🇬🇧 Uriah Heep (ユーライア・ヒープ)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Look At Yourself (対自核)

1971年 3rdアルバム

 ユーライア・ヒープは英国のハードロックバンドで、1969年に結成しました。今なお解散せずに現役です。ハードロック黎明期にレッド・ツェッペリンやディープ・パープルらとともにハードロックの基礎を作り上げた重要なバンドとして知られます。プログレにも近いスタイルで、プログレに位置づける人もいますね。
 メンバーチェンジが頻繁で、本作時点ではデヴィッド・バイロン(Vo)、ミック・ボックス(Gt)、ケン・ヘンズレー(Key/Vo)、ポール・ニュートン(B)、イアン・クラーク(Dr)。ジェリー・ブロンのプロデュース。
 ジャケットアートは画像だと分かりにくいですが、実物は真ん中の四角い部分がホイル紙で鏡のようになっています。だから原題も『Look At Yourself (自分自身を見ろ)』なんですね。『対自核』という邦題は意味不明です…。

 オープニング曲は「Look At Yourself」。イントロからヘンズレーのヘヴィなハモンドオルガンが暴れ回ります。そのヘンズレーがこの楽曲ではリードボーカル。勢いのあるサウンドは爽快感があり、またコーラスワークも印象的です。終盤のドラムもスリリングですね。続く「I Wanna Be Free」はヘヴィなギターが強烈なリフをぶちかまします。超ハイトーンのボーカルの裏で暴れ回るニュートンのベースもカッコいいです。そして続く、10分半に渡る大作「July Morning」。バイロンの哀愁漂う歌が響くバラードです。演歌のような強烈な哀愁というか、むしろ暗さの演出が大袈裟ではありますが、強烈な印象に残る1曲です。ヘヴィなオルガンが鳴り響いている裏でベースがとても良い。終盤は同じフレーズをひたすら反復しますが、徐々に激しく、そしてスペイシーなサウンドになっていきます。
 アルバムは後半に入り、「Tears In My Eyes」はイントロから炸裂するドラムが爽快。中盤の「ナナナナナーナ…」の連呼の裏でスペイシーなサウンドが気持ち良いです。続いて「Shadows Of Grief」は8分半に渡る大曲。前半はヘヴィだけどキャッチーなフレーズが耳に残ります。「What Should Be Done」はしっとりと歌を聴かせます。ヘヴィな楽曲が並ぶ本作の中で数少ない癒やし枠かもしれません。最後の「Love Machine」はヘヴィなオルガンが主導するロックンロール。

 ハモンドオルガンが爆裂するハードロックで、ディープ・パープル寄りの雰囲気。サウンドは少し芋臭さというか時代を感じますが、名曲が多いので、旧き良きブリティッシュハードロックが好きな方は必聴です。

Look At Yourself: Deluxe Edition (2017 Remastered)
Uriah Heep
 

Demons And Wizards (悪魔と魔法使い)

1972年 4thアルバム

 前作から本作の間でメンバー交代があり、ドラマーはイアン・クラークからリー・カースレイクに交代。またベーシストはポール・ニュートンからマーク・クラークに交代するも、僅か3ヶ月で脱退してゲイリー・セインが後任に就きました。プロデューサーは前作に引き続きジェリー・ブロン。また本作より、イエスをはじめプログレバンドの御用達画家ロジャー・ディーンのジャケットアートを採用しました。ハードロックよりもプログレの観点で語られることが多い作品です。

