🇬🇧 UFO

レビュー作品数: 4
  

スタジオ盤

Phenomenon (現象)

1974年 3rdアルバム

 デザイナー集団ヒプノシスの作のジャケットアートにはUFOが浮いておりますが、このバンドは「ユーフォー」ではなく「ユー・エフ・オー」と読みます。ライブでもこの名乗り口上を聞くことができます。英国ロンドンで結成されたロックバンドで、本作は三作目となります。
 前ギタリストのミック・ボルトンがドイツ公演中に失踪し、ドイツのハードロックバンド、スコーピオンズのマイケル・シェンカー(Gt)が急遽代役を務めることに。その後正式にUFOのメンバーに迎え入れられることになりました。ラインナップはマイケル・シェンカーのほか、フィル・モグ(Vo)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Gt)。

 ドイツ人なので英語がほとんど話せなかったというマイケル・シェンカー。そんな孤独ゆえか、またはギターに向き合うほかなかったからか、彼のギターは泣きまくっています。
 「Doctor Doctor」と「Rock Bottom」という二つの超名曲を収録している本作。「Doctor Doctor」は後にアイアン・メイデンもカバーした楽曲で、イントロから哀愁漂う泣きのギター。そして「Doctor doctor, please」というキャッチーな歌メロ。
 そして「Rock Bottom」は躍動感のある楽曲で、印象的なリフを刻み続けるギターとベースとの掛け合いもカッコいいし、「Rock bottom, rock bottom, rock bottom」という瞬間の、全ての楽器の一体感がとても気持ち良い。更に間奏のマイケル・シェンカーの長尺ギターソロは鳥肌もので、「神」とも称されるその超絶プレイは、狂気的で尋常じゃないテンション。そんなギターばかりに目が行きがちですが、土台を支えるピート・ウェイのベースも何気にめちゃめちゃカッコいいんです。
 次点ではギターリフが印象的な「Queen Of The Deep」あたりが耳に残るのですが、それでも前述の2曲と比べて大差をつけられている印象です。

 「Doctor Doctor」と「Rock Bottom」の2曲があまりに際立っており、他の楽曲は今一歩といった感じでアルバムとしては及第点。更にこの2つの名曲はライブで更に化けるので、ライブ盤を聴く方が良いかもしれません。

Phenomenon (2007 Remastered)
UFO
 

Lights Out (新たなる殺意)

1977年 6thアルバム

 本作と『宇宙征服』、『UFOライヴ』はロン・ネヴィソンのプロデュースで、ライブ感のあるサウンドプロダクションはかなり聴きやすくエッジの効いたサウンドが気持ち良いです。また、ポール・レイモンド(Gt/Key)も加わりました。有名曲も多く、傑作と名高い3rd『現象』よりもよっぽど名盤だと思います。

 アップテンポの「Too Hot To Handle」でノリの良い爽快な幕開けです。続くアップテンポの「Just Another Suicide」はハードロック曲ですが、ピアノやストリングスのおかげで聴きやすい楽曲です。「Try Me」では一転してバラード。前半は美しいピアノが主導し、後半はマイケル・シェンカーの泣きのギター。更にストリングスも加わって豪華です。そして前半のハイライト「Lights Out」。緊迫感のあるこのメタリックな楽曲がとてもカッコよくて、UFO5本の指に入る名曲です。レッド・ツェッペリンの「Achilles Last Stand」を彷彿とさせるナンバーで、タイトなドラム、ベースとリズムギター。ギターソロでのマイケルのプレイも聴きどころです。
 後半も佳曲が続きますが、ラスト曲の「Love To Love」がずば抜けていて、これが表題曲に匹敵する名曲。哀愁漂うバラードで、途中までの展開も普通にカッコいいのですが、ラストを飾るギターソロのあまりの凄まじさは鳥肌もの。まるで鬼神が舞い降りたかのごとく、異常な緊張感を放つ超絶なギター。この段階ですら凄まじいというのにライブで更に化けるんだから驚きです。この楽曲でのギターソロがマイケル・シェンカーのベストプレイだと思っています。

 「Lights Out」と「Love To Love」が特に素晴らしいのですが、その2曲に偏ることなく名曲が多い本作は完成度の高い作品です。スタジオ盤としては最高傑作だと思います。

Lights Out (2008 Remastered)
UFO
 

Obsession (宇宙征服)

1978年 7thアルバム

 マイケル・シェンカーが参加した最後の作品です。メンバーとのコミュニケーションやアルコール依存の問題を抱えていたマイケルは、本作のツアーのあと脱退し、スコーピオンズに一時期復帰、後にマイケル・シェンカー・グループを結成することになります。
 宇宙人に拉致されたマイケルというヒプノシスのジャケットは、マイケルの脱退を示唆していたのでしょうか?やる気のない顔を見せているジャケットのように、彼の作曲への貢献は少なく、また超絶なギタープレイに注目させるような楽曲もあまりありません。マイケルのギターの弱さを補うかのようにストリングスの割合が多く、また米国マーケットを意識してか明るい楽曲も増えたような感じです。

