🇬🇧 Coldplay (コールドプレイ)

レビュー作品数: 7
  

スタジオ盤

Parachutes (パラシューツ)

2000年 1stアルバム

 コールドプレイはイングランドのオルタナティヴロックバンドで、1997年にロンドンで結成しました。2000年代で最も成功したバンドです。メンバーはクリス・マーティン(Vo/Gt/Key)、ジョニー・バックランド(Gt)、ガイ・ベリーマン(B)、ウィル・チャンピオン(Dr)。2022年現在もメンバー変更なく続いています。

 全世界で約900万枚のセールスを記録した本作は、レディオヘッドU2からの影響を強く感じるギターロックになっています。そのレディオヘッドの『キッドA』と発売時期が近いのですが、『OKコンピューター』までのレディオヘッドのファンで『キッドA』への劇的な変化を受け入れられなかった層がかなり本作に流れてきたようで、それが成功の要因の一つとも言われています。ケン・ネルソンとコールドプレイのプロデュース(「High Speed」のみクリス・アリソン)。
 ジャケットアートは木星みたいに見えますが、よく見ると高速回転させた地球儀のようです。

 「Don’t Panic」で開幕。浮遊感のあるエレキギターと、リズムを刻むアコースティックギターの絡み合いが心地良いです。レディオヘッドからの影響を感じるものの、彼らと違って陰鬱ではなくて安らぎがあります。続く「Shiver」は、3連のリズムが心地良さを提供します。ボーカルの熱量に合わせて轟音が表れますが、全体的に透き通って優しいサウンド。エモーショナルな1曲です。クリスのファルセットが浮遊感を生み出す「Spies」を挟んで、「Sparks」はしっとりとして哀愁漂う1曲。ドラムは控えめで、アコギとベースが中心となって作り出すサウンドに温もりを感じます。「Yellow」はヒットシングル。本作の中でも突出した名曲だと思います。メロディアスな歌と包み込むようなコーラスが優しい。抜けの良いスネアとシンプルなギターも心地よさを生み出しています。「Trouble」ではピアノが加わって、メランコリックなサウンド。切ない気分にさせます。表題曲「Parachutes」は1分にも満たないアコースティックな小曲。続いて「High Speed」ではダークな側面を見せます。ゆったりとした「We Never Change」を挟んで、ラスト曲「Everything’s Not Lost」。浮遊感のあるギターが心地良い。なお空白の後、隠しトラック「Life Is For Living」が始まりますが、これがとても良いメロディ。比較的シンプルなアレンジゆえにメロディの良さが際立ちます。

 全体的にメロディアスな楽曲に溢れていて癒されます。手堅く纏まっているのですが、アップテンポ曲はほぼなく、刺激を求める人には少し退屈かも。

Parachutes
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A Rush Of Blood To The Head (静寂の世界)

2002年 2ndアルバム

 全世界で約1500万枚のセールスを記録した最大のヒット作。業界はCD不況時代に差し掛かり、バンド人気の上昇と反比例して、売上枚数は本作をピークに減少していきます。原題の直訳は『頭に血が上る』で、『静寂の世界』とは真逆ですね。ただ、アルバム全体の印象としては『静寂の世界』に近いというか、氷の世界のような冷たさと透明感を覚えます。
 前作に引き続き、ケン・ネルソンとコールドプレイの共同プロデュース。

