🇬🇧 UFO (ユー・エフ・オー)

レビュー作品数: 6
  

スタジオ盤

Phenomenon (現象)

1974年 3rdアルバム

 デザイナー集団ヒプノシスの作のジャケットアートにはUFOが浮いておりますが、このバンドは「ユーフォー」ではなく「ユー・エフ・オー」と読みます。ライブでもこの名乗り口上を聞くことができます。英国ロンドンで1968年に結成されたロックバンドで、本作は「Doctor Doctor」と「Rock Bottom」という2つの名曲を収録した出世作として知られます。
 前ギタリストのミック・ボルトンがドイツ公演中に失踪し、ドイツのハードロックバンドスコーピオンズより、弱冠18歳の若き天才マイケル・シェンカー(Gt)が急遽代役を務めることに。その後正式にUFOのメンバーに迎え入れられることになりました。ラインナップはマイケル・シェンカーのほか、フィル・モグ(Vo)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Dr)。ドイツ人なので英語がほとんど話せなかったというマイケル。そんな孤独ゆえか、またはギターに向き合うほかなかったからか、彼の泣きのギターはメロディアスなフレーズを多く生み出しています。

 アルバムのオープニングを飾る「Too Young To Know」。牧歌的なロック曲で、のびのびとした雰囲気。ピートのベースが心地良いです。続く「Crystal Light」はアコースティックなアルペジオで始まります。フォーキーな雰囲気で、フィルの哀愁漂う歌をしんみりと聴かせます。そして名曲「Doctor Doctor」。後にアイアン・メイデンもカバーした楽曲です。イントロからマイケルの泣きのギターが哀愁たっぷり。ダイナミズムに溢れるリズム隊が登場してノリの良いヘヴィロックを展開し、「Doctor doctor, please」と歌うフィルのキャッチーな歌メロも爽快ですね。とてもカッコ良いです。「Space Child」はスローテンポで、寂寥感のある歌でしんみり。そして楽曲の半分近くを占めるマイケルの長尺ソロが特徴で、メロディアスな泣きのギターを聴かせます。続いて「Rock Bottom」は躍動感のあるUFO屈指の名曲で、印象的なリフを刻み続けるギターとベースとの掛け合いもカッコ良くてスリリング。フィルが「Rock bottom, rock bottom, rock bottom」と叫ぶ瞬間の、全ての楽器の一体感がとても気持ち良いです。更に間奏でのマイケルの長尺ギターソロは鳥肌もので、「神」とも称されるその超絶プレイは、狂気的で尋常ではないテンション。そんなギターばかりに注目しがちですが、土台を支えるピートのベースも何気にめちゃめちゃカッコ良いんです。緊張感に満ちた素晴らしい楽曲です。
 レコードでいうB面は「Oh My」で幕開け。カラッとした雰囲気で、ヘヴィなリフで切り込んできます。歌が終わると待ってましたとばかりに、マイケルのギターソロがすかさず割り込んできます。笑 続く「Time On My Hands」はアコースティックな優しい楽曲です。フィルは一本調子な歌い方ですが、そのメロディには哀愁が漂います。ノスタルジーを感じるギターソロも良い。そして「Built For Comfort」はスローテンポで気だるくブルージーなハードロック。ウィリー・ディクソンのカバー曲で、毛色が少し異なります。「Lipstick Traces」はまったりとしたインストゥルメンタル。ビーチでくつろぐかのようなリラックスしたムードです。最後の「Queen Of The Deep」は落ち着いた序盤で哀愁の歌メロを聴かせますが、そこから骨太なギターリフを響かせます。歌が渋くてその魅力に浸っていると、間奏ではマイケルによる長尺ギターソロのターン。ラストはヘヴィな演奏で引き締めます。

 「Doctor Doctor」と「Rock Bottom」の2曲があまりに突出しています。この2つの名曲はライブで更に化けるので、ライブ盤を聴く方が良いかもしれません。意外とフォークっぽい楽曲もあったりして、まだハードロック一辺倒ではないんですね。

