🇯🇵 BUMP OF CHICKEN (バンプ・オブ・チキン)

レビュー作品数: 8
  

スタジオ盤

インディーズ時代

FLAME VEIN

1999年 1stアルバム

 BUMP OF CHICKENは日本のロックバンドです。通称バンプ、BUMP、BOCなど。いわゆる「ロキノン系」の筆頭格としても知られ、長らく地上波テレビには出演せず(近年は紅白やMステなど露出も増えましたが)、しかし熱心なファンや影響を受けたアーティストは多いです。
 ほぼ全ての作詞作曲を手掛ける藤原基央(Vo/Gt)と、増川弘明(Gt)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)のメンバー4人組。千葉県佐倉市出身の幼稚園からの顔馴染みで、小学校は分かれたものの中学校で再開。中学の学園祭で組んだバンドが母体となっています。なお当時は増川ではなく別メンバー(通称「あいつ」)がいたそうですが、1996年に今の4人組体制となりBUMP OF CHICKENと改名しました。ただの一度もメンバーチェンジせずに続いていますが、2020年に不倫問題から直井が活動休止して3人体制に。
 さて本作はインディーズレーベルよりリリースされた1stアルバムです。BUMP OF CHICKENのメジャー移籍後に同レーベルは倒産し廃盤となり、後に「バトルクライ」を加えた『FLAME VEIN +1』としてメジャー再発されています。

 「ガラスのブルース」は結成後最初期に作られた楽曲です。演奏はシンプルでパンキッシュなロックンロールですが、メロディと歌詞が特に秀逸。「ガラスの眼をしたネコは唄うよ 大きな声でりんりんと」とついつい口ずさみたくなります。ネコは亡くなり歌が受け継がれていくという、切ない歌詞も魅力的です。「くだらない唄」の演奏は爽やかですが、かすれた声で藤原が歌う哀愁のメロディがしんみりしますね。これが次作の「続・くだらない唄」へと繋がっています。「アルエ」はパワフルでパンキッシュな演奏がカッコ良く、キャッチーなメロディが魅力の名曲です。ちなみに『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイの頭文字R.A(→アールエー→アルエ)がタイトルの由来というのは有名な話。「リトルブレイバー」はアコギと合わせて、グランジばりに歪んだギターがノイジーな音を轟かせていますが、歌はメロディアスで温かい印象。「ノーヒットノーラン」はコーラスが特徴的。静かに始まりますがじわりじわり盛り上げてきます。間奏での跳ねるようなベースが爽快。「とっておきの唄」はBUMP OF CHICKENでは数少ないラブソング。藤原と増川の折り重なるギターが味があります。「ナイフ」はどっしりとした演奏、特に力強い升のドラムを中心に、憂いを帯びたメロディを支えます。藤原は録音時に風邪を引いていたそうで咳が入っています。「バトルクライ」は再発時に追加されたカップリング曲。重低音を響かせた分厚い演奏を聴かせます。

 そしてBUMP OF CHICKENの作品には隠しトラックが仕込まれています。本作だと1曲目「ガラスのブルース」を更に巻き戻すことで聴くことができるそうですが、本作のCDは持っておらず聴いたことはありません。おふざけな歌詞の「ドッキング」、BUMP OF CHICKENとしての最古の楽曲「DANNY」、そして「マイ ベスト フレンズ」の3曲が入っているそうです。

 粗削りですが中々の出来で、特に「ガラスのブルース」と「アルエ」が素晴らしいです。トータル40分と冗長にならない短さも良い。

FLAME VEIN +1
BUMP OF CHICKEN
 
THE LIVING DEAD

2000年 2ndアルバム

 本作までインディーズレーベル「ハイラインレコーズ」からのリリースで、メジャー移籍後に再発されています。
 ほぼ全ての作詞作曲にとどまらず、ジャケットアートについても「藤くん」こと藤原基央(Vo/Gt)の作。なおメンバーそれぞれ愛称で親しまれており、増川弘明(Gt)は「ヒロ」、直井由文(B)は「チャマ」、升秀夫(Dr)は「秀ちゃん」と呼ばれています。