 オープニング曲は「Politik」。いきなり緊迫感のあるイントロですが、歌が始まると突如訪れる静寂。全体的に重苦しく冷たい印象を受けるのですが、同時に美しさも内包していて、終盤には少し光が見えてくるような気がします。1曲目から強烈なインパクト。続く「In My Place」は一転して、クリアで柔らかなギターが優しい1曲。メロディアスなバラードで、心が温まります。続く「God Put A Smile Upon Your Face」はアコギが冷たい音色を奏でますが、ドラムが加わるとスリリングに。そしてサビではカラフルな印象を受けます。寒々しくも、どんどん色や光が付け加わっていくような印象です。「The Scientist」は寒々しくも美しいピアノ弾き語りで始まるバラードです。淡々としているようでメロディは美しいし、楽器が増えて徐々に盛り上がっていく様は感動的です。続いて「Clocks」は本作のハイライト。ピアノがとても美しい1曲で、神秘的で彩りのあるオーロラのような音色。幻想的なピアノとは対照的にベースとドラムがかなり力強く、ドラマチックに仕上がっています。続く「Daylight」は比較的テンポが早い割には陰鬱な印象を受けます。サビもどことなくひんやりとしています。「Green Eyes」はアコギ中心のシンプルな楽曲です。ひんやりした楽曲が多い本作ですが、この楽曲には温もりを感じます。中盤から楽器が増えますが、そのサウンドはやはり温かい。「Warning Sign」も温もりを感じるメロディアスな1曲で癒されます。続く「A Whisper」は緊迫感のある1曲。シリアスな音色を奏でるギターと、緊張感を煽るドラムがピリピリとした雰囲気を作ります。終盤のキーボードは緊張を和らげるような美しい音色です。表題曲「A Rush Of Blood To The Head」はタイトルを冠するには少し地味な印象の1曲。これも十分メロディアスなのですが、他の楽曲の魅力に少し埋もれ気味。ラストの「Amsterdam」はピアノが美しい1曲。他の楽曲のピアノは寒々しい印象でしたが、本楽曲では温もりに溢れ、まさに王道といった楽曲です。後半の盛り上がり方がドラマチックで、アルバムを締めるに相応しい名曲です。

 前作に引き続き透明感のあるメロディアスなサウンドですが、ひんやりとしたピアノが主導する楽曲が増えたことから、冷たくも美しい印象を持ちます。前作よりも緩急ついてメリハリが生まれ、聴きごたえがあります。

A Rush Of Blood To The Head
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X&Y

2005年 3rdアルバム

 全世界で約1300万枚を売り上げた本作は、前2作よりもキャッチーさが増し、より取っつきやすい作品に仕上がっています。クラフトワークデヴィッド・ボウイ、ブライアン・イーノ等に影響を受けたのだとか。
 ケン・ネルソンとコールドプレイに加えてダントン・サプルがプロデューサーに就いています。アルバム前半パートは「X」、後半パートは「Y」と名付けられています。

 Xと名付けられた前半パートは「Square One」で幕開け。キーボードが作り出す幻想的な世界に、ノリの良いドラムを皮切りに、シリアスなギターとグルーヴ感のあるベースが増えて音世界が一気に広がります。オープニングに相応しいダイナミズムに溢れた楽曲です。続く「What If」は一転してしっとりとした静かな楽曲。でも後半はドラマチックに盛り上がります。広がりのあるサウンドを引き締めるベースが良い味を出しています。続く「White Shadows」はポップ感溢れる1曲。これが本作で一番良いかな。メロディアスな楽曲を味付けするサウンドがとてもカラフルで、タイトなドラムも聴きどころ。オルガンが鳴り響く「Fix You」は、終始ファルセットで歌うクリス・マーティンの歌が優しい。後半テンポアップして盛り上がっていきます。神々しさを感じるコーラスワーク等も含めてドラマチック。「Talk」は軽快なギターが心地良い1曲。クラフトワークの「Computer Love」のリフを引用しているそうです。そして「X&Y」は哀愁漂うダークな1曲。切ないメロディがたまりません。
 Yと名付けられた後半パートは「Speed Of Sound」で始まります。キーボードが主導して神秘的なサウンドを作り出します。続く「A Message」はアコースティックギターでシンプルな始まり。でもそこはコールドプレイ、途中から楽器が増えて盛り上がる演出は彼らの得意とするところですね。優しく温もりのある楽曲です。「Low」はイントロからいきなり音の洪水。分厚い音の海に浸れます。続く「The Hardest Part」はメロディアスな1曲です。哀愁を纏ったピアノやギターサウンドに乗る、クリスの歌うメロディラインが美しい。王道バラード「Swallowed In The Sea」でじっくり聴かせたあとは、ダークな雰囲気の「Twisted Logic」。陰鬱ながらメロディアスな1曲です。ラストの「Til Kingdom Come」は牧歌的な楽曲。米国のカントリーミュージシャンであるジョニー・キャッシュに捧げた曲だそうです。

