🇯🇵 Demetori (デメトリ)

レビュー作品数: 5
  

同人作品:東方アレンジ

如臨深遠 ~雨縒煙柳~

2006年 2ndアルバム

Demetori『如臨深遠 ~雨縒煙柳~』 メタルやプログレを得意とする、大阪出身の同人音楽ユニットDemetori。メンバーは徳南(Gt/B/Key)と、九宝時(Dr/Perc)の双子の兄弟です。商業活動では本名の寺前甲(徳南)、寺前直(九宝時)の名義で活動し、プログレバンドShinsekaiや日本ファルコムの新生jdkBANDに参加したほか、スタジオミュージシャンやライブのサポートを務めたり、楽曲提供など多方面で活躍しています。徳南はフェイバリットにキング・クリムゾンやバンコ、PFMらを挙げるプログレフリークで、アレアのデメトリオ・ストラトスがサークル名Demetoriの由来の一つなのだとか。
 Demetoriの同人活動は2005年頃から始まり、同人サークルUI-70との共作『彼岸花葬 ~the view of spiral riverside~』から東方アレンジにシフトします。冬のコミックマーケット71で頒布された本作は、HR/HMインストゥルメンタルとなる東方アレンジ作品です。アマチュアに収まらない高い演奏レベルで圧倒します。タイトルは「しんえんにのぞむがごとし」と読むそうです。ジャケットイラストは同人サークルSwing wingSの山基海苔。

 オープニング曲は「幻視の夜 ~ Ghostly Eyes」。鋭利なギターにシンバルを多用した激しいドラムが炸裂。ですがメロディアスな主旋律は陰りを強調してじっくり聴かせたりして、静と動の緩急ついた楽曲構成です。中盤にはトリッキーなリズムでプログレ的な展開も見せます。
 続いて「優雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」。ギラついたギターにゴリゴリベース、激しいドラムがメタリックな演奏を繰り広げ、シンセが楽曲に彩りを持たせます。グラムメタルのような派手さを持ちつつも、クールで寂しげな印象があるのは原曲を踏襲した哀愁たっぷりなメロディによるものでしょうか。感傷的な気分を誘う良アレンジです。
 「風の循環 ~ Wind Tour」はゴリゴリザクザクと重低音が響き、高速バスドラムの雨あられにより焦燥感を掻き立てられます。戦車のような鈍重さで爆走で駆け抜けつつ、ギュインギュインと高らかに唸るギターが突き抜けるような感覚をももたらします。
 「無何有の郷 ~ Deep Mountain」は重さは控えめで軽快な印象に仕上がっており、フュージョンっぽさもあります。テンポはそれなりに速いですがドラムは軽めで(シンバルはそれなりに多用していますが)、またアコギも活用して柔らかな印象です。
 「東の国の眠らない夜」もそこまで重たくはなく、程良いロック感が気持ちの良い疾走曲です。手数の多いドラムにテンポの速いシンセが主導し、主旋律はあまり大きな変化がないもののDemetoriの高い技術力による演奏を楽しめます。中盤や終盤でメロトロンと思しき音色が聴けるのが地味に嬉しい。
 そして個人的にはハイライトとなる「メイドと血の懐中時計」。原曲が大好きなのでその補正も大いにありますが、このアレンジも大好きです。切れ味鋭いリフに打ちのめされ、かと思えばシンセを用いて幻覚的な雰囲気もあったり、哀愁あるメロディラインをギターが奏でたりメロトロンも活用したりと魅力たっぷりです。なおUI-70『朧夢紅月 ~Vaguely Dreams of Scarlet Fullmoon~』に提供した楽曲の再録だそうです。
 激しい前曲とはうってかわり、「さくらさくら ~ Japanize Dream」はドラム不在でピアノや鍵盤類を活かした、しっとりとしたアレンジです。美しくて儚げな楽曲で、スリルに満ち溢れるアルバム全体で唯一、息抜きとなる1曲です。
 そして11分近い大作「紅楼 ~ Eastern Dream」。スケール感のある序盤を経て、2分辺りからフュージョンっぽい雰囲気に。時折変拍子を交えたトリッキーな展開を見せます。中盤シンセがキャッチーなメロディを奏でると、後半は複雑な演奏でプログレしていますね。壮大で聴きごたえがあります。