 「Opening」は僅か1分のアコギ弾き語りナンバー。フォーキーで落ち着いた雰囲気です。続く「グングニル」が勢いに満ちた爽快な名曲です。夢を全力で追う人を描いた歌詞は後の「sailing day」にも通じる雰囲気(というか漫画『ONE PIECE』をなんとなく想起させます)。キャッチーなメロディも魅力的ですね。「ベストピクチャー」は唯一、直井単独の作曲(作詞は藤原)。素朴な雰囲気で始まりますが、牧歌的な歌メロのバックではノイジーに歪んだギターをかき鳴らしています。「続・くだらない唄」はイントロから強い哀愁が漂います。都会に出て、久々に故郷に戻ったら流れてきた涙。そんなノスタルジックな歌を展開します。間奏では力強いリズム隊に渋いギターが彩ります。続いて「ランプ」。序盤はアコースティックで柔らかいのですが、途中からグルーヴ感のあるヘヴィな演奏を繰り広げます。キャッチーなメロディラインと歌詞も印象的で、耳に残る名曲です。「K」はファンからの人気が高い楽曲で、例に漏れず私もこれが大好きです。でも久々に聴いたら意外とヘタクソで、記憶の中で美化されていたかも。笑 静から動へどんどんヒートアップする展開は感動的で、また藤原お得意の「オーイェーー」も良い感じ。そして何と言ってもこの楽曲の魅力は歌詞でしょう。「ホーリーナイト(聖なる夜)」と名付けられた黒猫の物語。勇敢な黒猫は最期亡くなったとき、アルファベットKと一緒に埋められ「聖なる騎士 (Holy “K”night)」に…という結末。この物語が強く印象に残っています。続く「リリィ」はステージ上で吐けない弱音を家でぶちまけると、それを「かわいいヒトね」と支えてくれる…そんな君を歌ったラブソングです。キャッチーなメロディと、躍動感のある演奏が魅力的な1曲です。「Ever lasting lie」は8分半に渡る大曲。序盤はフォークソングっぽく、途中からブルース・ハードロック風に変わって渋く泥臭いギターを奏でます。オルタナの影響が色濃いBUMP OF CHICKENですが、この楽曲はオールドロック色が強いです。藤原のファルセットが変に裏返ってるのはご愛嬌ですね。そして「グロリアスレボリューション」はパンキッシュな楽曲で「グングニル」にも似た雰囲気。勢い溢れる演奏がとても爽快で、直井の動き回るベースも気持ち良いです。ラストは1分強の短い楽曲「Ending」で、アコギ弾き語りで優しくアルバムを締め括ります。

 隠しトラックとして「THE LIVING DEAD」。タイトル曲を隠しトラックに持ってくるんですね。バックで流れる演奏はかなりカッコ良いのに、メンバーがひたすら増川をイジり倒すというコントが繰り広げられます。笑 ヒロ、ホセ、ニッケ、ジョルノ…いずれも増川の愛称だそうです。

 「Opening」と「Ending」で挟んでいることもあり、コンセプトアルバム風の緩やかな纏まりを見せます。粒揃いでアルバムの纏まりも良い名盤です。

THE LIVING DEAD
BUMP OF CHICKEN
 

メジャーデビュー

jupiter

2002年 3rdアルバム

 2ndアルバム『THE LIVING DEAD』の後にトイズファクトリーへ移籍し、1stシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビューを果たします。そしてBUMP OF CHICKENの代名詞と言える2ndシングル「天体観測」が大ヒットし、知名度を大きく上げることになります。私もこのタイミングで彼らを知りましたが、ハマったのはもう少し後(確か「車輪の唄」か「カルマ」がキッカケ)でした。「天体観測」の大ヒットに後押しされ、アルバムもオリコン1位を獲得しています。
 なお、スタッフからアルバム名について聞かれたときに、藤原基央がたまたま木星のことを考えていて「jupiter」と答えたためこのタイトルに決まったのだとか。演奏はパンキッシュで反骨的なのに、こういうエピソードや歌詞には彼の純粋無垢な一面が表れてますね。

