🇺🇸 Derek & The Dominos (デレク・アンド・ザ・ドミノス)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Layla And Other Assorted Love Songs (いとしのレイラ)

1970年 1stアルバム

 デレク・アンド・ザ・ドミノスは米国に渡ったエリック・クラプトン(Vo/Gt)が結成したバンドで、ブルースロックを奏でました。ボビー・ウィットロック(Key/Vo)、カール・レイドル(B)、ジム・ゴードン(Dr)のメンバーに、サポートとして、スライドギターの名手デュアン・オールマン(Gt)を加えたラインナップ。デレク・アンド・ザ・ドミノス唯一のスタジオ盤で、プロデューサーはトム・ダウド。デュアン・オールマンは彼の紹介だったそうです。
 ロック史に残る超名曲「Layla」が突出しすぎていて、他は地味な印象を受けます。渋い楽曲が揃っているんですけどね。初めて聴いてから10年以上経ちますが、未だに「Laylaのアルバム」という感想から変わらないので、たぶんこれからもそうなのでしょう。

 CD化に際して1枚に纏まりましたが、レコード時代は2枚組でした。まずはレコードA面、「I Looked Away」がオープニングを飾ります。ギターも歌もブルージーで渋いですが、そんな中で躍動感あるドラムが気持ち良い。終盤のギターも晴れやかです。「Bell Bottom Blues」はゆったりテンポの楽曲です。ソウルフルな歌はメロディアスで、またギターが時折キューンと切ない音色を奏でるんです。続く「Keep On Growing」は気だるくルースなギターに、陽気なパーカッションが絡んで賑やかな雰囲気。グルーヴ感があってワチャワチャした演奏に、クラプトンとウィットロックの歌も楽しそうです。「Nobody Knows You When You’re Down And Out」はブルースの定番曲。3拍子のまったりとしたテンポに、ハモンドオルガンのメロウな音色が心地良いです。
 続いてレコードでいうB面は「I Am Yours」で幕開け。アコギによりトラッド的な雰囲気を醸しつつ、パーカッションはエキゾチックでサイケデリックロックの影響も感じられます。続いて「Anyday」はヘヴィなブルースロックを奏でるイントロから印象に残ります。音が分厚く聴きごたえのある演奏と、ソウルフルで力強い歌が情熱的で魅力たっぷりです。個人的には前半のハイライト的楽曲だと思います。そして「Key To The Highway」はブルース定番曲のカバーで、原曲はチャーリー・シーガーによるもの。気だるいロックンロールといった感じです。ギターが魅力的ですが、10分近くあるのでちょっと長いかも…。
 ここからはレコード時代のディスク2枚目、C面です。「Tell The Truth」はブルージーでルースな演奏や、ちょっと遊びの入った歌がローリング・ストーンズっぽい。「Why Does Love Got To Be So Sad?」はテンポが速くまくし立てるような楽曲で、本作中最もノリが良い印象です。躍動感があってダンサブルな感覚すらあるリズム隊の魅力もさることながら、キンキンとした音を立てながら速弾きを繰り広げるテンション高いギターが強烈ですね。一転して「Have You Ever Loved A Woman」では一気にスローテンポに落とし、渋くて気だるいブルースロックを展開。7分近くあります。
 レコードD面、最終パートは、ジミ・ヘンドリックスのカバー曲「Little Wing」で幕開け。原曲は名曲なのに短くフェードアウトしてしまって消化不良な感もありますが、本カバーバージョンでは原曲の倍くらいのボリュームになっています。ノイジーな演奏の中で、泣きのギターが特に美しいです。続く「It’s Too Late」は一転して音数を減らして、6/8拍子でゆったりとしたブルースロックを展開。そして超名曲「Layla」。「いとしのレイラ」という邦題で知られます。クラプトンが、友人であるジョージ・ハリスンの奥さんパティ・ボイドに宛てた熱烈なラブソングでした。その後寝取ってしまうことでも有名です。その結婚式にはジョージ・ハリスンも参加し、クラプトンとの間にわだかまりは無かったようですが、パティとは10年ほどで離婚してしまいます。この熱い楽曲はなんだったのか…。笑 前半パートはクラプトンの作曲で、熱い想いのこもった歌と、クラプトンとオールマンのギターバトルが繰り広げられます。想いを乗せたのかギターの音色もよく歌っています。後半パートはゴードンが作曲し、流麗なピアノを披露します。とても切ない。なお、この楽曲は22年後の1992年に、アコースティックアレンジされた「アンプラグト」として、クラプトンのソロで演奏されて再度脚光を浴びることになります。個人的にはオリジナルのこちらの方が好みです。…と長くなりましたが、最後にもう1曲「Thorn Tree In The Garden」が控えています。ウィットロックによるアコギ弾き語りで、柔らかい音色に優しい歌声がとても心地良いんです。

 ブルージーな佳曲も多いのですが、それら全てを霞ませる「Layla」というずば抜けた名曲が、やはり全部かっさらっていってしまうのです。何度聴いても私の中では「Laylaのアルバム」なのです。

Layla And Other Assorted Love Songs
(40th Anniversary Edition)
Derek & The Dominos
 
 

関連アーティスト

 デレク・アンド・ザ・ドミノス結成前のエリック・クラプトンの活動。

 
 エリック・クラプトンのソロ活動。
 
 
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