🇯🇵 THE BLUE HEARTS (ザ・ブルーハーツ)
レビュー作品数: 2
スタジオ盤
1987年 1stアルバム
THE BLUE HEARTSは日本のパンクバンドです。甲本ヒロト(Vo/Gt)、真島昌利(Gt/Vo)、河口純之助(B)、梶原徹也(Dr)の4人組で、1985年に甲本と真島を中心に結成。脱退したベーシストの代わりにマネージャーの河口がベーシストを兼任、また1986年には梶原が加入してラインナップが固定されます。1995年の解散後も根強い人気を誇り、後発のアーティストや、2000年代前半の青春パンクブームにも大きな影響を与えています。
ラモーンズ直系の3コードのパンクを展開する爽快な本作。有名曲「リンダリンダ」をはじめ名曲が揃っています。
アルバムのオープニングを飾る「未来は僕等の手の中」は躍動感のあるドラムで幕開け。パンキッシュで爽快な演奏に乗る、甲本のまくし立てるような歌は上手くないですがカッコ良いです。続く名曲「終わらない歌」。個人的には「リンダリンダ」よりこっちの方が好きです。イントロから弾け飛ぶようなノリノリの演奏で、徐々に力強くなるドラムが特に印象的。途中アコギパートが優しいですね。そして「終わらない歌を歌おう」のキャッチーな歌詞が強烈に耳に残り、いつまでも続いてくれそうな感じがします。孤独や辛いシチュエーションの並ぶ歌詞は切なさがありますが、力強いサビメロと「明日には笑えるように」のフレーズで励ましてくれる温かい1曲です。「NO NO NO」は緊迫感のあるイントロで幕を開けるパンキッシュな1曲。ベースラインが結構耳に残るんですよね。「パンク・ロック」はミドルテンポですが力強く噛み締めるような演奏。そして、「僕 パンク・ロックが好きだ」の短くシンプルながらストレートな感情をぶつける分かりやすい歌詞とメロディアスなメロディ。魅力的な1曲です。続く「街」は疾走ロックンロールで、リズミカルな演奏が爽快。ガラ声で堂々と歌う甲本の歌は上手くないものの、メロディの良さか彼のキャラクターか、下手さが気にならないんですよね。「少年の詩」はパワフルなドラムやゴリゴリベース、語感の良い歌がリズミカルで、聴いていると身体が自然と動き出します。続いて「爆弾が落っこちる時」。「爆弾」とか「ミサイル」とかそういうのが好きなんでしょうか。笑 ダイナミックな演奏と勢いに満ちた歌唱で一気に駆け抜けます。「いらないものが多すぎる」の連呼は一緒に歌いたくなりますね。「世界のまん中」はダーティなイントロからパンキッシュな演奏が始まります。バックで荒々しくかき鳴らす真島のギターが中々良い感じ。「裸の王様」はイントロ無しでいきなり始まります。時折高速連打するドラムがスリリングでカッコ良いですね。「ダンス・ナンバー」はダイナミックなドラムと「オイッ!」のコールが爽快。「ダンス・ナンバー」のタイトルとは裏腹に、本作最速の速すぎる演奏にまくし立てるような早口な歌詞で、とても踊れる感じはしません。笑 「君のため」は3拍子のゆったりとした楽曲。哀愁が漂い、渋く力強い歌をじっくりと聴かせます。そしてラストに控える名曲「リンダリンダ」。THE BLUE HEARTSと言えばこの楽曲ですね。ちなみに「リンダ」とは誰かと議論に挙がりますが、実は「ダーリンダーリン」が歌いにくいから「リンダリンダ」になったのだそうです。アコギの静かな音色に乗せ「ドブネズミのように美しくなりたい」から始まり、そして「リンダリンダ」のキャッチーなフレーズの連呼とともに始まるパンキッシュで弾けるような演奏。キャッチーなメロディは勿論、個人的にはベースも耳触りが良くて好きですね。
