🇬🇧 Noel Gallagher’s High Flying Birds (ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Noel Gallagher's High Flying Birds (ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)

2011年 1stアルバム

 イングランドはマンチェスター出身のアーティスト、ノエル・ギャラガー。本名ノエル・トマス・デヴィッド・ギャラガー、1967年5月29日生まれ。3兄弟の次男として生まれました。幼少期は父親に暴力を受けて育ち、ノエル自身も無断欠席や万引きなどの素行の悪さが目立ち15歳の時に退学。なおこの頃にはスミス等に影響を受けてギターを始めています。実弟リアム・ギャラガーとともにブリットポップの雄オアシスを結成。リーダー、そしてソングライターとして活躍し、数々の名曲を残しています。兄弟揃って素行が悪いのですが、暴力的なリアムに比べるとノエルは口が悪いだけであまり手は出さないようです。メグ・マシューズと1997年に結婚するも2000年に離婚。なお2011年にサラ・マクドナルドと再婚しています。
 2009年にオアシスを脱退した後はソロ活動を開始。そしてノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ名義で本作をリリースします。デイヴ・サーディと組んで制作しました。マイク・ロウ(Key)、ジェレミー・ステイシー(Dr)が参加。

 「Everybody’s On The Run」で開幕。ノエルの焦がれるような歌唱には哀愁が漂います。ストリングスに彩られて壮大ですが、全体を覆うのは切ない雰囲気です。続く「Dream On」はリズムは小気味良くも、暗い雰囲気が覆っています。メロディアスでキャッチーな歌は耳に残ります。流石は稀代のメロディメイカー、ノエルの才能を感じます。「If I Had A Gun…」はアコースティックでしっとりとした雰囲気です。そこまで派手さはないのですがメロディが良く、ノエルの歌声もあってすっと入って染み込んできます。しんみりと聴けます。「The Death Of You And Me」もアコギが主体で、メロウで大人びた雰囲気。そしてリズミカルで心地良いサウンドです。「(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine」は優しいアコギをストリングスで飾り、さらにコーラスワークによって全編浮遊感に満ちています。徐々に盛り上がっていくドラマチックな展開が感動的な1曲です。続く「AKA… What A Life!」は洒落ていてジャジーだけどダンサブルな1曲。サウンドのつくりや歌声などコールドプレイっぽい雰囲気。幻想的な終盤はサイケのようでもあります。「Soldier Boys And Jesus Freaks」はノリの良いリズムに大人びた雰囲気の1曲で、メロウなサックスが魅力的。「AKA… Broken Arrow」は個人的に本作のハイライト。ひんやりと寒々しい風が吹くかのようなサウンドに、メロディアスで哀愁を帯びた歌が染みます。これはメロディが良いです。少し怪しげなメロディの「(Stranded On) The Wrong Beach」はリズムが心地良い。最後にオアシス時代から温めてきた楽曲「Stop The Clocks」。輪郭がぼんやりとして浮遊感のある、メロディアスな1曲です。神々しさすら感じられますが、ラストはサックスをはじめアヴァンギャルドな演奏を繰り広げて終わります。

 派手さはありませんが、メロディアスで落ち着いた楽曲の数々。全体を寂寥感が漂っていて、しんみりと切ない気分になります。

Noel Gallagher’s High Flying Birds
Noel Gallagher’s High Flying Birds
 

Chasing Yesterday (チェイシング・イエスタデイ)

2015年 2ndアルバム

 ノエル・ギャラガー自身のセルフプロデュースとなる本作は、前作に引き続き全英1位を獲得しました。前作から4年ぶりとなりますが、ノエルが悠々とソロ活動をしている間にオアシスの後継ビーディ・アイは解散してしまいました。
 本作のメンバーは、前作からのノエル(Vo/Gt/B/Key)、マイク・ロウ(Key)、ジェレミー・ステイシー(Dr)に加えてポール・ステイシー(Gt/B/Key)が加わっています。

 オープニング曲は「Riverman」。アコースティックで憂いを帯びた演奏に、メロディアスな歌が染み入ります。そして中盤の泣きのエレキギター、渋いサックスが良い味を出しています。余韻というか「間」を感じさせる1曲です。続く「In The Heat Of The Moment」は、グルーヴ感のあるダンサブルなリズムに乗せて「ナナナナナーナ」とキャッチーなメロディが印象的です。「The Girl With X-Ray Eyes」は哀愁漂う1曲。なんとなくイーグルスの「Hotel California」を湿っぽくしたような印象を受けます。「Lock All The Doors」は躍動感のあるロック曲。ほどよくノイジーなギターサウンドで勢いに溢れています。前作には無かったタイプの楽曲ですが、アルバムに緩急つける良い1曲です。「The Dying Of The Light」は憂いのあるメロディアスな1曲で、シリアスな雰囲気に神秘的な鍵盤の音色がアクセントになっています。ジャジーな「The Right Stuff」は、長尺のイントロに浸っているとノエルと女性ボーカル(ゲスト参加のジョイ・ローズ)の歌声が優しく響きます。サックスも鳴り響いてメロウな雰囲気です。少しシリアスな雰囲気の「While The Song Remains The Same」、反復するフレーズが耳に残る「The Mexican」と続いたあとは、軽快な1曲「You Know We Can’t Go Back」。暗い雰囲気の楽曲が多い中、こういうアップテンポ曲は救いですね。そしてラスト曲は「Ballad Of The Mighty I」。元スミスのジョニー・マーが参加しています。正直ジョニー・マーのギターよりも、ストリングスやグルーヴ感のあるリズム隊の方が前面に出てる感はありますが…。

