🇯🇵 GARNET CROW (ガーネット・クロウ)

限定品

リミックス盤

Cool City Production Vol.8 GARNET CROW REMIXES

2005年
 
 GARNET CROWのリミックス盤。ライブ会場限定販売だったため当時から入手難易度が高くて、今でもプレミア価格で取引されています。私も現物はついに手に入れられずじまいでしたが、知人に借りて音源だけは持っています。素晴らしい音源に出会えるならばプレミア価格でも買う価値があるのかもしれませんが、リミックス楽曲はいずれもオリジナルには及ばず。私の場合はリミックスやラフミックスといった類の音源は滅多に聴かないので定価でもペイしないのですが、本作は希少価値だけで価格が高騰している印象は強く、価格も含めると個人的な評価はとても低いです。たぶん買えなかった僻みも大いにあると思います。笑 ダウンロード販売もされておりましたが、現在ではそれもできないようです。
 
 
 「忘れ咲き / hirohito furui mix」は古井弘人によるアレンジ。郷愁を誘うAZUKI七の歌詞とはミスマッチな、トロピカルな雰囲気のまったりとしたサウンドになっています。ただ、このサウンドだと歌メロがやけにもったりしている感じがするというか、もう少しテンポアップしても良いのかなと思います。
 「クリスタル・ゲージ / hitoshi okamoto mix」岡本仁志によるアレンジ。スペイシーなシンセを中心としたダンサブルな楽曲に仕上がっています。原曲の持つ透明感は若干薄れつつも、ふわふわとした浮遊感をうまく活かして別路線にシフトさせていて、本作の中では好アレンジだと思います。
 「Endless Desire / CHINITA Mix」もダンスミックスで、小野塚晃による編曲。軽い。とにかく軽い。原曲の持つ緊迫したスリリングな空気感が大きく欠けていて、一番魅力的な部分を失ってしまい残念な印象は否めません。
 「夢みたあとで / Migrand Jazz」はLechel Migrandによるジャズアレンジ。落ち着いたサウンドは魅力で、個人的には結構好みなアレンジです。ただ中村由利の初々しく儚い歌声が若干浮いているので、ボーカル再録したら更に良くなる気もします。
 「flying / Xtra Jam RMX」はXtra Jamによるアレンジ。アコギがアクセントになっています。でも打ち込みサウンドが軽く、中村の儚い歌声が支えきれていません。重低音をもう少し固めないと壊れてしまうような脆さです。
 「泣けない夜も 泣かない朝も / night clubbers mix」はnight clubbersによるユーロビートミックス。イントロのラップパートもとてもカッコ良くアレンジされていて、ぶっ飛んだダンサブルなアレンジは強烈なインパクト。GARNET CROWらしさは皆無ですが、正直これは原曲よりも好みかもしれません。笑 後年の「ロンリーナイト」路線が好みの人は受け入れられると思います。
 「スパイラル / natural flavor mix」はmuによるボサノバアレンジ。原曲に比べるとドライブ感やスリルは大きく減退していますが、AメロBメロあたりはボサノバのまったりとした曲調が意外に合っていて、サビ以外はあまり違和感なく聴けます。
 「wish★ / Re-wish」はDr.Terashi + Pierrot Le Fouによるアレンジ。原曲のダンサブルなノリは活かしつつ、楽器・音色を少し変えて違いを出している感じでしょうか。
 「僕らだけの未来 / Funktasia Mix」はSOULOGICによるアレンジ。タイトルにあるようにファンク…でしょうか?ファンクのようなグルーヴ感がそこまで無く、抑揚のない打ち込みのリズムが正直退屈な印象は否めません。ベースの音量上げてグルーヴ感を強めたら、もう少し聴けたのかなぁ?なんて思ったり。
 「Naked Story / raze mix」はAKIRAによるダンサブルなアレンジで、シングル『スパイラル』にも収録されていますね。シングルで聴き慣れていることもあってかそこまで抵抗はありません。ボーカルも加工してトリップ感を演出、グルーヴ感のあるサウンドも中々良いです。
 「Crier Girl&Crier Boy ~ice cold sky~ / RIP TRAP REMIX」はヒップホップユニットのRIP TRAPによるアレンジ。とてもチャラい印象。笑 歌を煽るラップがいちいち笑えます。
 
 
 レビューのために聴き直しているものの、1回聴けば十分なリミックス集という個人的評価は変わりません。唯一「泣けない夜も 泣かない朝も」だけは原曲に匹敵するかなと思います(アルバムに合う合わないは別として、単曲として)。
Cool City Production Vol.8 GARNET CROW REMIXES
GARNET CROW
 