 再販時にはボーナストラック「紅楼 ~ Eastern Dream (Acoustic Demo)」が追加されています。こちらは7分ほど。アコギの温もり溢れる音色と切なげなメロディが魅力的で、アコギを重ねて奥行きも感じられます。完成版と違って派手さはないものの、アコースティックな優しいサウンドの中にリズムチェンジが組み込まれて起伏もあり、デモ版の時点で完成度は高く、こちらの方が個人的には好みだったりします。

 メタリックな楽曲とフュージョン的な楽曲が半々で、後の作品に比べると重さはやや控えめ。全体的にひんやりとしたクールな質感です。

 
Il Mondo dove e finito il Tempo

2007年 3rdアルバム

Demetori『Il Mondo dove e finito il Tempo』 冬のコミケC73で頒布された本作は前作よりも更にヘヴィメタルを押し進めたインストアレンジ作品に仕上がりました。高いテンションが張り詰める超絶技巧のメロディック・スピードメタルアレンジが強烈なインパクトで、特に「ネクロファンタジア ~ Remix」はDemetoriを知らしめる強烈な1曲になりました。ジャケットインストは同人サークルLuna Phaseの結城えいしによる作。

 2分強の「Eastern Dream ~ The Introduction」は雨音の効果音をバックに、静かにピアノを奏で始めます。ピアノやシンセ、ストリングスが霊的で幻想的な雰囲気を作り出します。
 そしてヘヴィメタル曲「神さびた古戦場 ~ Suwa Foughten Field」へ。冒頭から暴力的な演奏でぶっ飛びます。テンポが速いのですが、中でもバスドラムが鬼のような強連打で、マシンガンのように降り注ぎます。九宝寺のドラムはエグいですが、主旋律を奏でる徳南のリードギターはエモーショナルです。展開がドリーム・シアターっぽいかも。
 続く「御柱の墓場 ~ Grave of the Shadow」は「御柱の墓場 ~ Grave of Being」のアレンジです。印象的なギターリフからドラムがなだれ込んできます。スリリングな演奏と、そしてギラついたギターが奏でるメロディは東方風神録のゲームの光景が目に浮かびます(ちょっとクサいですが)。
 「月時計 ~ ルナ・ダイアル」はスラッシュメタルのようにザクザク、ゴリゴリとした強烈な重低音とドラムで圧倒。そしてゴージャスなリードギターに、原曲の耳に残るフレーズを高速で奏でるシンセサイザー。更に速弾きギターシンセを見せつけるなど超絶技巧で、かつ嵐のようにアグレッシブな演奏はとてもスリリングです。原曲のイメージを保ちながらよりヘヴィに仕上がった凄まじいアレンジです。殺気立った本気モードの十六夜咲夜が目に浮かびます。
 「上海紅茶館 ~ Chinese Tea」はギターとシンセが鋭利かつ冷たい雰囲気で、メタリックな演奏を繰り広げます。2分少し前辺りから原曲譲りのメロディアスな旋律を奏で始め、3分半辺りから徳南の超速弾きギターで圧倒。恐ろしいほどのテクニックです。
 ここまで殺伐とした凄まじくテンションの高い楽曲が並びますが、「おてんば恋娘」をアレンジした「おてんば恋娘 ~ killer Tune」で一転して休憩モードへ。ボサノバのようにリラックスした優しい楽曲に仕上がりました。トロピカルな感覚です。
 そして再び緊張を一気に高めるのは、本作の双璧を成す凄まじい楽曲「信仰は儚き人間の為に ~ Jehovah’s YaHVeH」。「信仰は儚き人間の為に」をスピードメタルアレンジした楽曲で、オルゴールのようなイントロから豹変し、爆速で駆け抜けます。本作中最速の楽曲で、九宝寺の手数の多いドラムのおかげで体感速度が更に高まります。哀愁漂う原曲譲りのメロディをエモーショナルなギターで奏でるので、これに浸ろうかと思うと、超高速で連打される鬼のようなバスドラムが気になって気になって仕方ない。笑 マジメな演奏なのに、人間離れした技巧に思わず笑ってしまいます。
 続いて「東方妖々夢 ~ Ancient Temple」はギラギラして派手で激しい演奏です。シンバルを多用したドラムに、ギターとシンセを重ねた分厚いサウンドからは凄まじいパワーが溢れ出ています。そして中盤に強引なリズムチェンジを挟むことでフックをかけてきます。
 1分強の小曲「妖々跋扈 ~ Who done it!」は穏やかで幽玄な雰囲気。次曲へのイントロといった位置づけでしょうか。
 そしてDemetori屈指の名曲「ネクロファンタジア ~ Remix」。「ネクロファンタジア」という名曲を、疾走感溢れる強烈なパワーメタルに仕上げました。ザクザクとしたリズムギターや力強いドラムは攻撃力が高くてスリリングですが、シンセサイザーやピアノ、メロトロンといった鍵盤類などを効果的に使って色鮮やかに盛り上げ気分が高揚します。実にカッコ良いです。

