🇬🇧Humble Pie (ハンブル・パイ)
レビュー作品数: 1
スタジオ盤
1972年 5thアルバム
ハンブル・パイはイングランドのロックバンドで1969年に結成しました。結成当初は元スモール・フェイセズのスティーヴ・マリオット(Vo/Gt)、元ハードのピーター・フランプトン(Gt/Vo)、グレッグ・リドリー(B/Vo)、ジェリー・シャーリー(Dr)の4人組。元々マリオットがスモール・フェイセズ時代に、フランプトンを引き抜こうと思ったものの、メンバーの反対に遭い失敗。その後メンバーとの確執の末にマリオットがスモール・フェイセズを脱退しますが、ちょうどフランプトンも新バンドを結成するタイミングだったため、そこにマリオットが乗っかりハンブル・パイ結成に至ったそうです。
4thアルバム『ロック・オン』リリース時に、音楽性の相違によりフランプトンは脱退。ソロとして大成功を収めることになります。そしてハンブル・パイは元コロシアムのデイヴ・”クレム”・クレムソン(Gt/Key)を迎えて本作『スモーキン』をリリース。これがハンブル・パイ史上最大のヒット作になりました。
軽快なロックンロール「Hot ‘N’ Nasty」で開幕。しゃがれたハスキーボイスで叫ぶマリオットの歌声が強烈ですね。ノリの良いロックンロールで、ブルージーなサウンドに、ピアノやオルガンの味付けが加わって賑やかな印象です。あとリドリーのベースも結構存在感があります。「The Fixer」はスローテンポで、ブルージーなギターがリードする泥臭い1曲です。全体的に気だるい感じですが、ギターソロパートは爽快ですね。続いて「You’re So Good For Me」はアコギで始まりゆったりとした雰囲気で、黒っぽいソウルフルな歌唱とコーラスが渋い。メロディアスな歌は聴きごたえがあります。そしてロックンローラーのエディ・コクランのカバー曲「C’mon Everybody」。ブルージーでヘヴィなリフが印象的です。「Old Time Feelin’」はカントリー調のブルージーな1曲。渋くて気だるい雰囲気です。
アルバムは後半に突入。楽しげなスタジオでのやりとりから始まる「30 Days In The Hole」はノリの良い楽曲です。リズム隊が力強くも爽快なビートを奏で、女性コーラスが陽気な雰囲気を作り出します。黒っぽくてローリング・ストーンズにも通じる雰囲気ですね。「Road Runner/Road Runner’s ‘G’ Jam」はロッド・スチュワートばりのマリオットのハスキーな声が魅力的。でも楽曲は割と単調な印象です。「I Wonder」はブルース歌手セシル・ギャントのカバーで、9分近い大作。ソウルフルで非常にパワフルな歌声に圧倒されます。ブルージーなギターが渋い音色を奏で、またジャズのように落ち着いたドラムによりリラックスできるので、マリオットの歌に集中できます。とはいえ終盤の演奏は激しくてスリリングです。最後に「Sweet Peace And Time」。シャーリーのバタバタとしたドラムに疾走曲を期待しますがそれも一瞬で、気だるげなミドルテンポのロックを展開します。でも途中から力強くなってスリリングな演奏に変わり、これが魅力的なのです。落としてから持ち上げるのが上手いですね。
ローリング・ストーンズの楽曲をロッド・スチュワートが歌うようなイメージでしょうか?ブルージーで気だるげな演奏に、マリオットのハスキーボイスがよく通ります。
なおハンブル・パイは本作で成功を収めたものの、その後はマリオットのワンマンバンド化して人気が下火になってしまうそうです。
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