限定ユニット MINIQLO

Paralyzed Frequency

2010年 1stミニアルバム ※MINIQLO名義

 「ミニ ガーネットクロウ」、略してMINIQLO (ミニクロ)。GARNET CROWの広報メンバーを自認する中村由利と、岡本仁志の2人から成る限定ユニットです。名前の由来は、当時勢いのあったUNIQLOや、上陸を果たしたアパレルブランドのアバクロ(Abercrombie & Fitch)にあやかったのだとか。非公式ですがおそらくAZUKI七が出産・育児であまり活動できない時期にあり、そこで中村と岡本がメインで活動するかたちになったのだと推測します。
 MINIQLOのミニアルバムはいずれもライブ会場限定で販売され、本作は「GARNET CROW livescope 2010 〜THE BEST TOUR〜」が初出となります。ジャケット裏側にはペアルック姿の中村と岡本が写っており、付き合っているとか結婚しているのだとかいう真相不明の噂も流れました。
 本家GARNET CROWでは古井弘人が編曲を務めますが、MINIQLOでは岡本が編曲を行っています。ソロでは宅録スタイルを貫く岡本、また中村と岡本の2人体制ということもあってかこじんまりとしたアコースティックな趣に仕上がっています。

 「Holy ground」は、ピアノとストリングスに彩られたイントロから落ち着いた印象に仕上がっています。若干テンポが遅いのか、ゆったりとしていますね。原曲よりは「Holy ground~just like a ”dejavu arr.” ~」に近いものの、打ち込みで無い分より自然でアコースティックな感触。サビメロを岡本のコーラスが支えます。原曲の持つ神々しさはないものの、優しさを感じられます。
 続く「恋のあいまに」は中村のメランコリックなメロディラインが魅力の1曲ですが、アコースティックアレンジによって歌メロの良さが引き立っています。原曲よりも温かみが増して、全体的にアットホームな空気感で良アレンジです。岡本のコーラスも歌メロを引き立てますね。アコギの優しい音色に加えて、ドラムじゃなくパーカッション(カホン?)なのか、柔らかい質感が心地良いです。なお原曲はGARNET CROW屈指のアウトロも大きな魅力なのですが、ここではエレキギターの活躍が無い分アウトロは可もなく不可もなく。…とネガティブな意見も出したものの、MINIQLOで一番好きな楽曲がこれだったりします。笑
 「クリスタル・ゲージ」は、アコギやファルセットを多用した浮遊感のある歌に原曲の透明感を残しつつ、遊び心のあるダンサブルなアレンジに仕上がっています。ボーカルを加工してみたり、意外とベースが硬質でゴリゴリしていたり。リズム隊がダンサブルでノリノリなので楽しいですね。

 MINIQLOは全般的に価格が高騰しています。あくまでコレクターズアイテムであり、正直プレミア価格を出して買うほどのものではないです…。そんな前提ですが、MINIQLOの中ではこれが一番バランス良くて好みです。

Paralyzed Frequency
MINIQLO
 
above all else!!

2010年 2ndミニアルバム ※MINIQLO名義

 MINIQLOのアルバム第2弾で、「GARNET CROW livescope 2010+ 〜welcome to the parallel universe !〜」のライブグッズとしてリリースされました。この10周年のメモリアルイヤーはライブツアーや単発ライブも最も多い年で、企画盤メインですが作品リリースも連続し、(シングルがほぼ無かった代わりに)MINIQLOが2作品リリースと精力的に活動していました。
 MINIQLOの作品はいずれも、『first kaleidscope 〜君の家に着くまでずっと走ってゆく〜』と同じインディーズレーベルTENT HOUSEよりリリースされています。また遊び心に溢れる型番が設定されており、前作はMINIQLO-3296(みにくろ)、本作はMINIQLO-4649(よろしく)、次作はMINIQLO-5963(ごくろうさん)、最終作はMINIQLO-999(サンキュー)となっています。ミニアルバム扱いですがボリューム的には3曲しかない実質シングルで、それでいて1500円と割高。笑 限定グッズなので更に高騰してプレミア価格になっています…。

 「まぼろし」岡本仁志の弾くギターがスパニッシュというか、どこか色気を感じさせます。硬質なベースや力強いパーカッションなど、アコースティックな雰囲気を保ちつつも情熱的な(?)仕上がりです。「まぼろし」というタイトルとはやや遠い印象。
 「スカイ・ブルー」は中村由利のコーラスワークがとても爽快で、歌唱法も変わってきた2010年というタイミングで、初期の透明感を再現しているのは流石です。爽やかな歌メロを心地良いアコースティックサウンドで引き立てます。ノイジーかつ爽やかな原曲が大好きなせいで長らく物足りなさを感じていましたが、肩の力の抜けた本アレンジにも最近その良さを見出して時折聴いています。
 そしてラストは「Cried a little」。原曲はどうしようもなく暗鬱で救いのない暗さがありましたが、アコギやパーカッションの柔らかく温かいサウンドは悲しみを和らげます。場違いとまでは言いませんが、楽曲テーマとサウンドの乖離が少し気になるところです。