 前作に比べるとバラエティに富んでいます。一方でメロディの良さは前作に劣るかなと。ジャケットアートはカッコ良いんですけどね。

Chasing Yesterday
Noel Gallagher’s High Flying Birds
 
Who Built The Moon? (フー・ビルト・ザ・ムーン?)

2017年 3rdアルバム

 本作はDJ界の巨匠デヴィッド・ホルムスをプロデューサーに迎えて制作されました。これまでの曇天のような哀愁に満ちた作風を取っ払い、ポジティブでカラフルなダンスチューンは、意外ではあるものの取っつきやすく個人的にはこの変化は成功だと思います。ソロで3作連続の全英1位を獲得し、オアシス時代から通算すると10作連続1位という快挙です。
 本作のメンバーはノエル・ギャラガー(Vo/Gt)、ジェレミー・ステイシー(Dr)、ジェイソン・フォークナー(B)、キーファス・シアンシア(Key)。そしてポール・ウェラーやジョニー・マーなど豪華メンバーをゲストに据えています。
 青空の広がる雄大なるジャケットに写る女性は、ノエルの妻サラ・マクドナルドだそうです。

 「Fort Knox」はオリエンタルな香りの漂うインストゥルメンタルで、グルーヴの強烈なダンスチューンです。2010年代は世界的にEDMブームでしたが、ノエルも例に漏れずブームに乗ったようです。続く「Holy Mountain」は本作のハイライト。分厚くて濃ゆいサウンドはダンサブルでグルーヴ感抜群。明るいメロディには開放感があって、ハミングも楽曲を盛り上げます。これまでの憂いを帯びた楽曲からは驚くような変化ですが、聴いていると気分が晴れやかになります。「Keep On Reaching」はジェレミーのドラムが力強いリズムを刻み、ノエルのファルセット気味の歌声が浮遊感を生みます。リズミカルなサウンドはとても爽快で、無意識に身体がリズムを刻んでしまいます。「It’s A Beautiful World」はエコーの効いたボーカルが幻覚的な雰囲気。サビはサイケな世界を駆け抜けるかのようで、キラキラとしたサウンドが引き立てます。続く「She Taught Me How To Fly」はイントロのギターにバンドサウンドを見いだせるものの、そこからは打ち込みドラム中心のダンサブルな楽曲に変わりです。甘くてキャッチーなメロディが心地良いですね。「Be Careful What You With For」は少しトーンを落として気だるげ、そしてエキゾチックで怪しげな楽曲です。でもグルーヴィなリズムは健在。「Black & White Sunshine」は明るいアップテンポ曲。グルーヴ感のあるサウンド、そしてなんといってもサビの開放感がとても爽快です。気分が晴れる1曲です。「Interlude (Wednesday Part 1)」はインストゥルメンタル。繊細なアコギとくっきりとしたリズム隊。そして神秘的なサウンドが全体を包み込みます。不思議な浮遊感に浸っていると次曲「If Love Is The Law」へ。幻想的でカラフルなサウンドが多幸感を与えてくれます。優しいハーモニカの音色はジョニー・マーによるもの。続く表題曲「The Man Who Built The Moon」。デヴィッド・ボウイの名曲「The Man Who Sold The World」のようなタイトルですね。これが重厚な雰囲気で、そして壮大な楽曲なのです。クライマックスに向けた盛り上がりは、不協和音のような音色に恐怖を感じつつも鳥肌が立ちます。そしてアウトロ的な位置づけの「End Credits (Wednesday Part 2)」でしんみりと終わります。
 そして世界共通のボーナストラック「Dead In The Water」。ライブ録音で、アコースティックでしっとりとしたメロディアスな歌を披露します。優しくて柔らかい音色がとても心地良いです。

 オアシスの影を払拭してエレクトロ路線へ傾倒した作品です。オアシスらしさを求めていた人には戸惑いもあるかもしれませんが、明るい作風は気分が明るくなります。

Who Built The Moon?
Noel Gallagher’s High Flying Birds
 
 

関連アーティスト

 古巣にして、英国の国民的ロックバンド。

 
 実弟リアム・ギャラガーのソロ活動。
 
 
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