🇺🇸 Blue Öyster Cult (ブルー・オイスター・カルト)

レビュー作品数: 2
  

スタジオ盤

Secret Treaties (オカルト宣言)

1974年 3rdアルバム

 米国ニューヨーク州出身のハードロック/ヘヴィメタルバンド、ブルー・オイスター・カルト。1967年に「Soft White Underbelly」名義で結成後、1970年に現バンド名に改称。その後は活動休止を挟みつつも、50年以上に渡り長く活動を続けています。
 さて本作ですが、ブルー・オイスター・カルト初期の名盤として知られる作品です。この時点のメンバーはエリック・ブルーム(Vo/Gt/Key)、ドナルド“バック・ダーマ”ローザー(Gt)、アラン・レイニア(Key/Gt)、ジョー・ブーチャード(B/Vo)、アルバート・ブーチャード(Dr/Vo)。マレー・クルーグマンと、バンド名の名付け親であるサンディ・パールマンによるプロデュース。

 アルバムは「Career Of Evil」で幕開け。怪しげなリフが耳に残ります。オカルトな雰囲気もありますが、ポップな歌メロのおかげでやけにキャッチーな印象。メロディのセンスが良いですね。「Subhuman」はグルーヴィなベースや、跳ねるような間奏パートが爽快です。憂いを帯びていて暗く冷たい空気が流れますが、メロディやエリックの歌のおかげか、冷徹になりきれず温かさも持ち合わせています。続く「Dominance And Submission」はアルバートがボーカルを担当。緊張感に満ちた攻撃的な疾走ハードロック曲で、これなら確かにヘヴィメタルと呼ばれてもさほど違和感ないですね。中盤は掛け合いを繰り広げながら緊張を高めていきます。スリリングでカッコ良いです。「ME 262」は明るいロックンロール。本アルバムのジャケットアートはメッサーシュミットME262で、本楽曲にちなんでいます。エリックのカラッとした歌は爽やかで、またリフが特徴的なギターや、パタパタとしたドラムも爽快です。
 そしてアルバムは後半に突入。「Cagey Cretins」はハードボイルドなロックンロール。疾走感のある演奏やオルガンのアクセント、アルバートのシャウト気味の歌などはディープ・パープルにも通じる雰囲気ですね。「Harvester Of Eyes」はイントロこそ怪しげな雰囲気を醸しますが、前半は明るくキャッチー。中盤から重厚さが増し、怪しくヘヴィに。ラストはテンポダウンしてどんよりとしています。なお本楽曲からラストまでエリックがボーカルを務めます。オルゴールの綺麗だけど不気味なアウトロを経て、そのまま続く「Flaming Telepaths」。緊張と哀愁が同居した楽曲で、メランコリックなメロディラインが哀愁を誘います。スペイシーなシンセサイザーがちょっと浮いてる気がしなくもないですが、泣きのギターソロをはじめ演奏も魅力的です。ラストは壮大な名曲「Astronomy」で、後にメタリカもカバーしました。ピアノのイントロは憂いが漂い、エリックの歌は強い哀愁が漂っています。しっとりとしていますが、徐々に盛り上がる展開はドラマチックで、ラストは疾走。随所で流れるメロディアスなフレーズの反復も耳に残りますね(アイアン・メイデンにも影響を与えていそう)。

 全体的にメロディアスな楽曲の詰まったハードロック作品です。時折見せる哀愁のメロディが魅力的です。

Secret Treaties
Blue Öyster Cult
 
Agents Of Fortune (タロットの呪い)

1976年 4thアルバム

 ブルー・オイスター・カルトの代名詞「(Don’t Fear) The Reaper」を収録した代表作です。本作においては、メンバー全員が何かしらの楽曲でボーカルを取るスタイルが特徴的です。プロデューサーにはデヴィッド・ルーカスと、前作に引き続きマレー・クルーグマンとサンディ・パールマン。
 レーベルが米国版ブラック・サバスとして売り出そうとしたこともあり、ブルー・オイスター・カルトはヘヴィメタルの源流としても見なされます。ですが私が初めて触れた本作がやけにポップな印象で、メタルを求めて聴いたら期待外れだと感じてその後長らく聴いていませんでした(今思うと、しっかり向き合って聴いていなかったのと、加えてNWOBHMやそれ以降の時代のメタルの音を期待していたのかも?)。改めて久々に向き合ってみようと思います。

 「This Ain’t The Summer Of Love」はこれまでメインのボーカルを務めたエリック・ブルーム(Vo/Gt/Key)が歌います。ヘヴィで切れ味鋭いギターがザクザクとしており、歌は怪しげな雰囲気がプンプン漂います。でもサビメロはやけにキャッチーな感じもします。「True Confessions」はアラン・レイニア(Key/Gt)が歌います。南国でのバカンスのようなリラックスした空気。アランの歌は恍惚に浸っているよう。そして名曲「(Don’t Fear) The Reaper」はバック・ダーマ(Gt)がボーカルを取ります。演奏は少し怪しげな雰囲気ですが、メロディアスな歌と甘い歌声、魅力的なコーラスワークなどの歌モノとして聴けるため、ヘヴィメタルとは無縁な印象を持ちました(歌モノとしてのクオリティは高いです)。ですがよく聴くと中盤の演奏パートは激変して、強烈にダークなオーラを放ち、激しくてドラマチック。とてもスリリングな間奏はすぐに終わってしまい、またメロディアスな楽曲へと戻ってしまいますが、一瞬ながら強烈なスリルを味わえます。「E.T.I. (Extra Terrestrial Intelligence)」はエリックが歌います。合唱で盛り上がりそうなキャッチーさはアリーナロック風で、また演奏もどこか余裕が感じられます。うねるギターリフが耳に残りますが、中盤以降の高らかに鳴るギターソロも良い感じ。「The Revenge Of Vera Gemini」ではパティ・スミスがゲスト参加し、アルバート・ブーチャード(Dr/Vo)とデュエットを繰り広げます。リズミカルな演奏に乗るパティ・スミスの色気のある歌が印象的。
 レコード時代のB面、アルバム後半はアルバートの歌う「Sinful Love」。歌は単調な印象ですが、R&Bっぽいコーラスや、哀愁たっぷりのメロディアスなギターソロが聴きどころでしょうか。「Tattoo Vampire」はエリックがボーカルを取る、ハードボイルドな疾走ロックンロール。ガチャガチャ鳴るイントロからスリリングですね。古臭さを感じますが、骨太なギターはカッコ良いです。続いて「Morning Final」はジョー・ブーチャード(B)がボーカル担当。これでメンバー全員ボーカルが一巡しました。笑 演歌のように強い哀愁を醸すギターがイントロで際立ちますが、歌が始まるとオルガンを始めリズミカルで跳ねるような印象。「Tenderloin」はベースが怪しげにうねり、シンセが不気味な浮遊感を生み出します。終盤の混沌とした演奏バトルがスリリングで、ツインギターがメロディアスに絡み合います。最後はアルバートによる「Debbie Denise」。パティ・スミスが作詞をしています。明るい雰囲気の楽曲で、アコギとスペイシーなシンセが爽やかで心地良い音色を奏でますが、アルバートのむさ苦しいボーカルがややミスマッチ。笑

 久々に聴いてみたら部分的にヘヴィメタルを感じる部分がありますが、米国版ブラック・サバスという前評判にはやはり疑問が残ります。ですが、メロディアスでポップな楽曲を少しオカルティックに味付けした楽曲群は中々魅力的ですね。

Agents Of Fortune
Blue Öyster Cult
 
 
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