🇬🇧 Simple Minds (シンプル・マインズ)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

New Gold Dream (81-82-83-84) (黄金伝説)

1982年 5thアルバム

 シンプル・マインズはスコットランドのグラスゴー出身のロックバンドです。1977年に前身となるバンド、ジョニー&ザ・セルフアビューザーズが結成されますが、同年中にバンドは2つのバンドに分裂。そのうちのジム・カー(Vo)、チャーリー・バーチル(Gt/Key)、トニー・ドナルド(B)、ブライアン・マッギー(Dr)の4人でシンプル・マインズを結成します。バンド名はデヴィッド・ボウイの「Jean Genie」の歌詞から取ったのだとか。最初期はメンバーが流動的で、トニーが脱退してデレク・フォーブス(B)に取って代わり、またマイケル・マクニール(Key)が加入して5人体制で安定します。
 1979年に1stアルバムをリリースし、パンク・ポストパンク的な作品に取り組んだのちにベスト盤『セレブレイション』で一区切りつけます。この時期ブライアンが結婚を理由に脱退して、固定のドラマー不在時にレコーディングされたようです。靄のかかったようなアトモスフェリックなサウンドU2の『焔』に影響を与えたようです(ちなみにジムはU2のボノとは友人だとか)。ピーター・ウォルシュのプロデュース。

 オープニングを飾るのは、彼らの代表曲の一つ「Someone Somewhere In Summertime」。靄のかかったようなひんやりとしたサウンドで、ダンディな歌もエコーがかかっていますが、リズム隊は輪郭がくっきりとしています。哀愁が漂う美しい楽曲です。続く「Colours Fly And Catherine Wheel」はファンクのようにグルーヴィなベースやギター、そして力強いパーカッションが特徴的。リズム隊はダイナミズムに溢れるものの、キーボードは空気のように広がって掴みどころがなく、無機質な効果音を添えます。「Promised You A Miracle」はイントロからキャッチーに惹きつける良曲ですね。シンセはキャッチーな旋律を奏でつつ、メロディアスでもある。そして力強いビートはダンサブルです。「Big Sleep」はドリーミーなシンセによる装飾がなされているものの、リズム隊はファンク色が強いです。浮遊感があるのに強烈なグルーヴがギャップを感じさせます。そして「Somebody Up There Likes You」はインストゥルメンタル。ゆったりとして靄のかかったようなドリーミーな感覚ですが、ベースがやけに際立っていて奇妙なグルーヴを持っています。
 レコード時代のB面、アルバム後半はタイトル曲「New Gold Dream (81-82-83-84)」で幕開け。打ち込みのノリの良いリズムビートに、華やかなシンセとうねるベースが、キャッチーながら少し奇怪なイントロを奏でます。歌が始まっても、ポップでノリノリな楽曲の中にどこか引っかかる若干の違和感が、この楽曲のインパクトを強めます。続く「Glittering Prize」は、とてもパワフルなドラムとベースが横ノリの強烈なグルーヴを生み出しています。リズム隊は踊り出したくなるようなノリを生み出しますが、ダンディで優しい歌には強めのエコーをかけて幻覚的な感覚を併せ持っています。「Hunter And The Hunted」ではハービー・ハンコック(Key)がゲスト参加。楽曲全体に漂う内省的な雰囲気と、場違いなくらい力強いドラムのビートが対照的です。最後に、7分に渡る「King Is White And In The Crowd」。演奏には実験的な側面も垣間見えつつ、憂いを帯びた楽曲はゆったりと浸れます。後半パーカッションが前面に出てくる場面は、急に現実に引き戻される感じ。

 キャッチーな楽曲が多くてポップセンスが光ります。作風としてはドリーミーな感覚と、ファンクに影響を受けた強いグルーヴが対照的で、中々インパクトがあります。

New Gold Dream (81-82-83-84)
Deluxe Edition 2CD
Simple Minds
New Gold Dream (81-82-83-84)
Remastered 1CD
Simple Minds
 
Sparkle In The Rain (スパークル・イン・ザ・レイン)

1984年 6thアルバム

 メンバーラインナップはジム・カー(Vo)、チャーリー・バーチル(Gt)、デレク・フォーブス(B)、マイケル・マクニール(Key)、そして新ドラマーにはメル・ゲイナー(Dr)が加入。U2をはじめ数多くの名盤を生み出してきた名プロデューサー、スティーヴ・リリーホワイトを迎えて制作されました。絶賛された前作の内省的な音楽性から脱却し、ロックのダイナミズムを強調した作風となっています。前作以上に大きな成功を得て全英1位を獲得。スタジアムロックへの変遷が捉えられています。

 オープニングを飾る「Up On The Catwalk」は、ドラムのカウントからダイナミックな演奏がスタート。メリハリのあるドラムに、残響感のあるキーボードやボーカルは、ライブ会場で聴いているかのような迫力があってカッコ良い。そして力強さの中に漂う哀愁や、ジムの歌唱スタイル等にU2っぽさを感じます。続く「Book Of Brilliant Things」はダイナミックなドラムに乗せて、ときに耽美でときに力強く歌を聴かせます。ドラムだけ非常にくっきりしているものの、やや幻覚的な演奏はサイケのように酔いそうな感覚があります。「Speed Your Love To Me」は冒頭から力強いドラムやパキパキした重低音が強い緊張を生み出し、リズミカルですが焦燥感を煽り立てます。スリリングですが、時折透明感のある鍵盤と哀愁の歌メロが切なさを誘います。そして「Waterfront」はヒットしたリードシングルで、強靭なベースリフをはじめリズム隊が楽曲の核となり、シンセが大仰で華やかに演出。ミドルテンポですがメロディは弱く、代わりにロック的なノリが良さとどっしりとした貫禄があります。「East At Easter」は憂いを帯びて静かな雰囲気ですが、楽曲が進むにつれて徐々にダイナミックになり、ジムの歌も熱量が増していきます。
 アルバム後半の「Street Hassle」ルー・リードのカバー曲。透明感のある心地良いギターや勇壮なドラムをバックに淡々と進行しますが、後半から豹変。ドラムやボーカルは激しく、スリリングになります。「White Hot Day」は晴れやかなシンセで幕を開け、伸びやかなギターも良い味を出しています。ですが歌が始まると靄のかかったようなひんやりとした空気が立ち込め、そこにくっきりとしたベースだけが際立つという、前作のような作風です。サビメロは華やかですね。続く「C’ Moon Cry Like A Baby」は、イントロでの寂寥感のあるギターがオルタナっぽくも、そこからオルガンやドラムを中心にダンサブルな演奏を繰り広げます。ドラムのカウントで始まる「The Kick Inside Of Me」はバッキバキのベースに躍動感あるドラムと、ロック感のあるダイナミックな演奏を展開。ボーカルも力強くてシャウト気味です。激しくて爽快な楽曲ですね。そしてラスト曲「Shake Off The Ghosts」はインストゥルメンタル。クリーンなギターやシンセが優しい音色を聴かせてゆったり浸れる楽曲ですが、ダブを用いたノイズっぽいリズムや、終盤で逆再生を用いたりと、聴きやすさを保ちながら実験的な試みもなされています。

 ダイナミックで派手さを増しましたが、カッコ良くてキャッチーな楽曲が揃った名盤です。

Sparkle In The Rain
Deluxe Edition 2CD
Simple Minds
Sparkle In The Rain
Remastered 1CD
Simple Minds
 
 
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