🇺🇸 The White Stripes (ザ・ホワイト・ストライプス)

レビュー作品数: 7
  

スタジオ盤

The White Stripes (ザ・ホワイト・ストライプス)

1999年 1stアルバム

 ホワイト・ストライプスは1997年に米国ミシガン州デトロイトで結成されました。デトロイトといえばストゥージズとMC5という2大ガレージロックバンドを輩出したことで有名ですが、またこの地から有名ガレージロックバンドを生み出しました。メンバーは弟のジャック・ホワイト(Vo/Gt/B)と、姉のメグ・ホワイト(Dr/Vo)の姉弟デュオとしてで活動していましたが、後に婚姻届/離婚届がインターネットに流出し、実は姉弟ではなく元夫婦(1stアルバム当時は夫婦)だったことが発覚しています。それでもホワイト・ストライプスでの活動時は姉弟設定で通しているそうですが。笑

 次作以降も継承される赤・白・黒のコントラストが印象的なジャケットが鮮烈。ジャケットはリリースを重ねるごとにどんどんコントラストが強烈になっていきます。ジャケット以上に強烈なのはその音作りで、けたたましく鳴り響く轟音ギター、レッド・ツェッペリンのロバート・プラントのような声質のジャックのボーカル、手数の少ないシンプルなメグのドラム。余計なものを排除したシンプルなつくりは、装飾加工された楽曲が主流だった時代に反するものでした。
 1曲目「Jimmy The Exploder」から、1999年の作品とは思えない音の悪さにビックリします。暴力的なガレージロックサウンド。アナログ機材の使用に徹底的にこだわった制作で、ブルース歌手ロバート・ジョンソンの「Stop Breaking Down」やボブ・ディランの「One More Cup Of Coffee」のカバー曲収録などに見られる、彼らの生まれるよりも過去の音楽への傾倒、特にジャックの強いこだわりを感じます。音の悪いサウンドの中にも「Sugar Never Tasted So Good」のようにしっとり聴かせる楽曲もあり、楽曲も所々に光るものがあります。「Cannon」や「Astro」、「When I Hear My Name」とか、ギターリフが耳に残ります。そんな本作のハイライトは「Screwdriver」でしょうか。強烈な叫びと、ヘヴィなギターリフに痺れます。

 17曲も収録されておりますが、どれも2~3分台と短く、50分弱のアルバムはあっという間に聴き終わります。以降の素晴らしい作品群に比べると楽曲はまだ少し弱いかなといった印象ですが、時代にそぐわないサウンドで、アルバム全体に強烈なパンチ力があってめちゃくちゃカッコいいんですよね。
 ジャック・ホワイトとジム・ダイヤモンドの共同プロデュース作ですが、以降の作品はジャック単独でプロデュースを手掛けることになります。

The White Stripes
The White Stripes
 
De Stijl (デ・ステイル)

2000年 2ndアルバム

 オランダ語で「The Style (=様式)」を表すこのタイトルは、1917年から起こった芸術活動のことを指します。ジャケットアートには、その芸術活動「デ・ステイル」で活躍した、ヘリット・リートフェルトをはじめとした芸術家の作品が並びます。
 ジャック・ホワイトの自宅の居間で録音された本作は、ジャックによるプロデュース作。前作で共同プロデュースを行ったジム・ダイヤモンドは、本作ではサウンド・ミキサーとしてクレジットされていますが、金銭問題で訴訟を起こしたそうです。

 ギターとドラムだけで聴かせる極めてシンプルな「You’re Pretty Good Looking (For A Girl)」で幕開け。続く「Hello Operator」も、シンプルな構成ながらジャックの強烈なギターとボーカルが響き渡ります。5曲目「I’m Bound To Pack It Up」で美しいアコースティックギターの音色を聴かせたあと、続く6曲目サン・ハウスのカバー曲「Death Letter」はヘヴィなエレキギターの荒々しいサウンドに戻りますが、この2曲になんとなく『レッド・ツェッペリン III』を彷彿とさせます。また「Truth Doesn’t Make A Noise」はピアノとエレキギターが主体の楽曲ですが、哀愁漂うメロディが美しい。「Jumble, Jumble」や「Why Can’t You Be Nicer To Me?」等の印象的なギターリフを聴かせる楽曲が続いて、ラストはカバー曲「Your Southern Can Is Mine」でしっとりと終えます。めちゃめちゃカッコいいんですよね。

 印象的なギターリフも増え、前作よりも発展した感じです。

De Stijl
The White Stripes
 
White Blood Cells (ホワイト・ブラッド・セルズ)

