ハモンドオルガンがソロを披露し、そして悲鳴のようなシャウトを皮切りにヘヴィなバンド演奏が始まります。美しさの欠片もないヘヴィなフルートやハードな演奏はジェスロ・タルを彷彿とさせますが、キンキンしすぎて若干聴きづらい…。7分頃から賛美歌のような美しいパートが表れ、束の間ヘヴィな演奏が荒らしていきます。シャウトはユーライア・ヒープにも似ていますね。9分頃から雰囲気を変え、軽快でリズミカルな演奏を展開。ご機嫌に跳ね回るオルガンに心地良く浸っていると、つんざくようなギターがキンキンと鳴り響き、そして長尺のドラムソロへ。バンド演奏が戻ってくるのがラスト1分を切ってからという、終盤はほぼずっとドラムソロなのでした。

 原曲なのかニュー・トロルスのアレンジ版かはわかりませんが、どこかで耳にしたことのあるメロディがちらほら。でもバンド演奏は粗削りで若干聴きづらい印象は否めません。

Concerto Grosso Per I New Trolls
New Trolls
 
 
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