日本のパンクロックの教科書。ノリの良い楽曲が詰まっていてスカッと爽快、そしてトータル34分の短さも一気に聴くには丁度良いです。
1988年 3rdアルバム
2ndアルバム『YOUNG AND PRETTY』を挟んで発表された、THE BLUE HEARTSの3作目。50万枚を超えるヒットとなり、そこから名曲「TRAIN-TRAIN」がシングルカットされています。パンクから広がりを見せ、ブルースロック等も取り入れています。
タイトル曲「TRAIN-TRAIN」で幕開け。イントロから荒れ狂う甲本ヒロトのハーモニカと、梶原徹也の高速ドラムが合わさって、列車が走っていくかのような雰囲気。そしてピアノに乗せてメロディアスな歌が始まります。そして疾走感のあるバンド演奏が加わって盛り上がっていく…この展開がアツいですね。ピアノの味付けも良い感じ。そして何と言っても、一度聴いたら忘れられないキャッチーな歌メロが魅力的なんです。口ずさみたくなりますね。「メリーゴーランド」は泥臭いロックンロール。ブルージーなギターをはじめ、リズミカルでキレのある演奏。そして何度かリズムチェンジする複雑な展開をしますが、基本は古臭いロックンロールを奏でます。甲本のガラ声よりもだみ声を聞かせる真島昌利のコーラスも印象的。「電光石火」は疾走感のあるパンキッシュなロックンロール。河口純之助(の跳ねるようなベースが爽快です。続く「ミサイル」はスライドギターによる南国感のあるまったりとした演奏が心地良いです。ですが「ミサイル」という物騒な言葉の連呼が乗るため、演奏とギャップがありますね。「僕の右手」は、甲本の友人(右手を失い義手となった「片手のパンクス」ことMASAMI)のことを歌った楽曲。ノリの良い演奏ですが、甲本の歌は切なくて哀愁を感じさせます。「無言電話のブルース」はローリング・ストーンズにも通じる気だるげなロックンロールです。真島の実体験を元にした歌詞だそうで、夜中の3時に無言電話をかけてくる相手に対する怒りや戸惑いをゆるいロックに乗せて歌います。「風船爆弾 (バンバンバン)」は河口が初めて作詞作曲した、ご機嫌なロックンロールです。ポップなメロディで聴きやすいですね。元々は「恋は風船爆弾」だったはずが手違いで現在のタイトルになったのだとか。「ラブレター」はゆったりとした1曲。メロディアスな楽曲ですが、全体的に漂うレトロな雰囲気に加えて歌謡曲のようなメロディ、そしてサビメロを彩るベタなストリングスなどによりどうにも古臭い印象があります。「ながれもの」は西部劇のようなイントロに、タッタカタッタカ駆け抜けるようなドラムが爽快な疾走曲。続く「ブルースをけとばせ」は真島がしゃがれ声でボーカルを取る楽曲です。イントロからもろにローリング・ストーンズを想起させますね。気だるくて心地良いロックンロールです。「青空」はアコギが郷愁を誘う切ない楽曲。歌詞はアメリカの人種差別を歌っています。そして最後は「お前を離さない」。ホーンやピアノで装飾された、ご機嫌で賑やかなロックンロールです。ノリは良いのですが、ラスト曲としてはやや弱いかも。ラストに「TRAIN-TRAIN」のリプライズを少しだけ流して終了。
バラエティ豊富になりましたが、名曲「TRAIN-TRAIN」のようなパンク曲を期待して臨むと肩透かしを食らいます。なお、ローリング・ストーンズ好きとしては、いくつかのストーンズっぽい楽曲は中々好みです。
THE BLUE HEARTSは、1995年の解散までに8枚のオリジナルアルバムをリリース。そして解散後は甲本と真島でTHE HIGH-LOWS、その後ザ・クロマニヨンズを結成しています。
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