 そして2011年の再販時にボーナストラックが2曲追加されました。いずれも同人音楽ユニットUI-70の作品への提供楽曲を再録したもの。
 まずは「風神少女」ですが、恐ろしいほど速い怒濤のスピードメタルアレンジで、鴉天狗の社命丸文のイメージにぴったりです。鬼神のごとく超高速で刻むリズムギターやドラムに吹き飛ばされます。でも原曲の持つメランコリックなメロディのおかげでメロディラインは聴きやすいですね。
 「明治十七年の上海アリス」は高速で奏でるトリルがリズミカルな感覚を生み出していて、手数は多いですが跳ねるような気持ち良さがあります。ヘヴィですが、聴いていて楽しいアレンジです。

 東方を知らないメタラーの方にもオススメできる、Demetori屈指の名盤です。凄まじい速さの「信仰は儚き人間の為に ~ Jehovah’s YaHVeH」や「風神少女」、そして名演「ネクロファンタジア ~ Remix」は必聴です。

 
闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati

2008年 4thアルバム

Demetori『闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati』 冬のコミケC75で頒布された本作は「せんだいそうし」と読むそうです。ジャケットイラストは前作に引き続き、結城えいしが担当。同人サークルC-CLAYS主催の『GROUND ZERO ~TOHO ROCK!! 2007』や、合同サークルUnionest.NET主催の『花詠束』といったコンピレーション企画に提供した楽曲を一部再録しています。東方花映塚からのアレンジ楽曲が比較的多めです。

 オープニングを飾るのは「童祭 ~ Innocent Treasures」。ザクザクと鋭利でそしてギラついた演奏は相変わらずヘヴィですが、シンセが入ることで2nd『如臨深遠 ~雨縒煙柳~』のようなひんやりとした質感も伴っています。中盤からはリズムチェンジしてプログレメタルっぽい展開に。速弾き等のテクニカルな演奏で圧倒します。
 続く「人形裁判 ~ 人の形弄びし少女」はリズム隊がひたすらヘヴィなトリルを刻み、怪しげで鬱屈した空気が漂います。ですがリードギターが主旋律をなぞると、途端にエモーショナルで哀愁溢れる楽曲へと変わります。終盤の大仰な感じがクサメタルですね。
 「オリエンタルダークフライト」はマシンガンのように超重たいメタリックなリフやドラムに撃ち抜かれます。凄まじく重たいリズム隊が前面に出て、幽玄なシンセがバックで霊的な雰囲気づくり。リズムチェンジして更に重たくなりますが、中盤にシンセが主旋律を奏でると一瞬だけ救われます。焦燥感を煽るスリリングな1曲です。
 「天空のグリニッジ ~ Deep P Sky」は「天空のグリニッジ」のアレンジ。サブタイトルはディープ・パープルで、中盤のオルガンソロがまんまです(一部のギターリフも寄せているような、いないような…)。それ以外の部分はメタリックでギラギラとしています。
 「天狗が見ている ~ Eye of the Needles」は「天狗が見ている ~ Black Eyes」のアレンジ。徳南のエモーショナルなギターが特徴的で、中盤にはギターシンセが独特の音色で速弾きを披露します。中盤から後半にかけては凄まじいバスドラムの嵐で圧倒されます。
 続いて「妖怪の山 ~ Mysterious Mountain」はとてもヘヴィな本作の中では重さは控えめで、爽やかでメロディアスな切ないアレンジに仕上げています。リズミカルで躍動感もあり、サビのメロディには魅せられます。
 「花の映る塚 彼岸の塚 ~ Unnamed Scenery」は「花の映る塚」と「此岸の塚」の混合アレンジ。アコギとキーボードを活用して、ドラムレスなのも影響してか神秘的で霊的な印象を受けます。
 そして名曲「亡き王女の為のセプテット」を重厚にアレンジした「亡き王女の為のセプテット ~ Ascending Into Naught」。7分を超える、本作のハイライト的な楽曲です。ザクザクとしたリズム隊はスリリングですが躍動感もあり、そして主旋律を奏でるエモーショナルなリードギターがアツいですね。
 「彼岸の奴隷 ~ One Conclusion」は「花映塚 ~ Higan Retour」のアレンジ。こもったような音質で他の楽曲とは録音環境の違いが明白ですね。UI-70との共作『彼岸花葬』の頃のようなトリッキーなプログレメタルを展開するため、録音時期も異なるのでしょう。