Phenomenon (2007 Remastered)
UFO
 
Force It (フォース・イット)

1975年 4thアルバム

 前作のあとバンドはセカンドギタリストとしてポール・チャップマン(Gt)を迎え入れますが、マイケル・シェンカーと折が合わず間もなく脱退。4名体制のまま、ゲストとしてチック・チャーチル(Key)を迎えてレコーディングされました。前作に引き続きレオ・ライオンズのプロデュースで、ハードロック路線に完全に舵を切り、ハードで纏まりよく仕上がっています。男装した女性と女装した男性が風呂場で抱き合う、このショッキングなジャケットはヒプノシスの作。

 アルバムのオープニングを飾るのは「Let It Roll」。グルーヴ感抜群のヘヴィなロックンロールです。私は『UFOライヴ』の方を先に聴いていたのですが、出来の良いライブ盤と比べるとフィル・モグのシャウト気味のボーカルがなんかハズしていてちょっと残念な気分に。笑 でも動と静の緩急ついた演奏については聴きごたえがあり、静にあたるパートではマイケルが哀愁たっぷりの泣きのギターを披露します。「Shoot Shoot」は爽快でハードなロックンロールで、ピート・ウェイのぐんぐん進むかのようなベースとアンディ・パーカーのドラムが躍動感を生み出します。キャッチーな歌メロに、ダーティでハードなギターリフも耳に残りますね。ノリが良くて楽しいです。アコギで始まる「High Flyer」は優しくメロディアスなバラード。メロディの美しい歌に浸っていると、それ以上に目立つのが哀愁のギターソロ。笑 更にシンセがギターソロを引き立てて、歌よりギターソロの方が主役になってしまっています。でもいい楽曲ですよ。「Love Lost Love」は歪んだ重低音がヘヴィな音を鳴らしますが、軽快な曲調で明るいです。ギターソロも楽しげですね。続いて「Out In The Street」はピアノも入ったイントロで静かに始まりますが、時折パワフルなバンド演奏が顔を出し、そしてノリの良い演奏を繰り広げます。高揚感を煽る佳曲です。
 アルバム後半は「Mother Mary」で幕開け。スローテンポに加えてヘヴィなギターリフで鈍重な印象ですが、間奏のギターソロは軽やかで存在感がありハッとさせられます。「Too Much Of Nothing」もヘヴィなハードロック曲。アンディの力強いドラムが印象的です。サビメロではピートのベースが動き回って心地良いグルーヴを生んでいます。「Dance Your Life Away」はリズム隊2人が大活躍する、ダンサブルでノリの良い楽曲です。間奏では相変わらずギターソロを見せつけますが、ベースとドラムが勝るくらい楽しげで存在感があります。ラスト曲「This Kid’s / Between The Walls」はトリッキーなリズムが特徴的。ヘヴィな演奏の中、軽やかなピアノが良いアクセントになっています。中盤以降はずっと演奏が続きますが、テンポを落として渋さを出してきます。ジャムっぽい演奏を繰り広げたかと思うと、オルガンソロからの哀愁のギターソロ。演歌のように泣きのメロディでしんみりとさせます。

 突出した名曲はないものの、ライブでも演奏される佳曲が揃っており、バランスの取れた好盤です。

Force It (2007 Remastered)
UFO
 
No Heavy Petting (ノー・ヘヴィ・ペッティング)

1976年 5thアルバム

 ダニー・ペイロネル(Key)が加入し、全編通してキーボーディストをフィーチャーした初めての作品となりました。UFOにキーボードの必要性を示した作品でアレンジの幅も広がりましたが、ダニーはマイケル・シェンカーと仲が悪く、アルバム制作後にダニーは解雇となりました。本作までレオ・ライオンズのプロデュース。