2001年 3rdアルバム

 ホワイト・ストライプスの出世作。ストロークスとともにロック界の救世主として持て囃され始めましたが、これまで見向きもされなかったのが急なヒットに2人も当惑したそうです。
 タイトルは直訳すると「白血球」。アートワークを指して「俺達に近づいている影の人々がバクテリアで、メグと俺が白血球だ」とはジャック・ホワイトの談。デビュー作からですが、赤白黒のコントラストが強烈ですね。

 「Dead Leaves And The Dirty Ground」で強烈なオープニングを飾ります。この1曲で前作からの成長を感じます。前作よりも、大傑作の次作『エレファント』の楽曲に近い感じ。続いてアコギの軽快な演奏にメグ・ホワイトのドラムが炸裂する「Hotel Yorba」も爽快です。疾走曲「Fell In Love With A Girl」もノリと勢いが凄まじく、2分弱をあっという間に駆け抜けます。この楽曲はレゴブロックを用いたPVが話題になりました。
 ブラック・サバス風な「Expecting」、暗くおどろおどろしい「The Union Forever」等のヘヴィな楽曲を聴かせたかと思えば、「The Same Boy You’ve Always Known」、「We’re Going To Be Friends」のように穏やかな楽曲で癒してくれます。シンプルな演奏構成のなかで楽曲のバリエーションも増え、表現力が格段に向上していることを感じます。歌謡曲のように哀愁を漂わせるヘヴィな「I Think I Smell A Rat」も耳に残ります。ピアノだけでシンプルに聴かせる「This Protector」ではジャックのボーカルを支えるメグのコーラス。しっとりとアルバムを終えます。
 ハイライトは「The Union Forever」でしょうか。ブルージーで怪しいイントロで静かに始まりますが、徐々に盛り上がり、後半のジャックの叫びも強烈。メグのドラムもカッコいいです。

 全16曲とボリューミーですが、1曲1曲は短くてトータル約47分。本作からラスト作まで傑作続きなので、こちらも是非手に取ってみると良いと思います。

White Blood Cells
The White Stripes
 
Elephant (エレファント)

2003年 4thアルバム

 1963年以降の機材を一切用いないという強いこだわりで制作された、ホワイト・ストライプスの最高傑作。ガレージロック・リバイバルの代表作品でもあります。本国の米国ではビルボード最高6位、本国より先に火がついていた英国では堂々1位を記録しました。

 「Seven Nation Army」で始まりますが、これが出色の出来。音数が少ないのにめちゃめちゃカッコよく、ギターリフが耳に残ります。ちなみにベースにしか聴こえないオープニングの音は、セミアコースティックギターを1オクターブ下げた音なんだとか…多くの楽曲がギターとドラムだけで制作されていますが、この楽曲もベースレスだとは。なおメグ・ホワイトのドラムは下手だという批判もありますが、シンプルながらジャック・ホワイトのギターとボーカルをよく引き立てていて、ホワイト・ストライプスに欠かせないと思います。続く「Black Math」もヘヴィなギターリフがとても印象的でカッコいい。オープニング2曲の流れで名盤だと感じさせます。
 「There’s No Home For You Here」では静かなヴァースとヘヴィなコーラスというグランジみたいな手法ですね。そして「In The Cold, Cold, Night」ではメグが初メインボーカルを取った楽曲で、アルバムに良いアクセントを生み出しています。エレキギターの荒々しいサウンドだけでなく、アコースティックギターで静かに聴かせる「You’ve Got Her In Your Pocket」のように美しさを感じる一面もあります。続く「Ball And Biscuit」は『レッド・ツェッペリン II』に入っていそうな、ブルージーで痺れる1曲です。ジャックがレッド・ツェッペリンを聴いたかはわかりませんが、それ以前のブルースには強い影響を受けていますから、アウトプットも似てくるのかもしれません。
 ヘヴィなギターとドラムを聴かせる「Little Acorns」もまた魅力的で、そして続く疾走曲「Hypnotize」は聴き手をぶちのめすカッコよさ。そしてギターリフがカッコいい「The Air Near My Fingers」、爆裂する疾走曲「Girl, You Have No Faith In Medicine」とラストに向けて名曲揃い。そしてラストはアコースティック主体で、ジャックとメグの友人でもあるホリー・ゴライトリーがボーカル参加した「Well It’s True That We Love One Another」で静かに終えます。

 全14曲トータル50分。ぶっ飛んだ名曲に、息抜きの佳曲をほどよく織り混ぜた本作には捨て曲などなく、そして限られた楽器の制約の中で聴き手を飽きさせない緩急つけた構成。アルバムトータルでのバランスも素晴らしく、文句ない傑作です。

