🇬🇧 Oasis (オアシス)


 

編集盤

Time Flies... 1994-2009 (タイム・フライズ... 1994-2009)

2010年

 オアシスの歴代シングルを収録したオールタイムベスト盤です。私はとりあえずベストから…と最初に手にとったのが失敗でして、2枚組の大ボリュームに加えて、雑然と並べたように見えた本作は取っつきにくさすら覚えたほど。その後『モーニング・グローリー』を聴いて大変な衝撃を受けたので、オアシスに関してはオリジナルアルバムから入るのが断然良いというのが持論です。ただ、ひととおりオリジナルアルバムを聴いた後に本作を聴いてみるとやはり名曲尽くし。ノエル・ギャラガーの優れたソングライティングによるメロディアスな名曲の多さに感動します。軌跡を振り返る記録として価値がある作品だと思いました。入門盤というよりも、ファンがオアシスを振り返るのに聴く方が適しているかもしれませんね。

 ディスク1枚目はキャッチーでメロディアスな名曲の数々。こちらは比較的入門向けといった趣を感じます。デビューシングル「Supersonic」で開幕。軽快なサウンドに乗るのはリアム・ギャラガーの気だるいボーカル。優れたメロディが良いですね。そこから軽快なロックンロール「Roll With It」や、メロディの美しい「Live Forever」、オアシスで2番目に素晴らしい名曲「Wonderwall」といった楽曲が続きます。ここまで『オアシス』や『モーニング・グローリー』の名曲が交互に並びますが、ここに中期の名バラード「Stop Crying Your Heart Out」が入ってきます。初期と比べると、リアムの歌は毒がなくなって円熟味が増しました。メロディの美しさは相変わらずで流石です。ヘヴィなリフを聴かせる「Cigarettes & Alcohol」でメリハリをつけてきます。ここまでノエル作曲の楽曲が並びましたが、続いてリアム作曲の「Songbird」。牧歌的でほのぼのとしていて、とても心地良い1曲です。そしてオアシス1番の名曲「Don’t Look Back In Anger」。ノエルのボーカル曲となるこの楽曲はメロディがあまりに素晴らしい。普遍的な名曲としてこれからも語り継がれるであろうこの名曲は必聴です。軽快で爽やかな中期の名曲「The Hindu Times」、メロディアスな名バラード「Stand By Me」を挟んで、ダウンロード限定シングル「Lord Don’t Slow Me Down」。後期オアシスらしくラフな演奏を披露します。「Shakermaker」の気だるげな歌にゆったりと身を委ねた後は、名曲「All Around The World」。10分近くあり、オアシスのキャリアでも最長の楽曲ですが、長さを感じさせない出来の良さ。特に、最後の合唱したくなるようなコーラスが圧巻です。ビートルズが大好きなギャラガー兄弟ですから、オアシス流の「Hey Jude」なのかもしれません。

 ディスク2枚目はややコアなファン向けでしょうか。オープニングは「Some Might Say」で、ポップなメロディを気だるげに歌います。「The Importance Of Being Idle」は1枚目にはなかったタイプの楽曲で、強烈な哀愁で歌謡曲のような雰囲気。強烈な個性を発揮しています。重厚長大で引きずるように重たい「D’You Know What I Mean?」の後は、正反対の軽快な楽曲「Lyla」。キャッチーで口ずさみたくなるメロディです。「Let There Be Love」ではリアムとノエルが交互にボーカルを取って、湿っぽくもメロディアスな歌を聴かせます。リアムの歌は敬愛するジョン・レノンそっくり。「Go Let It Out」「Who Feels Love?」のような倦怠感と浮遊感を合わせ持つ楽曲を挟んで、ノエルボーカルの名バラード「Little By Little」。感情剥き出しの切ない歌唱が心に響きます。「The Shock Of The Lightning」は初期楽曲のような爽快感がありますが、ラストアルバムからの採用。小気味良いアコギの音色が心地良い「She Is Love」を挟んで、オリジナルアルバムには収録されていない名シングル「Whatever」が続きます。これは現代版ビートルズとも言える楽曲で、ストリングスに彩られたポップなメロディはとても聴きやすい。CM等でも馴染み深いですね。陰鬱でしっとりとした「I’m Outta Time」を挟んで、ラストはサイケデリックな名曲「Falling Down」。メロトロンを中心とした、ほの暗くトリップ感のあるサウンドは鳥肌ものです。そして最後に隠しトラック「Sunday Morning Call」。透明感のある幻想的なサウンドは柔らかくて温かい。

 ボリューム感もあるので、入門盤にはあまり適していないと思います。これを聴くなら『モーニング・グローリー』と『オアシス』の方がよっぽど入門向けだし、どちらも大名盤です。ただ『モーニング・グローリー』と『オアシス』の次に何を聴こう?というタイミングあたりで本作を手に取ると、本作単体でもそれなりの魅力が出てきて、また次に聴く作品を決める指標になるのではないでしょうか。オアシス全作を聴いてから本作を聴くと、オアシスの名曲の数々に改めて彼らの凄さを感じられ、本作の印象も好意的なものに変わりました。

Time Flies… 1994-2009
Oasis
 
 

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