🇩🇪 Kraftwerk (クラフトワーク)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Trans-Europe Express (ヨーロッパ特急)

1977年 6thアルバム

 クラフトワークはドイツの音楽ユニットで、1970年に結成しました。前衛的な電子音楽を奏でるスタイルを指してクラウトロック(「ドイツのロック」の意。プログレッシヴロックの1ジャンル)とも呼ばれます。ニューウェイヴムーブメントにおいては本来オールドウェイヴ側のグループですが、その音楽性は多くの新鋭バンドに影響を与え、またニューウェイヴのピコピコした電子音楽を最も連想させるグループでもあることから、本サイトではニューウェイヴに位置づけます。
 本作でのメンバーは、ラルフ・ヒュッター(Vo/Syn)、フローリアン・シュナイダー(Vo/Syn)、ヴォルフガング・フリューア(Dr)、カール・バルトス(Dr)。ヒュッターとシュナイダーがプロデューサーも兼任。ジャケットが4人のメンバーが並んだ肖像画のようなものが国際盤で、ドイツ盤はメンバー写真、そして2009年リマスター時に電車のイラストのジャケットになったようです。

 「Europe Endless」で開幕。チープな電子音はファミコンやゲームボーイといった昔のゲーム機を連想させ、これらゲーム機で遊んだ世代には懐かしさを覚えるのではないでしょうか。10分近い楽曲で、電子音の反復に乗る単音のメロディは、列車から眺める移りゆく景色を表現しているかのようです。「The Hall Of Mirrors」はまさにゲーム音楽。レベルアップのようなBGMからダンジョンへ…という楽曲ではないのですが、クラフトワークが表現したかった世界観とは恐らく違う光景が目に浮かびます。笑 でも心地よいです。続く「Showroom Dummies」は哀愁が漂うメロディライン。でも音はチープ。反復が妙に中毒性があるんですよね。
 レコードでいうB面の開幕は表題曲「Trans-Europe Express」。線路を走るかのような単調なリズムに、加工された無機質なボーカル。シンセサイザーとセットのメロトロンが哀愁のメロディを奏でます。前曲から途切れず続く「Metal On Metal」は金属的な音を無機質に奏でます。この楽曲、2009年リマスター時に「Metal On Metal」と「Abzug」という2曲に分かれたそうです。前曲と同じフレーズをひたすら反復したあと、駅に到着したかのようなブレーキ音で終えます。全体的にダークな雰囲気です。続く「Franz Schubert」は一転して明るい雰囲気のインストゥルメンタル。途切れず続く「Endless Endless」は1分ほどの小曲で、機械的なボーカルの反復で終えます。

 ひたすら反復されるチープな電子音が全編を支配し、感情を抑圧したような抑揚のないボーカルも無機質ながら温もりを感じます。昔のゲーム機で育った世代には心地よいのではないでしょうか。

左:2009年リマスター盤。
右:オリジナルジャケット(国際盤)の旧リマスター盤。

Trans-Europe Express (2009 Remastered)
Kraftwerk
Trans-Europe Express
Kraftwerk
 

The Man-Machine (人間解体)

1978年 7thアルバム

 ロボットのようなパフォーマンス。テクノカットと呼ばれる、もみあげをバッサリ切った髪型。サウンドもテクノポップの完成形で、ニューウェイヴのイメージを強烈に印象づける作品です。でも日本のテクノカットブームの火付け役は、クラフトワークに影響を受けたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)だったようです。YMOもテクノポップの第一人者ですね。
 ジャケットは赤いシャツを着たメンバー4人が同じポーズで並ぶものが有名ですが、2009年のリマスター時には真っ赤な背景にタイトルだけのものが採用されたようです。
 前作同様に、ラルフ・ヒュッターとフローリアン・シュナイダーがプロデュース。

 オープニング曲は「The Robots」。浮遊感のある電子音と加工されたボーカルは、チープで無機質な単調さを持ちながらも、未来的で、そして温もりさえ感じます。聴いていて心地よい楽曲で、中毒性があります。「Spacelab」はタイトルのとおり宇宙のような浮遊感が漂いますが、暗くて物悲しいメロディラインです。少しだけ入るボーカルは極端に加工され、世界観を装飾する楽器のように扱われています。「Metropolis」はダンサブルなリズムを刻む楽曲。サイレンのようにシンセサイザーが鳴り響きます。
 レコードB面、アルバムは後半に入ります。アルバム後半ではラスト曲を除きボーカルは加工しておらず、歌の比重も大きくなっています。とは言っても主役はあくまでシンセサイザーですが…。シングルヒットした「The Model」はシンセが哀愁漂うメロディを奏でます。ノリの良い1曲でキャッチーですね。「Neon Lights」は9分に渡る楽曲です。優しい歌が終わると、ネオンの光のようにシンセのキラキラとした音色が鳴り響きます。ラストは表題曲「The Man-Machine」。またボーカルが加工されています。チープで単調な電子音の反復に乗せて「シモシモシモ…シマシーン」の連呼は強烈なインパクトがあります。

 無機質ながら温もりを感じさせるサウンドです。特にオープニング曲「The Robots」の中毒性が強く、これは脳内ループします。

左:2009年リマスター盤。
右:オリジナルジャケットの旧リマスター盤。

The Man-Machine (2009 Remastered)
Kraftwerk
The Man-Machine
Kraftwerk
 
 
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