 アルバムは「Natural Thing」で幕開け。イントロからマイケルのヘヴィなギターがザクザクと切り込み、アンディ・パーカーの躍動感あるドラムが爽快感を生み出します。ノリの良いハードなロックンロールなのでフィル・モグの歌がよく合いますね。続く「I’m A Loser」はアコギで始まり穏やかな印象でスタートを切ります。タイトルの割には明るく、諦めのような清々しさがありますね。サビメロ以降どんどんバンド演奏は力強くなっていきますが、躍動感があって爽やかな印象が増します。「Can You Roll Her」は疾走ロックンロール。ダニーの鍵盤が目立ちますが、アンディのパワフルなドラムも中々良い。勢いがありますが、歌メロは若干陰りを感じます。そして「Belladonna」は哀愁たっぷりのバラードです。アコギやキーボードの演出が感傷的な気分を誘い、フィルの歌も渋くて哀愁が漂います。「Reasons Love」はハードな楽曲で、独特のリフや野性味のあるドラムが特徴的。ですがキャッチーさに欠けて印象に残りづらいかも…。中盤にはマイケルが荒っぽい速弾きギターソロを披露します。
 アルバム後半は「Highway Lady」で開幕。キレッキレのギターに爽やかなピアノが絡む、ドライブ感のある爽快なロックンロールです。新加入のダニー作の楽曲で、カラッとしていて勢いがありますね。続く「On With The Action」は後半のハイライト。渋く哀愁が漂う楽曲で、ヘヴィなリフを中心にねちっこくてどんよりと重たい空気を醸します。歌は地味ですが、バックを飾る演奏が魅力的。また、間奏ではマイケルのギターソロで泣きのメロディに浸ることができます。「A Fool In Love」はカラッとしたロックンロール。明るい曲調ですが、メロディが弱くて地味な印象は否めません。そして最後は「Martian Landscape」。静かでメロウな曲調にピート・ウェイのベースが映えますね。渋くて哀愁漂うフィルの歌や、サビメロを盛り上げる演奏は染み入ります。

 パッとする楽曲に欠けて地味な印象は否めません。加えて『フォース・イット』と『新たなる殺意』という名盤に挟まれるポジションもあり、埋もれがちな作品です。

No Heavy Petting (2007 Remastered)
UFO
 
Lights Out (新たなる殺意)

1977年 6thアルバム

 本作と『宇宙征服』、『UFOライヴ』はロン・ネヴィソンのプロデュースで、ライブ感のあるサウンドプロダクションはかなり聴きやすく、エッジの効いたサウンドが気持ち良いです。またセカンドギタリスト兼キーボーディストとしてポール・レイモンド(Gt/Key)も加わり、フィル・モグ(Vo)、マイケル・シェンカー(Gt)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Dr)の5人体制で、次作まで続きます。