 「まぼろし」や「Cried a little」は原曲とは大きくイメージを変えていますが、原曲には届いていません。僅か3曲入りなので1曲の当たり外れが評価に直結しますが、これは個人的にはイマイチでした。

above all else!!
MINIQLO
 
Green Flash

2011年 3rdミニアルバム ※MINIQLO名義

 MINIQLO第3弾となる本作は「GARNET CROW Special Countdown Live 2011-2012」で発売されました。私は大阪へ遠征して同ライブに参戦し、本作を購入しました。
 カウントダウンライブは2009年末から3年連続でイベント化していましたが、翌年は解散目前だったからか行われず、本作が発売された2011年末が最後のカウントダウンライブでした。年越しライブなので開始が遅く日中は京都を観光したりして過ごしましたが、貴船神社を観光中に雪に降られたのが思い出深いです。幸い会場は雪に降られず済みました。

 1曲目の「英雄」はイントロから湿っぽい空気が漂います。原曲ほど分厚くダークではなく、MINIQLOというこじんまりとした編成なりに適度な隙間や柔らかさはありますが、じっくり聴き入ってしまう気迫や緊張感があります。そして原曲よろしく中村由利と岡本仁志のデュエットは感傷的で美しい歌を紡ぎます。正直原曲がかなり重厚なので、若干重さは和らげつつも引き締まったMINIQLOアレンジの方が上回るのではないでしょうか。とても出来の良いアレンジだと思います。
 「短い夏」はパワフルなドラムで幕開け。レゲエのリズムを取り入れていてノリが良く、そして力強いベースも楽しいです。演奏だけで暑苦しい「夏」を感じさせますが、中村の冷めた歌によって少しクールダウンしてうまくバランスを取っている印象。これが良アレンジで、原曲よりもこっちのほうが断然好きです。原曲がイーグルスなら、こちらはボブ・マーリーリスペクトでしょうか。笑
 そして「八月の夜」はアコギとピアノによる演奏が、澄んだ夜空を眺めるかのような透明感を生んでいます。クリアーで余計な雑音が無い演奏のおかげで、諦めのようなアンニュイな中村の歌声が引き立っています。原曲が地味なこともありますが、このアレンジによって魅力に気付かされました。

 選曲がマイナーですが、いずれも原曲に匹敵あるいは上回る素晴らしいアレンジです。埋もれがちな楽曲にスポットを当てて輝かせるという、理想的なセルフカバー作品に仕上がりました。

Green Flash
MINIQLO
 
Viento blanco

2013年 4thミニアルバム ※MINIQLO名義

 GARNET CROWの解散宣言がなされた「GARNET CROW livescope 2013 〜Terminus〜」のライブツアーでMINIQLO最終作も販売されました。本作のラスト曲は「蛍の光」で、GARNET CROWは『Terminus』(終着駅)に着いたのでMINIQLOも店じまいですよ、という意図だったのでしょう。ですがそんな考察の余地を与えないようにか『Terminus』発売からライブツアーは間髪入れずでした。『Terminus』すら聴き込む間もない中で、本作の曲目から解散宣言を予見した人は当時どれくらいいたのでしょうか?私は現地会場で本作を購入し、まさにその日に唐突な解散宣言に泣き崩れた組です。笑
 中村由利と岡本仁志の2人編成のMINIQLO。当初アコースティックに始まりましたが、エレキギターを使わない以外はアレンジの幅も広がりました。

 幻覚的に響く中村由利のコーラスワークで始まる「Float World」で幕開け。原曲は浮遊感たっぷりなのにバックの演奏が意外と泥臭い(ファンクっぽい)のが特徴的でしたが、こちらはグルーヴ感を残しつつも泥臭さは無くなりました。歌とコーラスによる浮遊感は原曲譲りで、心地良さを与えてくれます。アコギの響きも優しいですね。
 続いて「Marionette Fantasia」はストリングスが哀愁の雰囲気を醸します。美しさの中に毒気を持つ原曲のイメージを崩さずに、岡本なりのアプローチでアレンジします。ストリングスがやや過剰な気がしますが、アコギのメロディアスな音色は光ります。
 「over blow」は音数少なくアコースティックな雰囲気で始まります。1番はアコギと中村の歌声が際立ち、切なくも温かさを感じます。2番でリズム隊が加わって盛り上がる展開が、ベタですが魅力的。中々の良アレンジです。
 そしてMINIQLOの締めは「Auld Lang Syne」、邦題「蛍の光」。落ち着いたサウンドに、中村の囁くようなウィスパーボイスが優しくも切ない雰囲気。リズム隊やストリングスが加わって楽曲が盛り上がってくると、包み込むような温かさや優しさが溢れてきますが、楽曲が終わってしまうと寂寥感が残ります。

 比較的人気の高いカップリング曲/アルバム曲からの選曲で、「蛍の光」が入ったことでMINIQLO唯一の4曲入りです。
 ここまでMINIQLOの1stから4thまで足しても13曲なので、変なベスト盤を出すくらいならMINIQLO作品1枚に纏めてアルバム化または再販でもしてくれれば、新規ファンでも聴けるのに…なんて思ったりします。

Viento blanco
MINIQLO
 
 

関連アーティスト

 岡本仁志のソロ活動。

 
 古井弘人が、数多くの楽曲で編曲を手掛けています。
 
 古井弘人と岡本仁志が、船上ライブに参加。
 
 
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