 「The Wizard」で開幕。アコースティックギターの優しい音色に乗せて、デヴィッド・バイロンが爽やかに歌います。ハイトーンのコーラスワークも彼らの特徴ですね。続く「Traveller In Time」は対照的に、ヘヴィなギターリフをイントロからぶちかましてきます(歌が始まると一気に大人しくなりますが)。やや複雑な構成はプログレ的です。続いて本作のハイライト「Easy Livin’」。ギター、オルガン、ベースが一体となってヘヴィなサウンドを作り、ドラムが軽快なリズムを生み出します。演奏は緊迫感があるものの、歌は伸びやか。僅か3分足らずですがとても爽快です。「Poet’s Justice」もイントロからヘヴィ。カースレイクの手数の多いドラムが聴きどころです。「Circle Of Hands」はオルガンの音色とコーラスワークで荘厳な雰囲気を作り出します。後半はヘヴィなバンド演奏に変わります。セインのうねるベースがカッコ良い。
 アルバム後半は「Rainbow Demon」で幕開け。ケン・ヘンズレーの重たいオルガンを中心に、ヘヴィでねちっこいサウンド。オリエンタルな要素も取り入れて、怪しさ全開のダークな1曲です。続く「All My Life」はツインギターが織り成す、ヘヴィだけど爽快感もある1曲。ラストのイアン・ギランばりの超ハイトーンのシャウトが強烈です。続いて「Paradise」はアコギを主体に穏やかな雰囲気。終盤に向けて怪しさを増しますが、底抜けに明るい「The Spell」が上から被せるように続きます。この2曲、最近のリマスターでは1曲に統合されたようです。なお底抜けに明るいパートは序盤で終わり、そこから強烈な哀愁漂う楽曲に変貌します。この哀愁のメロディがたまらなく良いです。そして終盤に軽快な楽曲に変わって終了。

 前作ではヘヴィなサウンド一辺倒でしたが、本作では時折見せるアコギが優しく美しい。表現力の広がりを感じられます。構成も複雑化してプログレ的な要素も強い1枚です。

Demons And Wizards: Deluxe Edition (2017 Remastered)
Uriah Heep
 

The Magician's Birthday (魔の饗宴)

1972年 5thアルバム

 ゲイリー・セインの薬物中毒が深刻化するも、メンバー変更はなく前作と同じラインナップで制作されました。プロデューサーはジェリー・ブロン、アートワークもロジャー・ディーンでそれぞれ続投です。
 どぎつい真っ赤なジャケットが鮮烈ですが、制作途中のアートワークをメンバーが気に入ってこのままの形で採用したそうです。そうしたメンバーの意見がなければ、ロジャー・ディーンお得意の幻想的な背景が描き加えられて違った形で完成していたかもしれませんね。個人的にはジャケットも中身も含めて最高傑作だと思っています。

 「Sunrise」でオープニング。いきなりハイトーンが強烈なコーラスワークで幕を開けます。ディープ・パープルみたいな雰囲気で、ケン・ヘンズレーのハモンドオルガンを中心にサウンドはヘヴィです。続いて「Spider Woman」はノリの良いロックンロール。本作では数少ないアップテンポの楽曲です。軽快なドラムに乗せてスライドギターが心地良い。「Blind Eye」は爽やかで、どことなく湿っぽさがあります。軽快なアコギの裏でセインのベースがとても良い仕事をしている印象。また、リー・カースレイクのドラムもバタバタと心地良い。「Echoes In The Dark」は哀愁漂う1曲。デヴィッド・バイロンの歌と合わせて、哀愁を増幅させるコーラスワークが美しい。そしてギターが哀しくもメロディアスな音色を奏でる裏で、強烈な存在感を放つベースが素晴らしいです。ドラムもパワフルですね。「Rain」はピアノ主体のしっとりとしたバラードです。ヘヴィさはなく、純粋にバイロンの歌で聴かせるシンプルでとても美しい1曲です。
 アルバム後半は「Sweet Lorraine」で開幕。ムーグシンセサイザーが、スペイシーで幽霊のようなサウンドを奏でるアップテンポ曲。キャッチーでノリも良く、本作では取っつきやすい1曲です。ベースもカッコいい。「Tales」はアコギ主体の湿っぽい楽曲。エレキが作る浮遊感のあるサウンドも良い感じ。そして表題曲にして本作のハイライト「The Magician’s Birthday」。この1曲があるから個人的に本作を推します。10分半の大作で、ヘヴィなギターを中心としたハードロック。そして突如始まるマイナー調の「Happy Birthday To You」。まるで祝われている気のしない、怪しい「Happy Birthday To You」が強烈なインパクトです。そして中盤の不穏なキーボードを契機に始まる、非常にスリリングな演奏。スタスタとスピード感を煽るドラムに乗せてミック・ボックスのギターソロの独壇場。時折不穏なキーボードが表れて掻き乱します。終盤の歌は超ハイトーンボイス。終始強烈な楽曲でした。

 世間的には前の2作の方が評価が高い印象ですが、個人的には本作が最高傑作だと思っています。邪悪なジャケットアートに、強烈なインパクトを放つ表題曲。これらが非常に魅力的です。

The Magician’s Birthday: Deluxe Edition (2017 Remastered)
Uriah Heep
 
 
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