 2011年の再販時にボーナストラックとして「幻想、夢の終わり」が追加されました。「花は幻想のままに」をアレンジした楽曲で、落ち着いたアコギとリズミカルで陽気なドラムが、メタルとは遠い、優しくもノスタルジックな楽曲を繰り広げます。心地良い1曲です。

 叙情的な前々作、速さを追求した前作とも異なり、圧倒的なヘヴィネスが特徴でしょうか。キャッチーさが減退して、若干取っつきにくくなった印象です。

 
曼衍珠汝華 ~ Nada Upasana Pundarika

2009年 5thアルバム

Demetori『曼衍珠汝華 ~ Nada Upasana Pundarika』 タイトルは「まんえんじゅしゃか」と読み、副題はサンスクリットでそれぞれ「音色」「崇拝(注意深く聞くこと)」「白蓮華(白い蓮の花)」を意味する単語の組み合わせのようです。石切場の両神了が描くジャケットの聖白蓮が示すように、東方星蓮船のアレンジが比較的多めです。また、8弦ギターを取り入れたヘヴィなサウンドを堪能できます。冬コミC77で頒布されました。

 アルバムの幕開けとなる「平安のエイリアン ~ Crazy Xenomorph」は「平安のエイリアン」のアレンジ。重低音が唸り轟き、ゴリゴリとした質感です。そしてキャッチーかつ怪しげなメロディラインの裏で、九宝寺の連打するドラムと徳南の8弦ギターのぶっとい重低音が凄まじい迫力です。中盤には変拍子も取り入れて、ヘヴィかつトリッキーです。
 「天空の花の都 ~ Bridge of The Lotus」は「天空の花の都」のアレンジ。サウンドはヘヴィですが、不思議と躍動感もあるというかリズミカルな印象を受けます。リズム隊主体のメタリックな楽曲ですが、リードギターが主旋律を奏でる場面は叙情的です。
 「少女さとり ~ 3rd eye」をアレンジした「少女さとり ~ Innumerable Eyes」。原曲準拠の主旋律のおかげでキャッチーで聴きやすいですが、原曲のような怪しさは抑えめです。その代わりにヘヴィさを大きく増し、かつ疾走感溢れる楽曲に仕上げています。スリリングで爽快ですね。
 続く「霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion」は原曲のイメージそのままに緊迫感を高めたようなメタルアレンジです。手数の多いドラムが焦燥感を煽り立て、8弦ギターが重低音をかき鳴らしてスリリングですが、キーボードも活用してキャッチーなメロディが活きています。
 「少女が見た日本の原風景 ~ Dance of puNDarika」は「少女が見た日本の原風景」のアレンジ。楽曲中盤を除いて重低音は若干控えめで、エモーショナルなギターが原曲譲りのメロディをゆったり聴かせます。でもリードギターとは違ってリズム隊は手数が多くやたら細かく刻むので、せせこましい印象も。中盤は原曲とかけ離れたテクニカルな演奏を繰り広げますが、ドリーム・シアターが元ネタでしょうか(サブタイトルも同バンドの「The Dance Of Eternity」っぽいですね)。
 そして「感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind」をアレンジした7分超の「感情の魔天楼 ~ World’s End」。本作のハイライト的な楽曲です。冒頭の重厚でシリアスな空気から一転、『Il mondo dove e finito il tempo』のような疾走感溢れるスピードメタルを繰り広げます。九宝寺の恐ろしく速いドラムに煽られながら、メロディアスな旋律を奏でるギターが泣かせに来ます。中盤には徳南の速弾きギターで圧倒。とてもアツいアレンジで感動的です。
 続いて「春の湊に ~ Silent Voyage to Eternity」は「春の湊に」のアレンジ。これもサブタイトルはドリーム・シアターでしょうか。疾走感のあるスリリングな演奏ですが、原曲のメロディが活きていてキャッチーさも両立しています。重たいのに爽やかという不思議。後半はよりアグレッシブになり、爆走しています。
 「法界の火」をアレンジした「法界の火 ~ Flame for Puja」は1分半程度で、次曲のイントロ的な位置づけでしょうか。シンセのおかげでひんやりと冷たい空気が漂い、気が引き締まります。
 そしてラストに控えるのは8分に渡る大作「彼岸帰航 ~ View of The River Styx」。「彼岸帰航 ~ Riverside View」をアレンジした楽曲で、冒頭13/8拍子のトリッキーなリズムを聴いていると、すかさずスラッシーなヘヴィメタルを展開。相変わらずリズム隊はヘヴィなうえに手数の多さで焦燥感を煽り立てますが、リードギターはメランコリックな旋律で哀愁を醸し出します。