 開幕「Stage of the ground」は升秀夫の躍動感あるドラムを中心に、イントロから高揚感を煽るアップテンポ曲。友人の子の誕生を祝った楽曲で、歌詞にその子の名前の漢字が散りばめられているのだとか。そして大ヒット曲「天体観測」。「午前二時 フミキリに 望遠鏡を担いでった」で始まる歌詞は有名ですね。キャッチーなメロディは魅力的だし、躍動感のある演奏は爽快でカッコ良い。あえて言えば、メジャー化してエッジを削ぎ落とすためか、演奏は若干こもったような音質なのが少し気になります。「Title of mine」はまったりとしていて、ギターが幻想的なメロディを奏でます。そして徐々に盛り上がっていき、彼ららしい歪んだギターがノイジーな轟音を奏でます。「キャッチボール」は増川弘明の作曲で、耳馴染みのある優しいメロディラインが心地良い。そして歌詞も結構印象的で好みです。彼女との会話のキャッチーボールを描いた歌かと思えばそうではなく、プロ顔負けの変化球を投げる増川とのキャッチーボールを描いた、藤原と増川の友情の1曲なのだそうです。そして「ハルジオン」、個人的には「天体観測」より好みな名曲で本作のハイライト。出だしから歌で始まり、少し影のあるメロディと冷めた歌唱、でも対照的にサビはアツいんです。また演奏は力強くて、直井由文のゴリゴリベースが特にカッコ良いですね。「ベンチとコーヒー」は6分強ありますが、淡々としてあまり大きな盛り上がりがなく、個人的には印象が薄いです。直井の誕生日に藤原が贈った楽曲なのだとか。「メロディーフラッグ」はアコギで優しく温かい雰囲気から、藤原の感情こもった熱唱を経て盛り上がります。「ベル」はメロウで切ない雰囲気の楽曲です。そしてメジャーデビューシングル「ダイヤモンド」。「何回転んだっていいさ」で始まる歌詞が印象的ですね。アコギに始まり、途中からグランジのようにヘヴィな演奏を繰り広げますが、終始リズミカルで聴き心地が良いです。ラストは「ダンデライオン」で、これも名曲です。ウエスタン調の軽快な曲調を、かなりの速いテンポで繰り広げます。ライオンとタンポポ(ダンデライオン)の友情を描いたストーリーも魅力的。

 そしてメジャーになっても隠しトラックの伝統は続きます。笑 BUMP OF CHICKENのメンバー扮する「JOY」というバンドのラストコンサートという設定。「In my heart」と、増川をイジる「In my Nikke」という2曲が入っています。

 メジャーになりキャッチーな楽曲が揃っています。ただアルバム全体の纏まりは前作に劣るため、アルバム通してよりも単曲で聴くことが多いです。

jupiter
BUMP OF CHICKEN
 
ユグドラシル

2004年 4thアルバム

 アルバムタイトルは北欧神話の世界樹ユグドラシルに由来し、オープニング曲「asgard」(アースガルズ/アースガルド)は北欧神話での天上世界、ラスト曲「midgard」(ミズガルズ/ミッドガルド)は人間界を表します。ジャケットアートは藤原基央の作。
 本作も前作に引き続きオリコン1位を獲得しました。『jupiter』のようにキャッチーに洗練された楽曲と、『THE LIVING DEAD』のようなアルバムの纏まりを両立。個人的にはBUMP OF CHICKEN最高傑作です。