 アップテンポの「Too Hot To Handle」で幕開けです。エッジが効いて弾けるイントロ。ザクザクとした鋭利なギターに時折跳ねるようなベース、躍動感あるドラムとノリの良い爽快なロック曲です。フィルの歌うキャッチーなメロディも耳に残りますね。ラストはマイケルが悠々とソロを弾き倒します。続いてアップテンポの「Just Another Suicide」。リズム隊は力強いですが、ピアノやストリングスのおかげでポップに仕上がっており聴きやすい楽曲です。ストリングスもアクセントとして丁度よい味付けで、爽快感を生むのに一役買っています。また悠々と舞うようなギターソロも良いですね。「Try Me」では一転して哀愁のバラード。メロディアスな歌メロを彩るのはポールによるピアノと、アラン・マクミランによるストリングスで、豪華でとても美しいです。そして後半はマイケルのギターが憂いを帯びたメロディアスなフレーズを奏で、そしてむせび泣いています。感傷的でため息が出る美しさです。そして表題曲「Lights Out」は本作のハイライト。緊迫感のあるこのメタリックな楽曲はとてもカッコ良く、UFO5本の指に入る名曲です。レッド・ツェッペリンの「Achilles Last Stand」を彷彿とさせるナンバーで、タイトなドラム、ゴリゴリベースとリズムギターが爆走する中、オルガンも唸ります。焦燥感を煽るスリリングな演奏を繰り広げる中、歌メロは口ずさみたくなるようなキャッチーさを持っています。また、マイケルのギターソロも聴きどころで、アツい演奏はカッコ良くてたまりません。
 後半も佳曲が続きます。「Gettin’ Ready」はイントロが音割れしててパワフルな一面を感じさせつつ、でも全体的にはヘヴィではなくカラッとしてポップな楽曲です。間奏のギターソロパートは急にテンポダウンして、スローでじっくり聴かせます。「Alone Again Or」はラヴというサイケフォークグループのカバー曲。心地良いアコギを鳴らしながら、ストリングスやホーンが華やかに盛り上げます。続く「Electric Phase」はヘヴィなギターが重低音を鳴らしてアルバムの空気を引き締めます。でも良曲揃いの本作の中では地味な楽曲です。そしてラスト曲の「Love To Love」がずば抜けていて、これが表題曲に匹敵する名曲なのです。哀愁漂うバラードですが、イントロのエレピソロからただならぬ緊張が漂います。そしてヘヴィな演奏が高揚感を掻き立てます。ストリングスが哀愁の歌メロを引き立て、ドラマチックな楽曲展開も魅力的ですが、本楽曲の最大の聴きどころはラストを飾るギターソロで、このギターソロのあまりの凄まじさは鳥肌ものです。まるで鬼神が舞い降りたかのごとく、異様な緊張感を放つ超絶ギター。スタジオ録音ですら凄まじいというのにライブで更に化けるんだから驚きです。この楽曲でのギターがマイケル・シェンカーのベストプレイだと思っています。

 恐ろしいほど張り詰めた「Lights Out」と「Love To Love」が特にスリリングで素晴らしいのですが、その2曲に偏ることなく名曲が多い本作は完成度の高い作品です。名演『UFOライヴ』を聴いた後でも不満なく聴けるスタジオ盤というのもポイントが高いですね。有名曲も多く、UFOのスタジオ盤では間違いなく最高傑作でしょう。

Lights Out (2008 Remastered)
UFO
 
Obsession (宇宙征服)

1978年 7thアルバム

 マイケル・シェンカーが参加した最後の作品です。メンバーとのコミュニケーションやアルコール依存の問題を抱えていたマイケルは、本作のツアーのあと脱退し、スコーピオンズに一時期復帰、後にマイケル・シェンカー・グループを結成することになります。
 宇宙人に拉致されたマイケルというヒプノシスのジャケットは、マイケルの脱退を示唆していたのでしょうか?やる気のない顔を見せているジャケットのように、彼の作曲への貢献は少なく、また超絶なギタープレイに注目させるような楽曲もあまり無いです。マイケルのギターの弱さを補うかのようにストリングスの割合が多く、また米国マーケットを意識してか明るい楽曲も増えたような感じです。