 キャッチーになった本作は批評家や一部のファンから酷評されたようですが、前2作よりも取っつきやすさはあります。ただ、派手な味付けの割に強烈な印象を残す楽曲は少なくて、もう1度聴きたいっていう楽曲が少ないのが正直なところです。

X&Y
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Vida La Vida Or Death And All His Friends (美しき生命)

2008年 4thアルバム

 プロデューサーに名を連ねるのは、ジョン・ホプキンス、リック・シンプソン、マーカス・ドラヴス、そして巨匠ブライアン・イーノ。数多くのバンドを成功に導いたブライアン・イーノに触れるところにコールドプレイの野心を感じますが、ブライアン・イーノに頼らずとも、既に前3作で成功を掴んでいたんですよね。
 ジャケットアートはウジェーヌ・ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』。

 オープニング曲は「Life In Technicolor」。インストゥルメンタルですが、キーボードとギターの絡みやパワフルなドラム、グルーヴ感のあるベースなど、いきなり引き込まれます。続く「Cemeteries Of London」はシリアスな雰囲気。ハンドクラップが独特のリズム感を生み出します。普段柔らかなギターが、この楽曲ではざらついています。コーラスワークもこれまでのコールドプレイとは少し違って、サッカーの歓声みたい。笑 続く「Lost!」はオルガンが神聖な空気を作り、厳粛でシリアスな雰囲気。ハンドクラップは親しみやすさを生み出そうとしているのでしょうか。厳粛な雰囲気の中に響くギターソロが素晴らしいです。哀愁漂う「42」はストリングスが彩りますが、悲しげなピアノが美しい。途中からテンポアップしますが、同時に緊張感も強まって、とてもスリリングです。後半の歌パートが始まると緊張がほぐれて弾けるような感じです。続く「Lovers In Japan/Reign Of Love」は、ギターによる同じフレーズの反復が心地良い「Lovers In Japan」と、ピアノが主導する子守歌のような「Reign Of Love」の2曲セットの楽曲です。続いて「Yes」は7分に渡る楽曲。前半パートはひたすらダウナーですが、ヴァイオリンの音色が美しい。後半パート(「Chinese Sleep Chant」と名付けられています)は打って変わってギターが軽快に鳴り響く疾走曲へ変貌します。前半の鬱々とした雰囲気を吹き飛ばす爽快さです。そして表題曲「Viva La Vida」。コールドプレイの楽曲で表題曲が突出して素晴らしいのって初めてかもしれません。iPodのCM曲に採用されたこの楽曲は、一度聴いたら忘れられないキャッチーなストリングスがあまりに印象的。ストリングスに乗せて歌うクリス・マーティンの歌も良い。あまりの美しさに聴き浸ってしまう、2000年代屈指の名曲です。続く「Violet Hill」はシリアスな音色を奏でるヘヴィなギターと力強いドラムが良い。前曲との対比になっていて、オーケストラ風の前曲に対してのバンドサウンド、美しさを押した前曲に対する退廃的な本楽曲。暗さを持ちつつ、でも美しさも内包しているんです。続く「Strawberry Swing」は牧歌的な楽曲です。ウィル・チャンピオンのドラムが、民族的なお祭りみたいな雰囲気を作り出します。ラストはもうひとつの表題曲「Death And All His Friends」。囁くように始まり、静かに終わると思いきや、中盤はダイナミズムに溢れた楽曲に変貌してカラフルな音世界を見せます。終盤は音響系のような、幻想的で広がりのあるサウンドを見せて終了。

 突出した「Viva La Vida」と「Violet Hill」の出来がとにかく素晴らしいのですが、アルバム通しでも聴きごたえのある作品です。これまでの作品とは若干雰囲気が変わった感はありますが、コールドプレイの最高傑作候補だと思っています。

Vida La Vida Or Death And All His Friends
Coldplay
 
Mylo Xyloto (マイロ・ザイロト)

