Punk Rock/Garage Rock

パンクロック/ガレージロック

パンクロック/ガレージロックってどんな音楽?

 パンクロックとガレージロックは音楽性が比較的似通っているため、こちらで纏めて取り扱います。いずれもシンプルなロックンロールに回帰する音楽を奏でます。
 「ガレージロック」はローファイな環境で荒々しい音を鳴らすロックを指しますが、発祥となった米国デトロイト等では文字通りガレージ(車庫)で練習していたアマチュアバンドが多かったことに由来します。
 一方「パンクロック」とは「チンピラ・不良のロック」の意味。元々は反体制的な音楽を奏でるバンドを指した言葉で、特定の音楽性を指したものではなくアートロック的なアプローチも含んでいました。1970年代後半のロンドンで確立したパンクロックとは、シンプルなスリーコード中心・ロックンロールからブルース色を排除・攻撃的でアップテンポ…といった特徴が見られます。なお、パンク好きな人のことを「パンクス」と呼びます。
 

パンクロック/ガレージロック入門盤5選

 こちらのページにまとめました。

 

パンクロック/ガレージロックのアーティスト一覧

 こちらのページにまとめました。

 

パンクロック/ガレージロックの歴史

 1960年代半ばに米国デトロイトを中心に起こった「ガレージロック」。英国からビートルズローリング・ストーンズ等のバンドが押し寄せた「ブリティッシュ・インヴェイジョン」に影響を受けた米国の若者たちが、初期のロックンロールに回帰し、ローファイな環境で荒々しい音を奏でました。
 米国ニューヨークにおいては、芸術家アンディ・ウォーホルによってプロデュースされたヴェルヴェット・アンダーグラウンドが1967年にデビュー。当時は全く無名でしたが後発に多大な影響を与え、1970年代半ば頃のニューヨークのアングラシーンでは同バンドのようなアートロック的アプローチを奏でるバンドや、ガレージロック勢に影響を受けたバンドが活躍し始めます。
 そんなニューヨークパンク勢のうちの一つラモーンズの英国公演で火が付いたのが英国ロンドンでした。オイルショックで不況の真っただ中にあった英国では、その怒りの捌け口としてパンクロックが大流行。ここでパンクロックの音楽的なスタイルが確立し、破けた服を安全ピンで止めたり髪を逆立てるヘアスタイルなど、ファッションとしてのパンクも確立しました。特にセックス・ピストルズがカリスマ的な人気を誇りムーブメントを牽引しましたが、1978年の解散とともにロンドンパンクのブームは下火になります。多くのバンドはポストパンク/ニューウェイヴに発展しますが、アングラ方面ではより過激化した「ハードコア・パンク」に進化していきます。なおメジャーに頼らず自分たちでインディーズレーベルを立ち上げたバズコックスのように、パンクスには「DIY精神 (Do It Yourself=自分たちでやる)」があり、ポストパンクやハードコア・パンクの多くのバンドにDIY精神が受け継がれていきます。
 本家米国では英国ほどの大きなムーブメントは起こらないまでも、アングラでは1980年代にハードコア・パンクが流行。その後、生粋のパンクスであるカート・コバーン率いるニルヴァーナがグランジ・オルタナティヴムーブメントを牽引し、1990年代初頭には音楽界がアングラな音楽に注目する下地ができました。そこで1990年代にパンクの派生形である「ポップパンク」や「メロディック・ハードコア (通称メロコア)」といったジャンルでグリーン・デイオフスプリングらが大成功します。
 2000年代初頭になるとストロークスホワイト・ストライプスらオルタナ/インディーロックバンドによって「ガレージロック・リバイバル」としてガレージロックブームが再燃。続いて起こる「ポストパンク・リバイバル」とともに、ヒップホップ勢に押され気味だった音楽界にロックを再興させる重要な役割を果たしました。