 アップテンポの「Only You Can Rock Me」で幕開け。明るくてノリの良い楽曲です。パンチ力の弱い本作のなかでは一番目立っているのではないでしょうか。ほかにアップテンポ楽曲では「Hot ‘N’ Ready」も聴きやすくて良いです。また、ストリングスで彩られた「Lookin’ Out For No.1」というバラードの哀愁がなかなかに好みで、この楽曲は「Lookin’ Out For No.1 (Reprise)」としてインストゥルメンタルとなって終盤にも登場します。ラスト曲の「Born To Lose」ではストリングスが主導しますが、間奏ではマイケルの超絶ギターソロが復活です。

 楽曲単体のパンチ力は前作より弱く、飛び抜けた名曲はありません。ただしアルバムとしてはバランスが良く、聴きやすい仕上がりです。

Obsession (2008 Remastered)
UFO
 
 

ライブ盤

Strangers In The Night (UFOライヴ)

1979å¹´

 ハードロックバンドのライブ盤は数多くありますが、その中でも1、2を争う、非常に完成度の高いライブ盤が本作です。アドリブが少なくて基本的にはスタジオ盤に忠実な演奏ながら、スタジオ盤を遥かに上回る迫力、そして音質と選曲の良さ。どこを取ってもハイクオリティで、UFOを知らない人でも本作はオススメできます。というよりこれ1枚あればスタジオ盤は要りません。笑

 アルコール依存の問題や失踪騒ぎを繰り返していたマイケル・シェンカー(Gt)ですが、そんな不安定な状態を感じさせない名演を収録。また、フィル・モグ(Vo)の長時間歌ってもブレることのない、とても安定した歌唱も本作を魅力的なものにしています。そしてこの2人を支えるポール・レイモンド(Key/Gt)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Dr)の迫力ある演奏で楽しませてくれます。

 レコードからCD化にあたって楽曲の追加と曲順変更があったそうです。CD世代なのでCDをレビューします。
 オープニングから軽快なロックンロール「Hot ‘N’ Ready」で幕を開け、続く「Cherry」もノリの良いロックンロール曲です。ドラムが迫力ある「Let It Roll」は、間奏での泣きのギターも聴きどころ。そして序盤のハイライト「Love To Love」。これまでのアップテンポから一転してバラードで息抜きかと思いきや、そんなことはありません。この楽曲はラストのマイケルによる鬼神のようなギタープレイが鳥肌もので、瞬間的な緊張感は本作中最大です。
 ギターリフのカッコいいアップテンポ曲「Natural Things」、前曲から流れ込むように始まる「Out In The Street」は鍵盤の綺麗な音色とヘヴィなギターリフの掛け合いが楽しい。そして名ロックンロール曲「Only You Can Rock Me」で明るく爽やかにキメたあと「Mother Mary」と「This Kid’s」を挟んで、ここからラストに向けて名曲のオンパレードになります。
 「Doctor Doctor」はマイケルの泣きのギターが特徴の1曲ですが、スタジオ盤にはなかったポールのキーボードがこの泣きのギターを引き立てて、より哀愁漂う名曲に仕上げています。フィルの歌も良い。「I’m A Loser」も序盤は静かですが徐々に盛り上げていきます。やはりギターが凄まじいですが、ヘヴィなドラムも魅力的。そして緊迫感のある「Lights Out」はバンドの一体感を感じる楽曲で、この緊張感は凄まじいです。「Lights out, lights out in London」という歌詞を、会場であるシカゴのファンに向けて「Lights out, lights out in Chicago」と歌った瞬間の盛り上がりはライブならではですね。そして緊張感を保ったまま「Rock Bottom」。元々6分半の楽曲ですが、11分半と倍近くなっています。中盤のギターとキーボードのユニゾン、不意に始まる驚異的なギタープレイ。安定したベースとドラムがサポート。そして歌メロパートが戻ってきて盛り上がったまま終了。
 ボーナストラック扱いですが、前曲による会場の盛り上がりを維持しながら、軽快なロックンロール「Too Hot To Handle」と「Shoot Shoot」でラストを締めます。

 約80分の最高のライブ。UFOの楽曲を知らなくても、この作品に魅せられること間違いありません。

Strangers In The Night (2008 Remastered)
UFO
 
 

関連アーティスト

 マイケル・シェンカー(Gt)の古巣で、実兄のルドルフ・シェンカーが所属。

 
 脱退したマイケル・シェンカー(Gt)が立ち上げたソロプロジェクト。
 
 
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