Elephant
The White Stripes
 
Get Behind Me Satan (ゲット・ビハインド・ミー・サタン)

2005年 5thアルバム

 ホワイト・ストライプスのジャケットアートの中では本作が一番好みです。
 ほぼギターとドラムだけだった前作までと比べると、マリンバやピアノを大胆に導入した本作は実験的な印象を受けます。ちなみにマリンバもピアノもジャック・ホワイトが弾いていて、マルチプレイヤーとしての才能を見せつけてくれます。ギターがあまり出てきませんが、ブルースに根差した音楽性や、メグ・ホワイトの叩くヘヴィなドラムによって支えられたサウンドで根底の部分は変わっていません。そのためマリンバやピアノ主体という変化も、自然に受け入れられます。個人的には前作に並ぶくらいの傑作だと思っています。

 開幕「Blue Orchid」があまりにカッコよく(特にジャックのギターリフが素晴らしい)、この1曲のおかげで前作にも比肩する傑作に仕上がっていると思います。何かのCM曲で使われていたような…。そして前曲の流れから急にテンションを落として奏でられる「The Nurse」はマリンバを大胆に導入した1曲です。こちらはメグの強烈なドラムがインパクト大です。ピアノも鳴り、楽器の多さはこれまでにはありませんでした。そしてラストをぶった切って次曲「My Doorbell」。明るい印象を受けるこの曲はピアノとドラムが主体。ギターがありませんが、メグのシンバルを多用するドラムがホワイト・ストライプスたらしめてる感じがします。「Forever For Her (Is Over For Me)」もマリンバ、ピアノとドラム構成。マリンバは美しい音色を聴かせ、シンバルをバシバシ鳴らすドラムにがダイナミズムを生み出しています。続いて、カントリー調の陽気な「Little Ghost」でようやくギターが出てきました。「The Denial Twist」で再びピアノ主体となり、続く「White Moon」は哀愁漂う静かなピアノにずしんと響くドラム。そしてエレキギターが主導する「Instinct Blues」、ヘヴィな1曲ですが、これまでよりは控えめな印象。メグが歌う35秒の小曲「Passive Manipulation」を挟み、「Take, Take, Take」。これがまた良いのです。ピアノとアコギが主体の楽曲で、スコンと抜けるドラムの音がとても気持ち良い。加工されたボーカルはヘッドホンの左右から鳴り、仕掛け満載な印象も強く楽しい1曲です。アコギの音色が美しい「As Ugly As I Seem」、エレキが久々に登場する「Red Rain」も良曲。そしてラスト曲「I’m Lonely (But I Ain’t That Lonely Yet)」はピアノのみのシンプルなサウンド。ですがメロディが良いのか癒されます。ホワイト・ストライプスはラストをおとなしい楽曲で締める作品が多いですね。

 ホワイト・ストライプスのサウンドの特徴だった荒々しいエレキギターは身を潜めていますが、マリンバやピアノの美しい音色に不似合いなヘヴィなドラムがホワイト・ストライプスらしさを残していて、とても好感の持てる傑作です。

Get Behind Me Satan
The White Stripes
 
Icky Thump (イッキー・サンプ)

2007年 6thアルバム

 ホワイト・ストライプスのラストアルバムで、全作品中最もヘヴィな1枚です。これまで赤白黒のコントラストが強烈でしたが、今回はモノクロジャケット。

 オープニング曲「Icky Thump」でヘヴィなギターとドラムが炸裂します。そしてジャック・ホワイトの歌も歌詞を詰め込んだ感があります。2000年に離婚したジャックとメグですが、ジャックは2005年に再婚しており、妻カレン・エルソンから教わったイングランド北部の言い回し「ecky thump」からこの楽曲を名付けたようです。ちなみにメグも2009年にパティ・スミスの息子と再婚しますが、ジャックもメグもそれぞれ2013年に再婚相手と離婚しているそうで…。2曲目「You Don’t Know What Love Is (You Just Do As You’re Told)」もヘヴィな1曲で、金切音ギターがキンキンと響き渡ります。続く「300 M.P.H. Torrential Outpour Blues」も序盤は静かな1曲ですが、所々でこれでもかという轟音が掻き乱していきます。そして4曲目「Conquest」、これが素晴らしいのです。1952年にヒットしたパティ・ペイジの楽曲のカバーで、ゲストミュージシャンを招いてトランペットを響かせます。緊張感溢れるサウンドに乗せて高らかに歌うジャックの歌唱は氷川きよしに似ているような。笑 ラテンっぽさを纏っていてカッコ良い。闘牛のPVもイメージを膨らませてくれます。ヘヴィな「Bone Broke」で疾走したあと、「Prickly Thorn, But Sweetly Worn」ではブリティッシュ・トラッド風の牧歌的な楽曲を聴かせます。バグパイプはゲストミュージシャンによるもの。前曲から続く「St. Andrew (This Battle Is In The Air)」でも引き続きバグパイプが鳴りますが、疾走してます。そしてまた重厚な1曲「Little Cream Soda」、これもヘヴィなギターリフと、ドスンドスンと響くドラムのサウンドに圧倒されます。続いてノリの良い「Rag And Bone」、重たいギターと金切音ギターを重ねたヘヴィな1曲「I’m Slowly Turning Into You」、ヘヴィなサウンドに哀愁を纏った「A Martyr For My Love For You」、間奏の金切音ギターが強烈な「Catch Hell Blues」と続きます。ラスト曲「Effect And Cause」はアコギ主体で、これまでのアルバム同様に大人しい楽曲で終えます。サウンドは大人しいですが、ノリ良く明るいラスト曲ですね。とにかく轟音で荒々しいサウンドの嵐です。「ヘヴィ」以外の感想が出てこないのがもどかしいですが。笑

