🇮🇹 Måneskin (マネスキン)

レビュー作品数: 3
  

スタジオ盤

Chosen (チョーズン)

2017年 1st EP

 マネスキンは、イタリアのローマ出身のグラムロック/オルタナティヴロックバンドです。2015年に、高校生活で出会ったダミアーノ・ダヴィド(Vo)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(B)、トーマス・ラッジ(Gt)に加え、メンバー募集広告を見たエタン・トルキオ(Dr)が参加して活動開始。2016年に地元の音楽コンサートに参加するにあたりバンド名を決め、そこでマネスキンは正式に結成となりました。バンド名はデンマーク語で「月光」の意味だそうです。
 当初はストリートミュージシャンとして活動していましたが、2017年にイタリアのコンテスト番組『Xファクターイタリア』の第11シーズンで2位を獲得して知名度を上げ、ショーで披露した「Chosen」をシングルとしてリリース。そして翌月には本作EP『チョーズン』をリリースするに至ります。オリジナル曲2曲をセルフプロデュースし、カバー曲5曲は元PFMのルチオ・ファブリがプロデュースしています。中でもフォー・シーズンズの1967年の楽曲をカバーした「Beggin’」は、ユーロビジョンソングコンテスト2021での優勝後に欧州各国のシングルチャートで好成績を収めています。

 タイトル曲「Chosen」はヴィクトリアのヘヴィなベース音に乗せて、MC的なトークから歌を始めます。ダミアーノの粘っこいだみ声で早口な歌は、メロディアスながらラップのようでもあります。「Recovery」も自己紹介的なトークでスタート。ラテンのフレーバーたっぷりに哀愁を醸し出します。エタンの叩くリズミカルなドラムが気持ち良い。途中から早口を繰り広げたかと思えば、テンポアップして更に早くなります。
 ここまでオリジナル曲で、ここからはカバー曲が続きます。「Vengo Dalla Luna」はイタリア人ラッパー カパレッツァのカバー曲。イタリア語の早口ラップという新鮮な体験を、トーマスの優しいギターが心地良いバンドサウンドに乗せて届けます。そして「Beggin’」は前述のとおり、フォー・シーズンズのカバー。ブルージーで粘り気の強いアカペラで始まったかと思えば、ポストパンク・リバイバルを感じる切れ味鋭い軽快な演奏でメリハリをつけます。本作では突出した名曲ですね。「Let’s Get It Started」はブラック・アイド・ピーズのカバー。ラップで抑揚の少ない歌を、ビートの強いパワフルかつダンサブルな演奏で抑揚つけて楽しませてくれます。続いて「Somebody Told Me」はキラーズのカバー。エタンの力強いドラムが強烈なビートを刻むダンサブルな楽曲で、ギターをかき鳴らして軽快さを加えています。これも爽快でカッコ良いですね。最後の「You Need Me, I Don’t Need You」はエド・シーランの楽曲カバー。力強いですが軽快でリズミカルな演奏に乗せて、矢継ぎ早に繰り出す早口な歌で圧倒します。後半は感情たっぷりの力強い歌がカッコ良い。

 オリジナル曲よりもカバー曲の方が魅力がありますが、翌年の1stアルバムでは全曲オリジナルで魅力たっぷりの楽曲を揃えるくらいに成長しています。

Chosen
Måneskin
 
Il Ballo Della Vita (イル・バッロ・デッラ・ヴィータ)

2018年 1stアルバム

 イタリア語のシングル「Morirò Da Re」を皮切りに躍進する、マネスキンの1stアルバムが本作です。タイトルのイタリア語は「人生のダンス」という意味だそうです。マネスキンとファブリツィオ・フェラグッツォの共同プロデュース。

 オープニングを飾る「New Song」はエタン・トルキオの叩く力強いビートが終始ダンサブルに楽曲を支えてくれます。冒頭はダーティなリフが印象的で、歌が始まるとファンキーかつ軽快なギターが加わってリズミカルかつダンサブルになります。続く「Torna A Casa」は序盤、トーマス・ラッジの弾く柔らかく優しいアコギに加え、シンセも用いて感傷的な楽曲を展開します。ですが、ダミアーノ・ダヴィドの囁くようなイタリア語の歌は暑苦しい。笑 途中からドラマチックかつ力強く盛り上がっていき、パワーバラードへと変わっていきます。「L’altra Dimensione」もアコギで始まり、ダミアーノのイタリア語の歌だけでなく、奏でられるフレーズもラテンフレーバーが強いです。メランコリックで情熱的な感じ、でもアコースティックな落ち着きも兼ね備えた2分ほどの小曲です。「Sh*t Blvd」は冒頭シンプルな演奏でメロディアスな歌をフィーチャーしつつ、途中からファンキーでダンサブルな演奏に変えて楽曲を盛り上げます。そして「Fear For Nobody」はヴィクトリア・デ・アンジェリスの刻むグルーヴィなベースに、4つ打ちのビートが気持ち良いですね。ダンサブルな楽曲に加えて、歌詞を反復する歌も耳に残ります。中盤からホーンが彩りを与えて賑やかに。「Le Parole Lontane」はアコースティックでメランコリックな雰囲気。ダミアーノによるイタリア語の独特な歌い回しが印象的で、哀愁たっぷりの楽曲を届けます。後半のアツい歌唱が切ないですね。続く「Immortale」は、イタリア人ラッパーのヴェガス・ジョーンズをフィーチャー。特徴的なギターリフと骨太なドラムにハードロック感がありますが、歌が始まるとヴェガス・ジョーンズとダミアーノによるイタリア語の早口ラップが繰り広げられます。「Lasciami Stare」は、力強くグルーヴのあるリズム隊にファンキーな歌を乗せて、横ノリの気持ち良い楽曲を展開。「Are You Ready?」はラテンというか、インドっぽいエキゾチックな雰囲気を感じるダンス曲です。本作では珍しく打ち込みを用いて、独特の怪しげな歌唱がフィーチャーされていますね。ビート感が強いですが、ビートを弱めたらインドカレー屋で聴けそう。笑 続く「Close To The Top」は骨太で躍動感溢れる爽快なロック曲。ノリ良くキャッチーでカッコ良いです。アルバム後半を引き締める良曲です。「Niente Da Dire」はラップ曲。アコギによる柔らかい音色に、打ち込みが軽い音で楽曲を重たくせずにリズミカルに仕上げます。そして最後は「Morirò Da Re」。ファンキーでリズミカルな演奏に、ダミアーノのパワフルなだみ声がラテンなメロディで楽曲にメリハリをつけます。

