🇬🇧 George Harrison (ジョージ・ハリスン)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

All Things Must Pass (オール・シングス・マスト・パス)

1970年 1stアルバム

 イングランドのリヴァプール出身のミュージシャン、ジョージ・ハリスン。1943年2月25日生まれ、2001年11月29日没(享年58歳)。ビートルズのリードギタリストとして活躍し、解散後はソロで活躍しました。ビートルズでは最年少で、ジョン・レノンポール・マッカートニーの陰に隠れていましたが、中期頃からその才能を開花させます。しかしジョージの曲はアルバム1枚につき2曲までという制約が不満を募らせていました。アルバムに起用してもらえずストックを相当溜め込んでいたのか、ビートルズ解散後のソロ1作目となる本作は、レコード3枚組の大ボリューム(CD化でも2枚)。全英/全米ともに1位を獲得し、ソロでは他のビートルズメンバーよりも先に大きな成功を掴みました。ジョージと、フィル・スペクターの共同プロデュース。友人エリック・クラプトン(Gt)率いるデレク・アンド・ザ・ドミノス、盟友リンゴ・スター(Dr)、ビリー・ブレストン(Key)、レーベルの後輩バッドフィンガーほか、レコーディングには様々なミュージシャンが参加者しています。
 2001年のリマスター時に5曲のボーナストラックが追加(ジャケットアートも彩色されています)。私の持っているのはこちらの2001年バージョンのため、これをレビューします。
 
 
 まずはDisc1。「I’d Have You Anytime」はまったりと優しい1曲。囁くような甘い歌声と優しいギターに癒されます。続く「My Sweet Lord」、これが素晴らしい名曲です。アコギを軽快にかき鳴らし、甘くてメロディアスな歌やコーラスワークはとてもキャッチーで、多幸感に溢れています。ビートルズのようなポップさを発揮して、口ずさみたくなりますね。大ヒット曲ですが、しかし盗作疑惑をふっかけられて裁判で負けるという残念な逸話も残っています。「Wah-Wah」はブルース寄りの少しハードなギターに賑やかなサウンドで、後半はホーンも鳴り響いてゴージャスな印象。地味にベースも良い感じですね。歌の方は、タイトルにもあるように「Wah-Wah」の連呼が耳に残ります。「Isn’t It A Pity」はアンニュイな楽曲で、アコギやオーケストラが優しい演奏を奏でる中、ジョージの憂いを帯びた歌が感傷的な気持ちにさせます。ひたすら同じフレーズを繰り返して緩やかに盛り上げていく展開は、ジョージ流の「Hey Jude」でしょうか。雰囲気少し似てるし、7分ちょいという時間もほぼ一致。笑 続いて「What Is Life」はとてもキャッチーな名曲。イントロのシンプルなリフは耳に残るし、そこから楽器が増えて盛り上げていくベタな展開ですが素晴らしい。歌メロもどこかで聴いたことがあるような、ポップで馴染みのあるメロディで魅力的です。「If Not For You」は牧歌的な楽曲で、ジョージの甘い歌声が優しく癒してくれます。「Behind That Locked Door」ではアコギとスライドギターの組合せが心地良い空間を演出。ハワイアンというかトロピカルというか、まったりと優雅なひとときを過ごせる1曲ですね。「Let It Down」はイントロからホーンが豪華ですが、結構シリアスな雰囲気。歌が始まると穏やかになりますが、激しいサビメロはグラムロックの雄T・レックスを想起させます(T・レックスの方が若干後発でしょうか?)。牧歌的で温もりに溢れる「Run Of The Mill」を挟んで、「I Live For You」も温もりを感じられる1曲。アコギとスライドギターが心地良く、ジョージの甘い歌声にも癒されます。
 ここからはCD化に際して追加されたボーナストラック。「Beware Of Darkness (Acoustic Demo)」はアコギ弾き語り。シンプルなサウンドに憂いのあるメロディが際立ちます。続く「Let It Down (Alternate Version)」もアコギだけのシンプルなアレンジ。原曲の持つ迫力は減退していますが、これはこれで良い感じ。「What Is Life (Backing Track/Alternate Mix)」はインストゥルメンタル。おまけ感満載ですね…。「My Sweet Lord (2000)」はボーカルを録り直していて、ラフで柔らかい歌声を聴けます。ソウルフルなコーラスが加わっていますが、オリジナルよりも若干隙間があるようなアレンジ。個人的にはオリジナルの方が好みですね。
 
 
 ここからはCDのDisc2、レコードでも2枚目。「Beware Of Darkness」はメランコリックな歌メロを落ち着いたサウンドでしっとりと聴かせます。「Apple Scruffs」はハーモニカを吹き鳴らす少しレトロな楽曲。小気味良く刻むアコギの音色が軽快ですね。「Ballad Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)」はメロディアスな1曲。アコギとキーボードを中心に、心地良さと憂いを帯びた演奏を聴かせます。歌メロには切なさが漂います。強烈なエコーを利かせたポップ曲「Awaiting On You All」を挟んで、タイトル曲「All Things Must Pass」。まったりと優しい空気が流れます。全編通して心地良いアコギの音色と、昇天するかのようなスライドギターが素晴らしく、また時折盛り上げるホーンも良いですね。「I Dig Love」はタムタムやドラムを駆使してリズムを強調したドラムが、ダブのような不思議な幻覚感を生み出します。ピアノが繰り返すフレーズもどこか怪しげで、奇妙な中毒性を持っています。「Art Of Dying」は華やかで賑やかな1曲。ですがメロディには少し陰があり、気だるげに歌います。特徴的なギターはエリック・クラプトンですね。ベースラインもカッコ良い。「Isn’t It A Pity (Version Two)」はDisc1のバージョン違い。5分弱に短縮されているほか、壮大さは控えめで気持ちシンプルめなアレンジに仕上がっています。こちらも中々良いですね。「Hear Me Lord」は強い哀愁が漂う楽曲。メロディアスな佳曲ですが、他の爽やかな楽曲と比べるとかなり粘っこく、アルバムの中では若干異質な印象です。
 ここからは「Apple Jam」と題されたジャムセッション(レコードでいう3枚目)が並びますが、曲順はオリジナルとは変わっているようです。「It’s Johnny’s Birthday」は陽気な雰囲気。テープを弄りまくって、ノイズまみれだし速度も早送りやスピードダウンなど遊んでいます。続く「Plug Me In」はスリリングな楽曲。緊張感に満ちた疾走気味のロックンロールで、本編では聴けなかった荒々しい演奏にぶっ飛ばされます。カッコ良い!そして8分に渡る「I Remember Jeep」は耳障りなほどの強烈なノイズで始まり、ノイズが晴れると陽気なロックンロールの幕開け。ノリノリの演奏で楽しませますが、演奏に茶々を入れるかのように時折強いノイズが入ってきます。「Thanks For The Pepperoni」は軽快なロックンロール。ギターは荒々しいですが、ピアノが軽やかな印象を加えてくれます。そしてラストは11分超の「Out Of The Blue」。泥臭い演奏を展開しますが、正直ちょっと長すぎて冗長な感は否めません。
 
 
 ボリューム満点なので通しで聴く回数は少ないのですが、聴くたびに名曲の多さに驚かされます。ジョージの才能を遺憾なく発揮し、ビートルズはジョン・レノンやポール・マッカートニーだけじゃなかったのだと証明してくれます。

All Things Must Pass
George Harrison
 
 

関連アーティスト

 ビートルズではリードギターを担当。

 
 ビートルズのバンドメイトたち。
 
 大親友で、元妻パティ・ボイドの再婚相手でもあります。
 
 
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