 本作のあと2010年にはライブアルバム『アンダー・グレイト・ホワイト・ノーザン・ライツ』発表しますが、2011年2月2日に解散。解散はメグが決めたと、後のインタビューでジャックが語っています。2000年代のロック再興に大いに貢献したバンドは、14年の活動に幕を閉じたのでした。

Icky Thump
The White Stripes
 
 

ライブ盤

Under Great White Northern Lights (アンダー・グレイト・ホワイト・ノーザン・ライツ)

2010å¹´

 ホワイト・ストライプスはジャック・ホワイトとメグ・ホワイトの2人しかいないシンプルな構成ですが、ライブでもバグパイプ以外のサポートミュージシャンには頼らず、基本的に2人で為し遂げてしまっています。でも物足りなさを感じることはなく、迫力満点です。そんな本作は2007年のカナダでのツアーを収録した作品です。

 バグパイプが高らかに始まりを告げ、突如として轟音が響き渡ります。「Let’s Shake Hands」が始まりますが、正直驚いたのはジャックのボーカルです。スタジオ盤では抑えめだったのか、轟音ギター以上にボリューム大。あえて誉め言葉として言わせて頂きたいのですが、「うるさい」。笑 続く「Black Math」はスタジオ盤よりも勢いづいています。ヘヴィでノイジーなサウンドに圧倒されますが、そのサウンドに一切負けていないジャックの歌も凄い。そして続けざまにアコギに持ち替えて「Little Ghost」。これもスタジオ盤よりテンポアップしていてノリノリです。「Blue Orchid」はボーカルがかなり苦しそうですが、ずしんと響くドラムとヘヴィなリフを刻むギターは迫力満点でめちゃめちゃカッコいいです。そして更に重みとおどろおどろしさが増してノイジーな「The Union Forever」、手拍子のノリが良いですが結構ラフな「Ball And Biscuit」、そして「Icky Thump」はスタジオ盤に忠実な非常にヘヴィなサウンドです。バンドと観客との掛け合いが絶好調の「I’m Slowly Turning Into You」。
 そして「Jolene」では哀愁漂う歌を聴かせたかと思えば、サビでは激唱と評するべきか、感情を爆発させながら叫びます。凄い。続いてアコースティックで比較的静かに聴かせる「300 M.P.H. Torrential Outpour Blues」、しっとりとした雰囲気を保ちながら観客の手拍子が加わった「We Are Going To Be Friends」と、ここまでは聴かせるコーナーでした。
 「I Just Don’t Know What To Do With Myself」はヘヴィなサウンドに、歌メロは観客が一緒に歌います。ジャックの歌声が裏返っているのはご愛嬌。バグパイプが鳴る牧歌的な「Prickly Thorn, But Sweetly Worn」、続く「Fell In Love With A Girl」も観客が合唱。この一体感はライブの醍醐味ですね。轟音ギターとドスドス響くドラムが強烈な「When I Hear My Name」、そしてラストにきました「Seven Nation Army」。行進するかのようなドラムのリズムに合わせた観客の手拍子。身体が自然とリズムを刻みます。そしてギターは歪みまくっていて、とても重たいですが、終盤ではギターの刻むメロディを観客が合唱します。
 コンピュータサウンドのようなアドリブのあと、バグパイプの音色がこの楽しい時間の終わりを告げるのでした。

 ド迫力で素晴らしいこの全16曲約1時間のライブは、あっという間に聴き終えてしまうのです。たった2人でも、こんなに感動的なライブを提供してくれるのです。

Under Great White Northern Lights
The White Stripes
 
 
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