 アップテンポの「Only You Can Rock Me」で幕開け。明るく爽やかで、フィル・モグの歌メロもキャッチーで耳に残ります。途中ポール・レイモンドによるオルガンソロからマイケルのギターソロに繋ぎますが、メロディアスで中々良いです。「Pack It Up (And Go)」はアンディ・パーカーのパワフルなドラムが強烈。アリーナロック風の楽曲で、力強いドラムに乗せてフィルの歌とマイケルのギターが掛け合いをしていきます。ピート・ウェイのベースもグルーヴ感があって楽しげな楽曲を演出してくれます。「Arbory Hill」は1分強の短いインストゥルメンタル。上手いのか下手なのかよくわからないリコーダーが、全編に渡ってノスタルジーを生んでいます。続く「Ain’t No Baby」は鈍重なスローテンポの楽曲で、ズシンズシンと響くアンディの力強いドラムが目立っています。全体的にずっしりと重たいのですが、マイケルのギターは甲高い音を立てて対照的ですね。そして「Lookin’ Out For No.1」はスケール感のある名バラードです。ストリングスで彩られたメロディアスな楽曲で、バンド演奏よりもストリングスが目立ちますが、これが実に美しい。そして歌メロも哀愁たっぷりで涙を誘います。魅力的なバラードです。
 アルバム後半はアップテンポ曲「Hot ‘N’ Ready」で始まります。悠々としたギターソロで幕を開けると、ヘヴィなリフを刻みながらノリの良いロックンロールを展開します。結構聴きやすい楽曲ですね。続く「Cherry」は静と動がハッキリとした1曲で、ピートのベースが楽曲の軸を作り、動の部分は弾けるようなキャッチーさがあります。でも正直、ライブの方がスリリングで好みです。続く「You Don’t Fool Me」はパワフルなドラムが目立つアリーナロック的な楽曲です。ノリを重視しており、メロディは弱めです。そして名バラードのリプライズ「Lookin’ Out For No.1 (Reprise)」。1分強の短いインストゥルメンタルで、マイケルのギターとストリングスが中心となって魅力的なメロディを聴かせます。「One More For The Rodeo」は少し陰のある雰囲気です。フィルが歌っていても気にせずにマイケルがギターを引き倒しています。そしてラスト曲の「Born To Lose」は哀愁たっぷりのバラードです。暗く哀愁漂う歌メロを、美しいストリングスが引き立てます。そして間奏ではマイケルのギターソロが泣きのメロディを奏でつつ、同時に緊張感も放ちます。

 楽曲単体のパンチ力は前作より弱く、飛び抜けた名曲は「Lookin’ Out For No.1」くらいでしょうか。ただし全編を通してパワフルなドラムがメリハリをつけてくれるので、ノリが良く聴きやすい仕上がりです。

Obsession (2008 Remastered)
UFO
 
 

ライブ盤

Strangers In The Night (UFOライヴ)

1979年

 ハードロックバンドのライブ盤は数多くありますが、その中でも1、2を争う、非常に完成度の高いライブ盤が本作です。アドリブが少なくて基本的にはスタジオ盤に忠実な演奏ながら、スタジオ盤を遥かに上回る迫力、そして音質と選曲の良さ。どこを取ってもハイクオリティで、UFOを知らない人でも本作はオススメできます。というよりこれ1枚あればスタジオ盤は要りません。笑
 アルコール依存の問題や失踪騒ぎを繰り返していたマイケル・シェンカー(Gt)ですが、そんな不安定な状態を感じさせない名演を収録。また、フィル・モグ(Vo)の長時間歌ってもブレることのない、とても安定した歌唱も本作を魅力的なものにしています。そしてこの2人を支えるポール・レイモンド(Key/Gt)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Dr)の迫力ある演奏で楽しませてくれます。
 レコードからCD化にあたって楽曲の追加と曲順の大幅変更がありました。2020年リマスターで再びレコードと同じ曲順に戻りましたが、私の手持ちは2008年リマスターCDなので、こちらをレビューします。
 