 全体的に、ヘヴィでありながらも原曲譲りのキャッチーなメロディが活きていて、前作よりも聴きやすいです。そして何より「感情の魔天楼 ~ World’s End」がとにかくアツいです。

 
BEGIERDE DES ZAUBERER

2011年 6thアルバム

Demetori『BEGIERDE DES ZAUBERER』 冬コミC81で頒布された本作は、当時最新作の東方神霊廟をはじめ、東方旧作に渡るまで幅広く取り入れています。今作でも8弦ギターは健在で、息の詰まるような重苦しさがありながら疾走曲が多くて密度が濃いです。ジャケットは秕いれい作。

 「欲深き霊魂」をアレンジした「欲深き霊魂 ~ Introduction」で幕を開けますが、靄のかかったような空間から長いフェードインで徐々に始まります。そして演奏はメタリックかつ暗鬱な雰囲気を醸し出します。
 「プラスチックマインド ~ Alice in Underground」は「プラスチックマインド」のアレンジ。重たいのに疾走する楽曲で、重低音を轟かす8弦ギターと叩きつけるようなドラムによりアグレッシブな演奏です。途中加わるリードギターに救いを求めようとしたら、暗く物悲しいメロディを奏でるので息が詰まりそうになります。中盤にはリズムチェンジして、テクニカルでプログレメタルな演奏を繰り広げます。
 続いて「リジッドパラダイス」のアレンジ楽曲「リジッドパラダイス ~ Dawn of the Dead」。ヘヴィで疾走感溢れるスリリングな演奏で、シンセも活用して時折怪しげな雰囲気もあります。6分近い楽曲ですが、速さもあってか密度が濃くてだいぶ長く感じます。
 そしてジャケットに描かれた霧雨魔理沙のテーマ曲「恋色マスタースパーク」をアレンジした「恋色マスタースパーク ~ Final Sorcery」。シンセがヘヴィさを少しだけ和らげ、またエモーショナルなリードギターが奏でるキャッチーなメロディにも救われますが、バックではひたすら重く速いリズム隊が刻みます。
 そして同名曲のアレンジ「U.N.オーエンは彼女なのか?」。原曲の持つ狂気性は減退していますが、その代わりに、九宝寺の手数の多いドラムや徳南が時折見せる速弾きなどの超絶テクニックで圧倒します。速くて重くて、でもキャッチーなメロディラインも健在。比較的取っつきにくい本作中では聴きやすい1曲です。
 「メイガスナイト ~ Frenzy Night」は「メイガスナイト」のアレンジ。リズムチェンジの嵐で忙しく、超絶技巧の演奏で強引に展開します。
 「デザイアドライブ ~ Desire Dream」は「デザイアドライブ」のアレンジで、7分近い楽曲です。焦燥感溢れるドラムが焚きつけて、ギターを高らかに鳴らしながらシンセで彩ります。スリリングな疾走曲ですが、ここまで疾走曲尽くしで、通しで聴いていると疲れてくる頃合いでもあったり…。
 「Endless」をアレンジした「Endless ~ The Endless Deadly Sins」は1分半程度の短さで、次曲へのイントロ的な立ち位置です。でも神秘的で落ち着いた演奏は、本作で唯一息抜きができる瞬間でもあります。
 そしてラスト曲「Strawberry Crisis !!!!!!」は「Strawberry Crisis!!」のアレンジ。爆速の疾走曲です。本作中の他の疾走曲と違ってストレートだからか、リードギターが前面に出ていて重さよりもメロディが引き立っているからか、爽快で聴きやすいです。

 東方神霊廟も各種東方旧作も未経験な私には、原曲を知らない楽曲が多いというハンデも大きいですがメロディよりもヘヴィネスが前面に出ている印象が強いです。ヘヴィな疾走曲ばかりが揃って息苦しく、もう少し緩急ついていると良いと思いました。

 
 

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 共作『彼岸花葬 ~the view of spiral riverside~』ほか、双方で楽曲提供を行うなど交流も深いです。

 
 
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