🇬🇧 The Buggles (バグルス)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1980年 1stアルバム
トレヴァー・ホーン(Vo/B/Gt)とジェフ・ダウンズ(Key/Dr)から成る2人組ユニット、バグルスの『ラジオ・スターの悲劇』。なお結成当時はブルース・ウーリィというメンバーもいましたがソロデビューしたため、残った2人で2人組ユニットとしてデビューしたようです。ロンドンで1977年に結成。
テクノポップで、特にアルバム邦題にも付けられたキラーチューン「Video Killed The Radio Star」は時代を代表する名曲です。MTVが始まったことで、ラジオのオンエアで楽曲をヒットさせていた往年のスターに取って代わり、キャッチーで愉快なPVを流す1980年代のミュージシャンがヒットする。そんな時代の移り変わりを敏感に感じとり、切ない歌詞をポップなテクノサウンドに乗せ歌いました。正直バグルスといえばこの超名曲を放った一発屋というイメージがどうしても抜けません。その後往年のプログレバンド イエスに吸収合併されるので致し方なしでしょうか。
バグルスのセルフプロデュース作となる本作は「Living In The Plastic Age」で開幕。SFチックなサウンドが少し古臭くて、でもキャッチーでポップですね。続く「Video Killed The Radio Star」は前述のとおり本作のハイライトです。トレヴァーの淡々とした歌を彩るキャッチーな「アーワアーワ」。そして印象的なサビメロを歌う女性はデビ・ドスとリンダ・ジャルディムで、PVにも登場しています。一度聴いたら忘れられないインパクトのある楽曲で、逆にこれが全部持っていってしまっているという。ジェフのシンセやキャッチーな女性ボーカルにより、華やかで軽やかな印象です。そして「Kid Dynamo」は緊迫感のある楽曲。シリアスで影のある歌、そして疾走感のあるサウンドはスリリングです。終盤なんてとても激しい演奏ですし。ですがメロディはキャッチーで耳に残ります。「I Love You (Miss Robot)」はメタリックなベースと淡々としたドラムが、レゲエのようなダンサブルなリズムを刻みます。機械音のように加工されたボーカルもまるで楽器のよう。
アルバム後半は「Clean, Clean」で幕開け。機械音のように細かく刻むリフ、そしてキャッチーで少しヘタウマな感じの歌が印象的です。シンセの音色は少し東洋っぽいですね。「Elstree」はポップで爽やかなノリの演奏ですが、湿っぽい哀愁のメロディが切なく、しんみりとした気分にさせます。「Astroboy (And The Proles On Parade)」はイントロこそ悲壮感があるものの、歌が始まると牧歌的でスペイシーな感じ。ゆったりと宇宙空間を漂うような感じでしょうか。メロディアスなベースも印象的です。そして最後は「Johnny On The Monorail」。焦燥感を煽るような、疾走感溢れるスリリングな楽曲です。ですが音色はシンセ主体で親しみやすいし、サビの囁くようなコーラスは心地良かったりと、根っこはポップで聴きやすいですね。
アルバムも良質なポップ楽曲が多く、「Kid Dynamo」とかとてもキャッチーだと思います。ですが「Video Killed The Radio Star」がひときわ飛び抜けていて、これに匹敵する楽曲が他にないんですよね。
バグルスはその後イエスに加わり、プログレ時代最後の花火打ち上げに貢献します。イエスファンとしてはこちらのキャリアからバグルスを知りましたが、イエス解散後にまたバグルスとして2ndアルバムを出しているんですよね。
関連アーティスト
バグルスごと吸収合併され、『ドラマ』等の名盤制作にかかわる。
ジェフ・ダウンズ(Key)がオリジナルメンバーとして参加。
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