2011年 5thアルバム

 本作も全英1位を獲得し、デビュー作から5作連続1位という偉業を成し遂げました。ビートルズオアシスに次ぐ3組目となります。
 本作は「Major Minus (メジャー・マイナス)」という政府との戦争や、「Mylo (マイロ)」と「Xyloto (ザイロト)」という人物の愛を描く…そんな内容のコンセプトアルバムだそうです。2010年代前半はEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)が世界的ブームとなりますが、本作ではそんな時代の流れに合わせてエレクトロポップ化。この変化がファンには賛否両論だったようです。
 前作でプロデューサーを務めたブライアン・イーノ、マーカス・ドラヴス、リック・シンプソンに加えてダニエル・グリーンを加えた布陣での制作。

 1分に満たない綺麗な音色のインストゥルメンタル「Mylo Xyloto」から、途切れずに「Hurts Like Heaven」が続きます。これがとてもダンサブルな1曲で、これまでのコールドプレイからの大きな変化を感じます。音色はカラフルで、ギターやキーボードが折り重なって分厚い音。続く「Paradise」はストリングスやシンセサイザーに彩られて派手なサウンドです。シンセが分厚すぎて個人的にはあまり好みのアレンジではないです。歌はメロディアスなので、メロディを押しても良かったのではないかとも思ったり。続く「Charlie Brown」はキラキラとして浮遊感もあるポップな楽曲。シンセは分厚すぎず程々で、バランス良くて聴きやすいです。「Us Against The World」ではアコースティックでしっとり聴かせます。ノリノリの前半から少し休憩といった感じで、とても癒されます。ひんやりとした印象の短いインストゥルメンタル「M.M.I.X.」から流れるように始まる「Every Teardrop Is A Waterfall」は映画『宇宙兄弟』でも採用されました。煌びやかなシンセが全面的に主導しますが、後半にエレキギターとアコースティックギターが加わって、特にエレキは良い味を出しています。「Major Minus」はアコギ主体ですが、途中のコーラスにR&B色もあるような。後半加わるエレキギターが良い感じ。アコースティックでシンプルに纏めた「U.F.O.」は、シンセとは無縁でホッとする1曲だったりします。続く「Princess Of China」は対照的にシンセ全開。リアーナと共演したこの楽曲はR&B的な楽曲を分厚いシンセに乗せています。正直ミスマッチ感が強いです。「Up in Flames」はしっとりとした1曲。静かなアレンジで、これまでのコールドプレイを求める人には歓迎される1曲でしょう。30秒程度の「A Hopeful Transmission」を挟んで始まる「Don’t Let It Break Your Heart」は希望に満ちた明るい1曲です。爽快感に溢れた楽曲で、クリーンなギターが特に心地良い。ラストは比較的静かな「Up With The Birds」で締めます。

 全体的に、ポップで色鮮やかな印象が強い本作。ポジティブな雰囲気に溢れた作品ですが、音が分厚すぎて曲によってはメロディの良さを埋もれさせていたり、ミスマッチを生んでしまっている印象です。個人的には、楽曲によって好き嫌いがはっきり分かれた1作でした。

Mylo Xyloto
Coldplay
 
Ghost Stories (ゴースト・ストーリーズ)

2014年 6thアルバム

 クリス・マーティンは2003年に米国の女優グウィネス・パルトローと結婚していますが、2014年に離婚しており、その出来事が影響して失恋ソングが多いようです。次作と対になっていて、次作の「陽」に対して、本作は「陰」の側面の強い作風になっています。緻密で寒々しいジャケットアートが本作の雰囲気を良く表しているのではないでしょうか。静かな曲調は初期作品のようだと、旧来のファンに歓迎されました。
 プロデューサーに名を連ねるのはアヴィーチー、コールドプレイ、ポール・エプワース、ダニエル・グリーン、ジョン・ホプキンス、リック・シンプソン。

