🇧🇷 Angra (アングラ)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1993年 1stアルバム
ブラジル出身のヘヴィメタルバンド、アングラ。1991年に結成しました。メンバーはアンドレ・マトス(Vo/Key)、ラファエル・ビッテンコート(Gt)、キコ・ルーレイロ(Gt)、ルイス・マリウッティ(B)、マルコ・アントゥネス(Dr)。バンド名はブラジル神話の火の神が由来だそうです。
プロデューサーにシャーリー・バウアーファイントとサシャ・ピートが就いて本作が制作されましたが、実力不足からマルコが解雇されています。トーマス・ナック(Dr)、ガンマ・レイのアレックス・ホルツヴァルト(Dr)とディルク・シュレヒター(Gt)もサポートミュージシャンとして参加しています。またハロウィンのカイ・ハンセンが所有するスタジオで録音され、カイ・ハンセンもギターでゲスト参加。サポート陣がまさにそうですが本作はジャーマンメタルの影響を強く受け、そこにクラシカルな要素を加えたメロディックスピードメタルを展開します。
オープニング曲はインストゥルメンタル「Unfinished Allegro」。次曲を引き立てるために存在する楽曲で、1分強の短さです。クラシカルな演奏は期待を煽ります。そして名曲「Carry On」。イントロのヘヴィなリフで既にカッコ良い疾走曲です。アンドレが、ハロウィンのマイケル・キスクばりのハイトーンボーカルを披露、メロディアスな歌が耳に残りますね。間奏では速弾きギターソロ、バッキバキのベースに、プログレ的なカラフルなキーボードなど聴きごたえのある演奏を展開します。とてもクサくて笑、でもカッコ良い名曲です。続く「Time」は一気にトーンダウンし、哀愁のメロディをゆったりと聴かせます。落ち着いた雰囲気ですが、後半はメタリックな色合に変わり、重く鋭利なリフと華やかな鍵盤で派手にスリリングに聴かせます。リズムチェンジも交えてプログレメタル的でもありますね。そして表題曲「Angels Cry」。疾走感に溢れるイントロからゆったり聴かせる歌メロ、そして再加速して急ブレーキと、極端に緩急のついた目まぐるしい展開に驚かされます。途中のクラシカルなメロディはパガニーニからの引用だとか。「Stand Away」はアコギでしっとりと哀愁を漂わせますが、途中からバンド演奏にストリングスなどの壮大な演奏が津波のように押し寄せます。コーラスが神々しいですね。リズムチェンジを交えながら、ド派手で大仰な演奏を展開。ちょっとわざとらしいかも。「Never Understand」は8分近い大曲。地を這うようなヘヴィなリフに乗せて、憂いを帯びたメロディアスな歌をじっくり聴かせます。しかし急加速したり変拍子を加えたりと途中目まぐるしく変化します。少し冗長な印象は否めず…。「Wuthering Heights」はケイト・ブッシュのカバー。ハイトーンの原曲を再現するアンドレの表現力は凄いですが、ケイト・ブッシュが歌うからメルヘンチックで魅力的なのであり、男がファルセットを駆使して歌っても正直受け付けないです…。続く「Streets of Tomorrow」はヘヴィなリフにツーバスなどメタリカばりに鈍重なスラッシュを展開。ですが歌はメロディアスで、そして大仰な印象です。間奏での、キーボードのようにメロディアスなギターソロは聴きどころですね。イントロのコーラスが印象的な「Evil Warning」は疾走曲。バッキバキとメタリックな演奏にコーラスを駆使した歌が乗ります。間奏は中々スリリング。ラストは7分半に渡る「Lasting Child」。憂いのあるピアノでしっとりと始まりますが、すぐさまバンド演奏やキーボードが壮大な雰囲気に仕立てます。ドラマチックですが、大仰な演出には若干苦手意識があります。
メロスピファンから高く評価される1作ですが、全体的にクサすぎるので個人的には苦手です。ですが「Unfinished Allegro」から「Carry On」の流れは凄まじいのでメタルファンは必聴ですね。
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