 僅か40秒のインストゥルメンタル「asgard」で幕開け。アコギが静かに音を聴かせると、すかさず名曲「オンリー ロンリー グローリー」が始まります。かき鳴らすギターや、一定のリズムを刻むバスドラムが心地良い疾走感を生み出します。2番に入ると升秀夫の叩くドラムは躍動感を増し、ワクワクした気分を増幅させます。また、キャッチーなメロディには歌詞はぎっしり詰め込まれていて、勢いで一気に聴かせます。そして「乗車権」は本作中最も緊迫した楽曲で、シリアスでピリピリとした空気が漂います。焦燥感を煽るヘヴィな演奏に乗せて藤原の歌も攻撃的、そして激しくシャウトします。やや異色ですが、とてもカッコ良いです。「ギルド」は憂いを帯びたメロディラインと、そして歌詞がとても魅力的。「人間という仕事」に疲れて、毛だるくてやるせなさが漂います。金属質なリズムビートが、炭鉱でツルハシをトンカンしている労働者をイメージします。まったりとした「embrace」を挟んで、続く「sailing day」はアニメ映画『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』の主題歌として起用されました。これが本作で最もキャッチーで、そして元気の出る名曲でしょう。高揚感を煽るイントロは大海原へ旅立つ船を想起させ、演奏は終始疾走感に溢れています。直井由文のブイブイ暴れ回るベースが印象的。歌ももちろん魅力の一つで、夢を追いかける歌詞が素敵。そしてキャッチーなサビメロは口ずさみたくなります。一転して「同じドアをくぐれたら」はアコギで静かに囁くように始まります。ゆったりとしたテンポで、6/8拍子で心地良く揺さぶりながら徐々に盛り上がり壮大になっていきます。終盤のマンドリンが良い。そして名曲「車輪の唄」は私がBUMP OF CHICKENにハマるキッカケとなった楽曲の一つです。アルバムが出た後にシングルカットされました。彼らには珍しいラブソングで、遠くへ旅立つ彼女を自転車の後ろに乗せて駅まで見送り、一人寂しい帰り道は背中に微かな温もりだけが残るという切ない1曲。甘酸っぱい青春している歌詞が強く印象に残ります。藤原がマンドリンを弾いたり、鉄琴が鳴ったり陽気で爽やかな曲調なのに、歌詞の切なさが大きく上回ります。「スノースマイル」はアコギの音色と藤原の歌が優しくて、心が温まります。幻想的な雰囲気が漂うバラードで、コーラスワークも特徴的ですね。「レム」は藤原によるアコギ弾き語り。素朴な1曲です。続く「fire sign」は藤原が増川弘明の誕生日に贈った楽曲。小気味良いアコギや躍動感あるベースが爽快で、またサビメロは耳に残ります。最後の大合唱も良いですね。「太陽」ははじめ素朴で地味な印象ですが、徐々に盛り上がっていきます。「ロストマン」は終盤を締めてくれる良曲。「破り損なった 手造りの地図」に始まるサビメロがドラマチックで胸に染み入ります。そして最後の「midgard」は40秒のインストゥルメンタルで、アコギを静かに聴かせてアルバムを締めます。

 そして隠しトラックは「O・TO・GA・MEはーと」、これが大好きでなんです。笑 Mステ風に司会が音楽ランキングを発表(前作の隠しトラック「JOY」の解散ライブにも触れてます)、チャート1位に本楽曲が紹介されるという寸劇の後に始まります。メンバー扮する「激しぶBOYS」の楽曲という設定で、1980年代アイドルソングのような曲調とヘッタクソな歌がとても面白いです。

 終盤若干パワーダウンするものの、中盤までの名曲の数々は強いエネルギーを持っていて、また「asgard」と「midgard」によってアルバム全体を緩やかに纏め上げてくれます。そんな感じでアルバムとして完成度が高く、BUMP OF CHICKEN入門に適した1作です。あと、隠しトラックで一番好きな「O・TO・GA・MEはーと」が入っている点もポイント高いです。笑

ユグドラシル
BUMP OF CHICKEN
 
orbital period

2007年 5thアルバム

 タイトルの『orbital period』とは公転周期の意味。365日の全ての曜日が同じになるというのが28年周期(正確には6年・5年・6年・11年のサイクルで1セット28年)で訪れるのだそうです。1979年生まれというメンバー全員が2007年に28歳の誕生日を迎え、生まれた日と全く同じ曜日になるという記念すべき年に本作がリリースされました。また、楽曲は空白トラックや隠しトラックを含めて全28曲となっています。本作の目玉は『テイルズ オブ ジ アビス』テーマ曲となった、BUMP OF CHICKEN最強の1曲「カルマ」でしょう。他にもシングル曲が多く詰まっています。