 アルバムは「Always In My Head」で始まります。ひんやりとした印象を受ける楽曲で、『静寂の世界』のような雰囲気を感じます。続く「Magic」では打ち込みサウンドに、寒々しくも美しいピアノサウンドが乗ります。クリスの歌は淡々としているようですが、後半にファルセットを用いて切ない雰囲気が加わります。「Ink」ではノリの良いリズムとは対照的に、陰鬱でメランコリックなサウンドと歌が乗ります。アコギの音色やコーラスワーク等、暗さの中に温もりを与えてくれます。「True Love」は美しいストリングスの後ろで控えめなピコピコサウンド。派手さはありませんが美しい1曲です。「Midnight」では静かで淡々とした歌がまるで楽器のようで、ポストロック的な印象。サウンドがとても美しく、空間的な広がりを感じさせます。打ち込みサウンドに美しいコーラスが乗る「Another’s Arms」に続き、「Oceans」はアコギに乗せて美しいファルセットで歌います。こういう楽曲ってホッとするんですよね。そして次作の序章とも言える「A Sky Full Of Stars」。これまでの陰鬱な雰囲気を吹き飛ばすような希望に満ち溢れています。これまで抑えていた派手なシンセサイザーがここに来て登場。満点の星空を表しているかのようです。ラスト曲「O」は2パートから成る楽曲です。前半4分は「Fly On」と名付けられ、ピアノ主体の静かで美しい楽曲です。2分強の空白を挟んで、「O」と名付けられた1分半の終盤パート。コーラスだけ聴かせて終わります。

 強烈なインパクトのある楽曲はなく、楽曲1つ1つは地味な印象です。ただアルバム全体を覆う雰囲気が心地良い。静かでひんやりとしていて、そして美しい音世界はじっくり浸れます。

Ghost Stories
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A Head Full Of Dreams (ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ)

2015年 7thアルバム

 本作はアデルの『25』に阻まれて遂に1位を逃し、デビューから続く全英連続1位の記録は6作目で途絶えました。
 前作『ゴースト・ストーリーズ』と対になる作品で、前作が「陰」で本作は「陽」。明るくカラフルに彩られ、路線としては『マイロ・ザイロト』に近いものの、本作では上手く消化したというか、こなれた感があって個人的に好みです。ゲストの面々があまりに豪華すぎてやりすぎ感は否めませんが笑、アルバムとしてはよく纏まっていると思います。
 プロデューサーはリック・シンプソンと、ノルウェーのプロダクションチームのスターゲイト。

 開幕「A Head Full Of Dreams」が本作のハイライトだと思っています。ジョニー・バックランドの奏でる天にも昇るような美しいギターは、イントロから幸せな気分にさせてくれます。ガイ・ベリーマンのベースも強烈な存在感を示します。これだけ惹き込まれるオープニング曲はこれまでのコールドプレイには無かったでしょう。名曲です。続く「Birds」も浮遊感のあるサウンドですが、それとは対照的な強烈なダンスビート。爽快な印象です。「Hymn For The Weekend」ではゲストボーカルにビヨンセを招いています。R&B的ですが違和感はなく、これまでの実験的アプローチを自分たちの音楽に上手く消化した印象。キャッチーな歌メロは耳に残ります。「Everglow」はしっとりとした楽曲で、クリス・マーティンの切ない歌声が良い。ちなみにクリスの元妻グウィネス・パルトローがゲストボーカル参加しています。「Adventure Of A Lifetime」はR&B歌手メリー・クレイトンがゲスト参加。ギターがカラフルな音色を奏で、ウィル・チャンピオンのパーカッションはプリミティブな印象です。音の波が心地良い。続く「Fun」はメロディアスな1曲で、スウェーデンのシンガーソングライターのトーヴ・ローと共演しています。彼女の優しい歌声とクリスのデュエットが素敵。「Kaleidoscope」ではバラク・オバマ元大統領(録音当時現役!)の歌声をフィーチャーした楽曲。やりすぎでしょう…笑 続く「Army Of One」は分厚いキーボードが強烈。浮遊感がありますが、力強いドラムが現実に引き戻します。後半は打ち込みサウンドに変貌。「Amazing Day」は湿っぽいメロディアスな楽曲です。メロディが美しい。短いインストゥルメンタル「Colour Spectrum」を挟んで、ラスト曲は「Up & Up」。豪華な布陣で、ギターには元オアシスノエル・ギャラガー、ボーカルには女優アナベル・ウォーリスや他の楽曲でも参加したゲストボーカルの面々、他にもこれでもかという豪華面々を加えています。そのためコーラスが分厚い。

 ポジティブで色鮮やかな本作は、聴いていて幸せな気分になります。米大統領すらも呼んでしまった豪華すぎるゲストはコールドプレイの巨大な野心・慢心か、それだけ呼べる実力か…。

A Head Full Of Dreams
Coldplay
 
 
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