 
 フィルがバンド名を名乗って「Hot ‘N’ Ready」でオープニング。軽快なロックンロールで、骨太なベースやパワフルなドラムなどリズム隊が力強く爽快なノリを生み出しています。そして鋭利なギターもカッコ良い。続く「Cherry」はピートのベースで開幕。静と動がハッキリとしており、静かなパートからダイナミックでノリの良いロックンロールへと変わる、メリハリのある展開が魅力的です。「Let It Roll」はアンディのダイナミックなドラムが迫力満点です。勢い溢れる楽曲ですが、中盤スローダウンしてメロウなギターを聴かせるマイケルのプレイも聴きどころですね。そしてライブ序盤のハイライトとなる「Love To Love」。これまでのアップテンポから一転してバラード曲となります。イントロのポールの鍵盤ソロから緊張感が漂い、憂いに満ちた演奏に乗るフィルの歌は哀愁たっぷりです。美しく哀愁に満ちた歌メロパートと、ヘヴィで緊張溢れる間奏を繰り返しながら、ラストはマイケルによる鬼神のようなギタープレイで圧倒します。これが恐ろしいほどスリリングで、瞬間的な緊張感は本作中最大。鳥肌ものの素晴らしい名演です。
 続いて、レコード時代は1曲目に配置されていた「Natural Things」。ソリッドなギターリフを刻む、カラッとしたアップテンポ曲です。ラストは悠々としたギターソロも聴けます。そのまま流れ込むように始まる「Out In The Street」は、フィルのメロディアスな歌と鍵盤の綺麗な音色、それとヘヴィなギターリフが掛け合いを繰り広げます。メリハリのある楽曲です。そしてロックンロールの名曲「Only You Can Rock Me」。イントロのギターリフとオルガンが爽やかで、高揚感を掻き立てます。バスドラムが響くパワフルなドラムも躍動感を生んでいますね。メロディもキャッチーで明るく、元気を貰えます。鈍重で力強い「Mother Mary」を挟み、やや複雑なギターリフが特徴的な「This Kid’s」へ。メロディが弱くて聞き流してしまいがちですが、後半リズムチェンジで緩急つけます。珍しくブルージーな雰囲気を醸し出しています。
 そしてここからラストに向けて名曲のオンパレードになります。「Doctor Doctor」はマイケルの泣きのギターが特徴の1曲ですが、スタジオ盤にはなかったポールのキーボードがこの泣きのギターを引き立てて、より哀愁漂うイントロに仕上げています。そして哀愁を帯びつつ躍動感ある演奏に切り替えて歌メロパートへ。フィルの歌もキャッチーで良いんですよね。魅力的な名曲です。続いて「I’m A Loser」。序盤は静かで、諦めのような清々しさを感じますが、サビメロはヘヴィに盛り上げます。終盤はマイケルのギターが凄まじく、またアンディのドタバタとしたヘヴィなドラムも魅力的です。そして緊迫感のある「Lights Out」はバンドの一体感を感じる楽曲で、この緊張感は凄まじい。暴力的でヒリヒリとした演奏でひたすら暴れ回り、フィルの歌も切迫した雰囲気です。そして「Lights out, lights out in London」という歌詞を、会場であるシカゴのファンに向けて「Lights out, lights out in Chicago」と歌った瞬間に会場が沸き立ちますが、ライブならではの臨場感を得られますね。そして緊張感を保ったまま名曲「Rock Bottom」。元々6分半の楽曲ですが、11分半と倍近くなっています。スタジオ盤より若干テンポは遅いですが、音の分厚さや緊張感はこちらが上回り、私は本バージョンの方が好みです。中盤はマイケルがギターソロを延々と繰り広げますが、安定感のあるキーボードやリズム隊が引き立てます。ギターソロのインスト曲かというくらい、ずっとひたすらギターソロですが、これがカッコ良くて飽きずにいつまででも聴けます。そして忘れた頃に、聴き慣れたフレーズとともに歌メロパートが戻ってきて盛り上がったまま終了。会場の盛り上がりを維持しながら、明るいロックンロール「Too Hot To Handle」へ。パワフルでメリハリのある演奏はノリが良く、加えてキャッチーな歌メロなので、思わず口ずさみたくなりますね。そして最後は「Shoot Shoot」です。テンポの速い演奏に加えてダーティなギターリフが特徴的。ダイナミックかつ躍動感溢れる爽快な楽曲でライブのラストを締め括ります。
 
 
 約80分の最高のライブ。UFOの楽曲を知らなくても、この作品に魅せられること間違いありません。ハードロックファン必聴の名ライブ盤です。

Strangers In The Night
Deluxe Edition 8CD (2020 Remastered)
UFO
Strangers In The Night
(2008 Remastered)
UFO
 
 

関連アーティスト

 マイケル・シェンカー(Gt)の古巣で、実兄のルドルフ・シェンカーが所属。

 
 脱退したマイケル・シェンカー(Gt)が立ち上げたソロプロジェクト。
 
 
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