 アコースティックな小曲「voyager」で開幕。アルバムリリースの28年前に木星に接近した宇宙探査機ボイジャー1号を指していて、ラストの「flyby」と対を成す楽曲です。「星の鳥」は短いインストゥルメンタルで、スペイシーなサウンドを響かせながら次曲へと繋ぎます。そして「メーデー」は疾走感溢れる演奏が爽快です。初期を想起させる懐かしいつくりですが、藤原基央の歌唱は優しくて円熟味があり、演奏も洗練されて荒々しさは息を潜めました。彼らの成長に少し寂しさはありますが、キャッチーでメロディアスな歌メロは魅力的です。ドラムがスコンスコンと響き、チャカチャカ鳴るギターも気持ち良い。続く「才悩人応援歌」も疾走曲。洗練された演奏はトゲを削ぎ落として透明感があり、そしてメロディアスな歌メロも独特で印象的です。「プラネタリウム」は藤原のロマンチストな側面が出た楽曲だと思います。プラネタリウムを手作りして、実在しない星の穴を開けて自室の天井に映し、手の届かない「君」をその星に重ねる…。鉄琴やギターが優しい音色を奏で、優しい歌唱にも癒やされます。「supernova」はアコースティックで温もりのある楽曲。同じメロディを反復しながら徐々にスケールアップしていきます。続いてタイトルに強いインパクトのある「ハンマーソングと痛みの塔」。タイトルに反して楽曲はそこまでインパクトはなくギャップを感じますが、珍しくレトロで少し古臭いアレンジがなされています。「時空かくれんぼ」は6/8拍子ベースの楽曲ですが、升秀夫の叩くトリッキーなドラムで変拍子っぽく聞こえます。「かさぶたぶたぶ」は珍しくポップス全開。ビートルズ風の優しいメロディに、「かさぶたぶたぶ かさぶた」の耳馴染みの良いフレーズが印象的です。ギターはクイーンのブライアン・メイっぽい。続く「花の名」は映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』のテーマ曲。ゆったりとしたテンポで、アコギで静かに幕を開け、1番は音数少なく藤原の歌をしんみり聴かせます。そこからバンド演奏が加わり、徐々に盛り上がっていきます。独特の幻想的な音を響かせるシタールも味がありますね。ドラマチックですが、アルバム通して聴くと「supernova」とも被り、少し冗長な感もあります…。「ひとりごと」は牧歌的な雰囲気から盛り上がっていきます。優しいのですが若干埋もれ気味ですね。「飴玉の唄」は飴玉のように透明感があり、そして幻想的な雰囲気です。スペイシーなインスト曲「星の鳥 reprise」を挟んだあとは屈指の名曲「カルマ」。力強いイントロから惹きつける、パンキッシュで疾走感溢れる爽快な1曲です。騒がしい演奏もメロディもとてもカッコ良いのですが、歌詞も魅力的。ゲーム『テイルズ オブ ジ アビス』のテーマ曲として、単なるタイアップではなく同ゲームの世界観を表した(むしろ核心に迫る)歌詞になっています。一転して「arrows」は穏やかで透明感のある1曲です。そして名曲「涙のふるさと」。本作では「カルマ」に次いで大好きな1曲です。印象的なギターリフに、メロディアスな歌メロ。そして感情たっぷりに歌う「会いに来たよ 会いに来たよ 君に会いに来たんだよ」のサビは、聴いていると込み上げるものがあります。アルバムの終わりに相応しい哀愁を纏った名曲です。そして最後の「flyby」はオープニング曲「voyager」と対になる小曲です。アコースティックに始まるものの、途中の弾けるようなバンド演奏と力強い歌唱が印象的。

 そして空白トラックをいくつも挟んで、28曲目に隠しトラック「BELIEVE」。メンバーによる寸劇で、即興で歌いだしたりバンド名を決めるコントを繰り広げます。

 当時リアルタイムで聴いた初アルバムがこれだったのですが、シングルを聴きながらアルバムを待てども待てども中々出ず。やっと出た本作は丸くなって円熟味を帯びたのがガッカリで、ボリュームの多さも冗長という悪い印象になってしまい、ほとんど聴きませんでした。
 レビューにあたり久々に聴いた感想としては、丸くなったけど良曲(かつ私にとって懐かしい楽曲)の数々。ただし曲数が多くて中盤は特にだれます。もう少し曲数を絞った方が良かったと思います。

orbital period
BUMP OF CHICKEN