🇬🇧 Gary Moore (ゲイリー・ムーア)

レビュー作品数: 1
  

スタジオ盤

Wild Frontier (ワイルド・フロンティア)

1987年 6thアルバム

 英国の北アイルランド出身のミュージシャン、ロバート・ウィリアム・ゲイリー・ムーア。1952年4月4日生まれ、2011年2月6日没(享年58歳)。シン・リジィへ参加したほか、いくつかのバンドを結成して活動、1978年にはソロ作品をリリースします。
 さて本作は、旧友であるフィル・ライノット(シン・リジィ)の死を受け、アイルランド伝統音楽へのオマージュとして作られました。ゲイリーと、ジェイムス・バートン、ピート・スミス、ピーター・コリンズの共同プロデュース。またUFOのニール・カーター(Key)、レインボーオジー・オズボーンソロに参加したボブ・デイズリー(B)、リフレックスのローランド・ケリッジ(Dr)がバックの演奏を務めます。

 「Over the Hills And Far Away」はゲイリーの代表曲の一つです。ギラついたサウンドはまさに1980年代ヘヴィメタルですが、ゴージャスな装飾を度外視すると牧歌的でメロディアスな歌メロや時折聞ける民族音楽的なフレーズなど、アイルランド/ケルト音楽の影響が垣間見えます。でもハードロッキンなギターソロとかカッコ良いんですよね。続いて表題曲「Wild Frontier」。イントロから哀愁漂うギターが魅力的でノックアウト。歌メロも渋くて良い感じ。豪華な演奏も悪くはないのですが、もう少し素朴なアレンジでも良さそうです。「Take A Little Time」はローランドの軽快でパンチの効いたリズムビートが爽快。勢いのある演奏に乗せてパワフルに歌いますが、メロディにはどこか哀愁が漂います。シンセの音色が時代を感じさせますね。「The Loner」コージー・パウエルのカバー曲でインストゥルメンタル。重厚なシンセをバックに、ゲイリーのギターソロを堪能。そこからブルージーで強い哀愁が漂う楽曲へと変わります。泣きのギターがとても渋いです。
 アルバムは後半に突入。「Friday On My Mind」はイージービーツのカバー曲。オリジナルは1966年のリリースなのですが、ハードロックに調理されたこの楽曲は他の楽曲とも見事に馴染んでいます。ですが1980年代特有のサウンドプロダクション(華やかなシンセにメリハリのあるリズムビートなど)のせいで、それはそれで古さを感じますが。笑 爽やかでキャッチーな良曲です。哀愁漂う「Strangers In The Darkness」を挟んで、「Thunder Rising」は爽快な疾走曲。キレッキレの演奏がカッコ良い。全体的にゴージャスな仕上がりですが、メロディにはケルトっぽさが滲み出ています。そしてラストは「Johnny Boy」。牧歌的で、そして深みのある落ち着いたサウンド。伸びやかに歌うゲイリーの歌は民謡のような懐かしさがあります。

 ゴージャスなサウンドは時代を感じますが、アイルランド由来の哀愁のメロディは中々魅力的です。

Wild Frontier
Gary Moore
 
 

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