 イタリア語の楽曲が多くラテンの独特な響きに加えて、パワフルでメリハリのあるリズム隊が合わさって、情熱的なミクスチャーロックを繰り広げます。英米のロックとは異なる、ラテンフレーバーの強い楽曲は新鮮ですね。

Il Ballo Della Vita
Måneskin
 
Teatro D'ira: Vol. I (テアトロ・ディーラ Vol.I)

2021年 2ndアルバム

 2019年は3枚のシングルをリリースし、同年後半から2020年の春にかけて一時的に英国ロンドンに移り住み、新曲に取り組みました。翌年にはサンレモ音楽祭2021で優勝。続くユーロビジョンソングコンテスト2021でも優勝し、その際ダミアーノ・ダヴィドがコメントで「ロックンロールは決して死なない!」と言い放ちました。
 全世界でチャート入りを果たした本作は、様々なロックを吸収して前作よりも格段に進化した印象を受けます。バンドとファブリツィオ・フェラグッツォの共同プロデュース。

 アルバムは「Zitti E Buoni」で幕開け。レッド・ツェッペリンのようなブルージーで骨太なハードロックサウンドに、ダンサブルな4つ打ちビート。そこにダミアーノのイタリア語による歌でラテン色たっぷりです。サビ部分は超パワフルに、そして独特の歌い回しでの早口ラップを混ぜたりと、メリハリがあってとてもカッコ良い。続く「Coraline」は哀愁たっぷりの楽曲です。ギターがシンプルながら切なさを誘い、6/8拍子で哀愁の歌を乗せます。中盤からは場面転換して、ブリットポップ的な壮大なバラードへと変貌。この楽曲構成がドラマチックで魅力的。そしてエタン・トルキオの力強いドラムが楽曲を支えます。「Lividi Sui Gomiti」はトーマス・ラッジのヘヴィなギターリフをはじめ、ハードロック的なパワフルな楽曲を展開。中盤、迫りくるようなリズム隊がとてもスリリングで一気にテンションを高めます。まくし立てるようなイタリア語の早口と怒気のある口調もあって、焦燥感を煽ります。そして本作のハイライト「I Wanna Be Your Slave」。4つ打ちの力強いドラムに自然と踊り出したくなりますね。キャッチーな歌メロ、グルーヴィなベースにキレのあるギターが、音数少なくシンプルながらも、ビート感の強いダンスロックを展開します。力強いリズム隊がとてもカッコ良いですね。「In Nome Del Padre」は重低音を唸らせるヘヴィで鈍重なメタルを展開します。特に、ヴィクトリア・デ・アンジェリスによる、爆音で極太なベースがとてもカッコ良い。そんなヘヴィな演奏に負けず、ダミアーノのだみ声はシャウトしっぱなしで存在感を放ちます。「For Your Love」はギターが乾いた音で哀愁のフレーズを刻み(中盤以降は湿っぽくなります)、躍動感あるベースとドラムがダイナミズムを生み出します。ダミアーノの歌はサビでは力強くも切なさに満ちた歌唱を披露。間奏は各楽器をフィーチャーしてる感じがします。「La Paura Del Buio」はメランコリックかつ時折メタリックなヘヴィさを見せる演奏に、しゃがれ声で力強く歌うイタリア語がよく合っています。悲壮感の強い楽曲ですね。そしてラスト曲「Vent’anni」。オルタナ感のあるシンプルなギターが寂寥感を醸し出し、ダミアーノの哀愁たっぷりな歌が切ない。そして中盤力強く盛り上げると、切なさが増して涙を誘います。
 なお日本盤のボーナストラックは「I Wanna Be Your Slave」で、イギー・ポップとコラボしたバージョンを収録しています。ダミアーノもだみ声ですが、イギー・ポップは更にドスの効いただみ声で迫力があります。

 ハードロック色が強まり、ラップが若干薄まったことで個人的には取っ付きやすさが大きく増しました。骨太な演奏に、イタリア語の力強い歌唱がよく似合います。

左:輸入盤
右:ジャケが異なる日本盤

Teatro D’ira: Vol. I
Måneskin
テアトロ・ディーラ Vol.I
マネスキン
 
 
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